ひぃ~ひぃ~・・もうだめかも・・


ひぃ~ひぃ~アセアセ(見上げる「木々越し」の青空を眺めていた顔を下げると、視界一面に広がる極相に達した原生林の急勾配な傾斜地を息を切らせながらやっとこ登っていくキンババの背中が映り込む)

キンババ「もうだめかも・・・ほんとにもうだめかも・・・」ひぃ~ひぃ~アセアセ

ムーア「弱音言いながらもちゃんと登ってるじゃんか。歌でも歌おうか?」はぁ~じめて見る山ぁ~~♪

キンババ「とてもじゃないけど歌う気力なんてないよ」ひぃ~ひぃ~アセアセ

ムーア「どうしてさ?現地調査ができるいい機会じゃんか。ほれ!!」ペチぃ~~んハッ(目の前のお尻を持ち前の馬鹿力でおもいっきしひっぱたく)

キンババ「ぎゃあああああああ!!そのイカつい指輪が当たって余計に痛いの!!それに僕は現地調査員になりたいわけじゃないし、君が本物の火竜を見せてくれるっていうから、仕方なくついてきたんだ!!やっぱりやめておけば良かった・・」ひぃ~ひぃ~アセアセ(とお尻をさすりながら登っていく)

ムーア「だから神殿でイノみゃん達に乗っていくかどうか聞いたのに。怖がって拒否したのはあんたの方よ?」

キンババ「ファンゴやポポに平気で乗れる君の方がおかしいの!!本土の人間はモンスターには慣れていないんだから!!」ぷんすかムカムカ

ムーア「可愛いのに。でもさ、キンババは昔から「怒り時」が一番、スタミナUPするんだもんねぇ~♪ほれ!!」ペチぃ~~んハッ(イカつい指輪がわざと当たる角度でお尻目掛けて平手打ちする)

キンババ「ぎゃあああああああ!!誰かこのシュレイドのお転婆姫をなんとかしてぇ~アセアセ」ペチぃ~~んハッ(言ってるそばからひっぱたかれる)

ヴィルヘルム「いいもの見つけてやったぞ」バッDASH!(山林の木陰から急に姿を現す彼の「あの格好」は、土着の山賊そのものである)

キンババ「ぎゃあああああああ!!って、君かぁ~!!紛らわしい格好してぇ~ムカムカ」(まるで山賊のような剣幕で怒っている)

ヴィルヘルム「パパが言ってたぞ。昔、西側の麓には山賊がいたってな」

ムーア「あたちも聞いたことある。今はいないみたいだけどね」

ヴィルヘルム「王都の衛兵が撃退したらしい。一度、会ってみたかったけどなぁ~」ゴイン(と、背中のシンプル・ボーンハンマーを構える)

キンババ「本当は君じゃないの?話題の義賊っていうのは」ハァ・・ハァ・・

ムーア「その話題やめて。それより何を見つけてきたの?」

ヴィルヘルム「ちょうどよくねぇか?」スッ(杖に使えそうな少しぶとめな木の枝をキンババに差し出す)

キンババ「・・・・ありがとう。助かるよ」ズッハッ(と杖的な木の枝に体重をかける)

ムーア「ひょひょっ!!ビバ友情だわさ!!」


バサバサバサバサバサ
ガサガサガサガサガサ

(バカの大笑いに反応した山々の環境生物たちがざわめきながら去っていく)


キンババ「よしなよ、大きい声を出すのはアセアセ

ヴィルヘルム「なんでだよ?逆に俺たちが来てやったことを知らせてやった方が、あいつらも「やりやすい」だろうよ。それに鼻水が出ないってことは、どうやらこのあたりには猫もいないようだな」きょろきょろ


クワァ~~クワァ~~ッ
おえっおえっおえっ・・

(耳を澄ますと原生林ならではのリアル環境生物たちの多種多様な声が聞こえてくる)


ヴィルヘルム「気味わりぃな。じろじろ見られている気分だ」あきゃ~あきゃ~っおえっおえっ

キンババ「同じヒンメルンでも西側は比較的に暖かいからね・・・植物も含めた生き物にとって、種を繁栄させるには最適の場所なんだろうね」

ヴィルヘルム「山の中をハイキング出来るなんてな。俺たちも大人になったもんだぜ」ムオッホッホッホッホッ(山賊みたいな格好しながら山賊みたいにわろうている)

ムーア「なにか珍しい生き物でも見つけた?」

ヴィルヘルム「でっかいバッタがいたから捕まえようとしたんだけどな。逃げられちまった」

ムーア「どうせ街で売るつもりだったんでしょ?」ムオッホッホッホッホッ(とヴィルヘルム)

キンババ「それ、もしかしたら皇帝バッタかも。虫あみグレードなんて「高級なもの」僕らには買えないしね」ふぅ~~

ムーア「うちにたくさんあるんだけど、あたちには絶対、貸してくれないの」

ヴィルヘルム「なんでだ?」

ムーア「小さい頃、「二本首の」毒蛇を捕まえてきて、神殿の中に「放し飼い」してたのがバレてね。ルチアに首根っこ掴まれながら山に戻されていく「次郎と三郎」と交わした涙の別れは今でも覚えているわ。それ以来」

キンババ「死活問題じゃないかタラーあ~あ・・せめて僕に絵の才能があれば、スケッチだけでもできるのになぁ・・」

ヴィルヘルム「俺が書いてやるよ。「悪魔悪魔しい」デザインにして」

キンババ「脚色したら意味がないのタラーそれより、火竜の巣はまだ遠いの?」(額の汗を拭いながら)

ムーア「もう少しよ。ここを登りきったらすぐ。一服してから行こう」ほら(と、葉巻きたばこを勧める)

ヴィルヘルム「ひょひょ~~!!次は崖か。燃えてくるぜ」シュボッ炎ふかぁ~~~DASH!(マッチを近くの木でこすって発火させ、それを咥えタバコにつけてふかす)

キンババ「ちょっと!その状態で登るつもりかい!?」

ムーア「平気平気。クラスマッチの時みたいなヘマしないから」ふかぁ~~~

ヴィルヘルム「ハーフタイムに決め込んだのが間違いだったな。俺もムーアもボールそっちのけでゲロゲロ吐いちまって、ポレット先生にどえらく叱られたもんだ」ムオッホッホッホッホッ

キンババ「君たちが撒き散らした汚物は僕が掃除したんだぞムカムカそれから、崖に行ったら絶対に押さないでよ!火竜を見る前に僕、君たちにやられちゃうかも・・」とほほ

ヴィルヘルム「でもよ、よくこんな山奥まで来たもんだな?」ふかぁ~~~

ムーア「まぁね。ルチアがさ、あたちに内緒で「これ(咥えタバコを強調してみせる)」の元になっている植物を、このヒンメルンの何処かでこっそり栽培してるの。もちろん、あたちには内緒でね」ふかぁ~~~

キンババ「秘密なのにどうして知ってるんだい?」

ムーア「前にルチアが酔っ払った時、「魔法の薬」をやっているところを目撃したの。あたちがちょうだいって言っても「まだ早い」って」

ヴィルヘルム「それで、この「ひんやりシガー」を代替品にくれたのか?」

ムーア「そっ。ルチアがあたちの為にこれを作ってくれたんだけど、大量生産するのは面倒だって。ま、おトキさんに見つかったら、二人とも怒られちゃうし、余計な心配かけちゃうからね・・。だからルチアはNyaNya堂の鑑定士にレシピと調合素材だけ渡して、作らせる方法を選んだってわけ。もちろん、手間代は取られるけど、それも社会勉強だって。けど、ルチアがこの山の何処かで「お宝」を栽培してるのは確かよ」ふかぁ~~~

ヴィルヘルム「わかったぜ。お前はそのルチアさんの「農場」を見つけるために、山の中を探索していたんだな?」

ムーア「ま、それもあるけど本命は・・・」

ヴィルヘルム「ん?」

ムーア「だんでもない」ぷいっ

キンババ「そうか・・・ルチアさんはその植物を医療用として売っているんだよ。君が毎回、修学旅行に行く度に「置いてけぼり」にされても、ローゼンクロイツが快く君だけを送るのに飛行船を出す理由がはじめて分かった」

ムーア「ルチアがそこまで手回しするわけないでしょ。手厚く扱われているのは、あくまでもあたちの人望と、この「あんまんみたいにキュートな容姿」があるからよ。それにね、置いてけぼりにされてる分、思い出はあんた達よりあるし」チャッ(と、頭に被っているニット帽の上に乗せている「ケイシーのへんてこメガネ」をかけて、かつての思い出を強調してみせると同時に視界が真緑に染まる)

ヴィルヘルム「ローゼンクロイツがこいつ(咥えタバコを強調してみせ)を欲しがっているっていうのか?」

キンババ「それの元になっている植物をさ。きっとアルカロイドが含まれた植物に違いないと思うよ」

ムーア「ほえ・・あるかろいど(へんてこな発音で)?」チャッ(サングラスを頭に戻すと視界もまた良好になる)

キンババ「鎮痛薬としても使えるのさ。ルチアさんがなにか言ってなかったかい?」

ムーア「う~~~ん・・確かに鎮痛作用、沈静作用があるって。それから状態異常の回復でしょ?そうそう、あと食欲増進作用に抗癌作用、更には眼圧の緩和、嘔吐の抑制、モンスターの咆哮による耳鳴り改善効果もあるって♪だから安心。むしろ健全だし」フフ~~ん(と、大げさにふかしてみせる)

キンババ「君等がやっているのは「嗜好品」だからね。生薬の成分による中毒性はなさそうだけど・・そうか。嗜癖性の強さは煙草に含有されているニコチンによるものか。それの大量摂取で君たち吐いたんだよ。サッカー場いっぱいにね」うっ・・思い出したら・・(と視点の主)

ヴィルヘルム「やけに詳しいな、お前」

キンババ「ムーアのおかげ♪」

ヴィルヘルム「ああ・・図書館の本か」

キンババ「ロイヤルアカデミー」

ヴィルヘルム「俺たちにしてみれば同じさ。それに王都の金持ち共は、もっと刺激の高いブツをやっているってパパが言ってた」スリスリ(と「手持ちの水晶ドクロ」を撫でている)

キンババ「王都では怪しげな宗教も流行ってるってもっぱらの噂だけど・・まさか君、熱狂的な信者だったりしないよね?」じーーー

ヴィルヘルム「これはうち専属の祈祷師から貰ったんだ。今度お前らにも紹介してやるよ。すげぇ当たるんだぞ」

ムーア「例えば?」

ヴィルヘルム「俺の猫アレルギーを見事当ててみせた」

キンババ「へぇ・・どうやって占うの?」

ヴィルヘルム「祈祷師の婆さんが如何にも怪しげな粉を「助手のメラルー」に持って来させてな。それを婆さんが鼻から一気に吸引すると、白目を剥きながらお告げをしてくれるってわけさ」

ムーア&キンババ「遠慮しておく」なんでだよ?






Recollection No.5_62






キンババ「ほらごらん。やっぱりそういった薬は良くないのさ」

ムーア「真面目なあんたの頭にも「夢」が必要かも」ししししし


むっ!?(と、殺気を感じたかのように山林を振り返る視点の主)


ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(視界に映る原生林の中に人影は見えない)

キンババ「どうしたの?まさか幻覚が見えたとか面白くないからね」

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(静かに木漏れ日を見上げる)



ブワッサ・・・ブワッサ・・・・・
(上空の遥か向こう側から飛竜の羽ばたきが微かに聞こえてくる)



ムーア「近い・・・・・行ってみよう!!」ひいいいいいアセアセ(と抱きついてくるキンババ。ヴィルヘルムはたくましい顔で遠くを見つめながら水晶ドクロを可愛がっている...)


To Be Continued






★次回ストーリーモードは5/20(木)0時更新予定です★