アースラ「マモーナス!!私の望みを聞いてくれますか!?」
マモーナス「望み?」
アースラ「それが欲しいのでしょ!?ならば今度は私と契約しなさい!!」
マモーナス「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
アースラ「最期に・・私の願いを、私のたったひとつの強欲を叶えてください!!」
マモーナス「・・・いいだろう。言ってみるがよい」
アーロン「アースラ!」
ザッ・・(こちらを見上げながら一歩全身するアースラ。その胸に抱いている赤ん坊もまた、自然と泣き止んでいる)
アースラ「あなたも絶望を恐れてはいないのですね?大丈夫。あなたの未来は希望に溢れているわ」
チュ・・(我が子の小さいおでこに優しくキスするアースラ)
アースラ「あなたは言いましたね?契約を果たすために降臨したと」
マモーナス「そのとおりだ。幸福の絶頂期に達したアーロン・ロザリーに絶望を眺望させ、その失意に満ちた魂を喰らうことで契約は終結する」
アースラ「その一部始終をあの人に監視させていたのね?」(目線をファイヤーウォールの中で倒れ込んでいるジーナに向ける)
マモーナス「倦まず弛まず、一心不乱に所有欲を求める理知ある者の姿は実に美しい。この広大なヒンメルン山脈のように雄大な強欲を心に秘め、劇的な功徳に目もくれない強き者・・・それがモンスターと呼ばれる者だ」
アースラ「あなたはそのモンスターたちが抱く強欲を叶える力がある。いずれにしても私は遅かれ早かれ死にゆく身です。いつか終わるのなら、せめて私の望みを叶えて欲しいのです」
マモーナス「逃れられぬ死。今ここに貴様と契約を交わそう」
アースラ「私の命と引き換えに・・この子に・・・キャロルムーア・ロザリーに永遠の希望をお与えください」スッ・・(赤ん坊を捧げるように両手で掲げる)
マモーナス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
アーロン「アースラ!!正気なのか!?あいつにそんな力などあるわけがない!!」
アースラ「さぁ、どうしたの!?あなたの力が本物なら、叶えてみせて!!」
アーロン「よせ!!アースラ!!」
マモーナス「その願い叶えた」
ウオン!!
(赤子を捧げるアースラに向かってその長い首を伸ばすと、大口を開けるやいなや一瞬にして赤ん坊を丸呑みしてしまう)
アーロン「ムーーアーーーーーー!!!!」
マモーナス「これで分かったであろう。希望など、我を前にしては何の意味も持たないということを」
アースラ「それはどうでしょう?あなたの契約の力が本当ならば、我が子はあなたが生きている限り、絶望を希望に変え続ける強い子に育つでしょう」
マモーナス「我が子を失い、正気を失ったか。もう良い。その失意と共に朽ち果てよ」
スッ・・(その言葉を聞くと、アースラは両手をそっと広げ、まるで生贄に選ばれし大致命者の様に天を仰ぐ)
アーロン「アースラ・・?」
アースラ「私達はいつも共にある。今宵の晩餐は明日のために・・・愛してるわ。バーニー」
Recollection No.1_64
アーロン「よせぇえええええええええ!!」
ドウウウウウウウウウウン!!
(アースラに向かって渾身の黒焔の矢を放つ)
アースラ「私は・・いえ、私たちは絶対にあなたを恐れない。逃れられぬ死。キャロルムーア・ロザリーが生き続ける限り、あなたは死の淵を彷徨い続けるがいいわ」
マモーナス「!?」
ボオオオオオオオオオオオオン!!
(大爆発と同時にその衝撃で山頂エリアの崖っぷちへ吹き飛ばされるアーロン)
アーロン「クッ・・・・アースラ・・・・アーースラァアアアアアア!!!!」ダッ(黒煙の中に身を投じる)
ゾルルルルルルルルル・・・・
(山頂エリアを包み込む黒煙が瘴気に変化を遂げていき、渦を描きながら視点の主の大口へと吸い込まれていく)
アーロン「アースラ・・・・みんな・・・・」ゾルルルルルル(絶望に蝕まれしあまたの魂を含む渦巻く瘴気が上昇していき、その中央で愕然と両膝をつきながら失意に沈んでいる彼の姿が見えてくる)
マモーナス「その姿こそが絶望というものだ。汝の父は自分の命惜しさに、国と多くの民の命を糧に生き延び、本来ならば失意と共に死すべきところを、こともあろうか、人としての安寧を感じたまま人生に幕を閉じた。デーモン・ロザリーが崩落するシュレイド城から、貴様を連れて逃げたのは、自分の果たせなかった契約を、子である貴様に押しつける為だ。そして貴様は見事、それを果たした。何故ならば我は貴様ら親子の3つの絶望を喰らうことが出来るのだからな」
ゾオオオオオオオオオオオオ!!
(更に大口を開け、吸引力を強めて瘴気の渦を吸い上げていく)
マモーナス「自分が守るはずであった生きる希望をすべて失い、絶望の淵に堕とされた感想はどうかな?」ゾオオオオオオオオオ!!
アーロン「殺せ・・・・そして契約を終わらせろ・・」
マモーナス「よかろう。これにてデーモン・ロザリーとの契約は満了し、我は次の絶望を求め、新たな地へ行くとしよう」
ゾオオオオオオ・・・・
キラキラキラキラキラ
(吸い上げる瘴気が下から眩い煌めきの粒子へと変わっていく)
アーロン「あれは・・・・アー・・スラ・・?」キラキラキラキラキラ
マモーナス「!?」キラキラキラキラキラ(構わず煌めきの粒子群を吸い込んでいく)
フィーーーーーーーーーーーーーン
(視界に映る黒い皮膚に覆われた龍の顔の尖端が内側より鋭い閃光を放射しはじめる)
マモーナス「ぎゃああああああああああああああ!!!!!!」
ボエッ!!
(体内より白い発行体に包まれた赤ん坊を吐き出す)
アーロン「ムーーア!!」
タシッ(視点の主が悶える中、視界の下側には舞い降りてきた我が子をしっかりとその胸にキャッチするアーロンの姿が映っている)
アーロン「この光は・・・アースラ!!」グオオオオオオオオ・・・(悶絶する視点の主が首をあげる中、アーロンがそう呟く声が微かに聞こえる)
マモーナス「こんなバカなことが・・・白の契約を受けし龍使徒の末裔が、その魂を我が子に授けたというのか!?そんなバカげたことが許せるものかぁあああああああ!!!!」グオン!!(一瞬たりとも体内に入り込んだ異物を払拭するように首を振り回しながら視点を眼下のアーロンというターゲットに絞る)
アーロン「大陸を蹂躙する強欲の化身め!!」バッ(神々しい光に包まれている我が子を両手で掲げる)
マモーナス「!!」
キラキラキラキラキラ・・・・
(視点が赤ん坊にズームすると、その純真な青い瞳に禍々しい黒龍の邪顔が映し出されている)
ギャオオオオオオオオオオオオ!!
(苦悶の雄叫びをあげながらその長い首を振り回す視点の主)
アーロン「思ったとおりだ・・・アースラの願いを叶えた貴様は、ムーアを殺すことができないんだ!!」
マモーナス「ジーーナァアアアアアアア!!!!!そいつら親子を殺せぇえええええええええ!!!!!」ギャオオオオオオオオオ!!(激痛に耐えるように首を振り回しながら命令する)
バオン!!
(渾身の力で振り切るように両翼を羽ばたかせ、なんとか眼下の様子を覗き込む)
バッサバッサ!!バッサバッサ!!
(頂上エリアの中央で我が子を庇いながら抱きしめるアーロンにじりじりと接近していく黒衣に身を包んだおどろおどろしいジーナの姿が見える)
アーロン「俺を殺そうとも、未だ絶望を知らぬムーアに契約は引き継がれる!!そしてお前は自分の手を下すことすらできぬ、この子の手によって討ち滅ぼされるがよい!!!!」
フォン!!
(そう告げるとアーロンは光に包まれたままの我が子を崖下に向かって投げ飛ばす)
マモーナス「!?」
ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ!!
あああああああああああん!!
(再び起きた雪崩の激しい雪煙の中に飲まれていくムーアは父との別れを惜しむかのような慟哭だけを残しながら消えていく)
アーロン「忌まわしきロザリー家の血を引きし、キャロルムーア・ロザリーよ!!俺に課されたこの絶望の契約を継承し、この父と母に代わり、振りかかる死の困難をすべて希望に変え、この美しき大陸世界から忌まわしき黒龍を消し去るのだぁあああああああ!!!!」ドシュッ!!(天に両手を掲げるアーロンの背後から黒い短剣でその背中を突き刺すジーナ)
ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ!!
(同時に山頂エリアが四方より崩落を開始する)
ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ!!
(ジーナが瞬時に崩落していく山を飛び降りていく中、山頂エリアに残されたアーロンはうつ伏せで這いつくばりながら、懇願するように己の手で半壊した父の墓標に向かってにじり寄っていく)
ドシャアアアアアアアアン!!
(アーロンは何かを呟きながら必死の想いで父の下に辿り着くやいなや、墓標と共に虚しく土砂に飲み込まれていく)
ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・・・・・・・
(羽ばたきながらその場に浮揚して留まる黒龍の邪眼の下には、無残にも崩落した土砂の山が映っている)
マモーナス「キャロルムーア・ロザリー。我が脅威となる前に、必ずや貴様も絶望の奈落へと堕としてくれよう」
バッサバッサ・・バッサバッサ・・
(そう呟く眼下に広がる雄大なヒンメルン山脈の壮麗な景色)
マモーナス「今はせいぜい短い余生を楽しめ。そして貴様が自我に芽生えた時、初めて己の因果に絶望を覚えるがよい」
ハァ~ハッハッハッハッハッハッ!!
(重たい両翼を一気に羽ばたかせ、灰雲に包まれた蝕の空へ羽ばたいていくと同時に視界もまた、この禍々しい記憶と共にブラックアウトしていく....)
Next time, UBU’s recollection start
★次回ストーリーモードは9/23(月)0時更新予定です
*9/16週は新章突入の準備期間ということもあり、お勝手ながらにストーリーモードはお休みさせていだたいきます