ブワッサ・・ブワッサ・・
(船首越しに空を浮遊する火竜がその大きな翼を羽ばたかせながら青い瞳でこちらをじっと眺めている)

ムーア「ほえ・・・・・・きれいな目・・」ブワッサ・・ブワッサ・・(その大きな瞳に映り込む小さな少女の姿)

ケイシー「うわあああああああ!!」バッDASH!(恥じらいもなく羽交い締めにしていた視点の主を放り投げるように逃げ去っていく)

ムーア「いてぇアセアセ」ずでぇ~んハッ

デービス「モンスターだぁああああああ!!」ダッダッダッアセアセ(腰砕けになりながら逃げていく)

ビリー「ま、待て!!俺を置いて逃げるな!!」

ムーア「情けない人達・・」よいしょっとな(と視点の主が立ち上がろうとした瞬間...)


ボギャアアアアアアアアア!!
(火竜の大喝が甲板エリアを突き抜けていく)


ムーア「わぁあああああ!!」ゴロンゴロン!!(咆哮の大音波に押され後転していく)


ボギャアアアアアアアア!!
(デッキの上を派手に後転しながらも大口を開けて吼えている刺々しい赤い火竜から目を離さない)


船員「リオレウスだ!!」

船長「子供たちを船内に!!」(背後から次々と大人達の声が飛び交ってくる)


わぁあああああああああ!!
(振り返ると甲板は逃げ惑う子供たちによって騒然となっており、船員たちは左右の船縁に設置してあるバリスタや大砲へ一目散に駆けていく)


ムーア「だめ!!攻撃しちゃだめ!!」わぁああああああ!!

ビリー「どけっ!!」ドーーーーンハッ(背後から突き飛ばされる)

ムーア「クッ・・!!」ズデーーーン!!(うつ伏せに倒れ、視界が甲板の木床でいっぱいになる)

船員「くるぞ!!」

ムーア「!?」バッ(慌てて体を反転させ、船首の方を見る)



ボオオオオオオオオオオオオン!!
(火竜が開けた大口から燃えたぎる火球が発射される)



ムーア「!!」



スオオオオオオオオオオン!!
(仰向けのまま咄嗟に頭を抱える視点の主の真上すれすれを流星の如く火球が凄まじい速度で通り過ぎていく)




バオオオオオオオオン!!
(次の瞬間、デッキ上で大爆発が起こり、その衝撃によって大きく後方に吹っ飛んでいく)







キーーーーーーーーーーーーーーン
(耳鳴りによって聴覚が奪われながらも必死に床をうつ伏せのまま這い蹲る朧気な水平視界の甲板上、火球が直下したと思われる箇所から白煙が上がっており、その煙越しに腰を抜かしているビリーの姿が映り込む)



ビリー「うわあああああああああ!!!!!」(高調音に紛れながら、真っ青な顔色になった彼のぼやけた悲鳴が聞こえてくる)

ムーア「そっか・・・あの子はあたちを助けるために・・・・」キーーーーーン・・・・



ガシャッ・・ガシャッ・・・(怖じけるビリーの背後からボウガンを構えた無数の船員たちが弾を装填しながら勇猛果敢に前進していく)



ムーア「だめぇえええええ!!!!」

船長「てぇええええええええええ!!!!」(視点の主の叫びを船長の号令が上書きしていく)


バッ!!(慌てて火竜がいる船首を振り返る)



バオオオオオオオオン!!
バオオオオオオオオン!!
ドシュウウウウウウウウン!!

(無数の発砲音と同時に瞬時に垂直へ羽ばたいていく火竜)



ブオオオオオオオオオオオオ!!
(その風圧により後方へ吹っ飛んでいく視界に同じく甲板上を跳ね上がるように転げるビリーの姿も映り込む)



ムーア「ぬおおおおおお!!」ダンッハッ(両足を踏ん張り、状態を起こす)


バッ(力強く顔を見上げる)



ビュオオオオオオオオオオ!!
(見上げる巨大な気球を盾に舞う火竜の飛翔音が聞こえる)



船員「クソッ!!これじゃ撃てない!!」チャッ(真上に銃口を向けたまま困惑している船員たちの姿)

ビリー「なにやってんだよ!!早く殺せ!!」(船員の足にすがりつきながら文句を言っている)

ムーア「黙ってろ!!」


ガーーーーーーーーーーン!!
(革製ブーツの厚底でおもいっきりビリーの顔面を蹴り倒す)


ビリー「・・・・・・・・・・・・・・・・」ずでぇ~~~ん(白目&鼻血で倒れる)


ガッ(そのクシャクシャになったリーゼントの前部分を掴み上げ、右舷へと引きずっていく)


船員「戻れ!!危険だ!!」ズルズル・・(背後からの忠告を無視しながらビリーを引きずっていく)

ムーア「あたちはもう大丈夫!!ほら、この通り、自分でやっつけたから!!」ガッハッ(ビリーの髪を鷲掴に、まるでメドューサの首を掲げるようにそれを天に向けてみせる)



ビュオオオオオオオオオオオオオ
(その声に反応するように気球上から降下してくる火竜)



船員「きたぞ!!照準合わせ!!」

ムーア「撃つなっての!!!!!」ギッ(と力強く振り返り、ボウガンを構える船員たちを睨むと、よほどの剣幕だったのだろう、船長も含めて全員が一瞬怯む)


ヒュオオオオオオオオオ
(船縁側を振り返ると、先程までの殺気が嘘だったかのように飛行船と並走するように同じ進路方向を向きながら緩やかに飛ぶ火竜の穏やかな姿が。そしてその瞳の色もまた、もとの澄んだ青色に戻っている)


ヒュオオオオオオオオオ・・・・・
(飛びながら横目でこちらを見ている火竜の美しいブルーアイ)


ムーア「心配しないで!!ちょっとお出かけしてくるだけ!!すぐに帰ってくるから!!」



ヒュオオオオオオオ・・・・・・・
バオオオオオオオオオオオン!!
(その言葉が聞こえたのか、火竜は了解を示すように少し間を置いてから、ソニックブームと共に一気に右旋回しながら飛び去っていく)



ムーア「ふぅ~~~~~~~」


ぽん(背後から視点の主の肩に無骨なお手が置かれる)


ムーア「??」ちら

船長「この世界は、まだまだ私の知らないことばかりのようだ」(遠い目で火竜を見送りながら呟く)

ムーア「・・・・・あはっ♪あたちもそう思う!!」






Recollection No.5_35






ムーア「ヴィルヘルム。酔い止めの丸薬、もらってきたよ」つんつん(一連の騒動などお構いなしに船縁で蹲っている彼のまあるい背中を指で突く)

ヴィルヘルム「うう~~すまねぇ・・ガーン」あむっ(振り向く彼の真紫になった顔の「カサカサな口」を両手で強引に開け、まあるい茶色の丸薬を飲ませてやる)


ごくり・・
ぽわぁ~~~~~~んキラキラ
(薬を飲み込んだヴィルヘルムから回復を示す緑色のエフェクトが全身から迸る)


ヴィルヘルム「すげえ楽になったぜ。ありがとよ」(いつもの仏頂面で礼を述べる)


ム~~ア~~~、ヴィルヘルム~~~~
(とキンババを筆頭にパク、クロイと続いてくる)


キンババ「リオレウスが出たんだって!?」

ヴィルヘルム「俺は知らねぇぞ。そうなのか?」

ムーア「まぁね。でもすぐに飛んで行っちゃったよ」

クロイ「大丈夫?怪我はない?」

ムーア「だいじょぶ、だいじょぶ。あたちったら。いざとなったとき踏ん張れたし♪」ブイッチョキ(そうなのだ!あたち装備のシリーズスキルには耐震(転ばないため)が含まれているのだ!!)

パク「見たかったなぁ~。リオレウス」

クロイ「よしなよ。ビリーの顔、見たでしょ?すっかり怯えちゃって、自慢の髪型もボッサボサだったじゃない。よっぽど怖かったのよ」

ムーア「ぷぷぷぷぷ」(口を両手でおさえてわろうている)

パク「火も吹いたんだってな」(と彼の背後では甲板上の焼け跡を物珍しそうに囲む子供たちの姿が。その真中では濡れモップを持った船員が一生懸命掃除をしている)

ムーア「船は大丈夫だって?」

キンババ「まったく問題ないみたい。なんでもこの船体の木材には、温泉で有名な観光地の丈夫な木を使っているんだって」

パク「今度は私掠船に襲われたりな」やめてよぉ~(とクロイ)

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(船首に飾られた女神像を見つめる)


パク「すげぇいい女だな。・・・って、ビリーたちなら言いそうだな」(クロイの鋭い視線を感じての対応)

ヴィルヘルム「ワイバーンが無事に飛び去って行ったのは女神像の効果かもしれねぇぞ」

キンババ「へぇ~意外。君って、信仰深いんだ」結果論だよ(とヴィルヘルム)

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・」(じっと女神像を見つめている)

キンババ「どうしたの?」

ムーア「うううん。あたちのママもあの人みたいに綺麗だったんだろうなって」


ヒュウウウウウウウウウ・・・


クロイ「・・・・・さ、冷えてきたから、中に入ろう」

ヴィルヘルム「バックギャモンしようぜ!!人数分持ってきてるんだ!!」そういうところには努力を惜しまないよね(とキンババ)

ムーア「フフフフフ」

パク「なんだよ?ニヤニヤして」

ムーア「楽しいなぁ~って思っただけ。修学旅行は始まったばかりなのにね♪行こう!」


だぁ~はっはっはっはっはっは♪
(と馬鹿笑いするヴィルヘルムに肩を抱かれたキンババの後に続いていく視点の主。歩きながらふと、遠くに見えるヒンメルン山脈を振り返り、安心感を得ると、小さく頷いてはパクとクロイの手を引っ張り陽気に歩き出すのであった...)


To Be Continued






★次回ストーリーモードは1/30(木)0時更新予定です★