~キングスラムウォール四番街、旧ニャモンド跡地....

うっせうっせ・・にゃっせにゃっせ・・(とウー家の従者達とスヘイラ、そして二世が馬車の荷台より空き家になった獣人サイズの「ちいちゃい小屋」の前へ、何やら骨董品(絵画をはじめとした美術品や奇面族の面、異国の金貨(トレジャーアイテム)などが入った木箱など)を各自「不慣れな運搬スタイル」で運んでいる光景を少し離れた場所より腕を組みながら眺めている一人称視点)


ひぃ・・ひぃ・・・(と身の丈より大きい「木彫りのコンガ像(実物大)」を千鳥足で運ぶ二世)

ずでぇ~~~~んハッ(思ったとおり、豪快に前のめりに倒れ、木彫りのコンガもまた頭から地面に衝突。見事に首が根元から「きれいに」へし折れる)

あニャニャニャ・・・こりゃ~たいへんニャあ・・アセアセ(と、部位破壊された「コンガの首」をなんとか胴体にくっつけようと悪戦苦闘している二世)

どうしたんだい?(と絵画を胸に抱いたベックフォードが声をかけてくる)

あニャ・・ニャ、ニャ、ニャんでもニャいニャタラー(とあからさまにあやしい態度でその場をやり過ごす二世)

ならいいけど・・早く終わらせてお昼休憩にしよう(と過ぎ去るベックフォードの姿を見てホッとする二世。すかさず首を胴体に乗せ、それが落ちないようにバランスを保ちながら運んでいく)

ふぅ・・・(二世の失態に対してなのか、それともこの長時間の作業光景に見飽きたのか、視点の主が深い溜息をもらす)


ザッザッザッザッザッ・・(ベックフォードが爽やかな笑顔と共にこちらへ向かって歩いてくる)


ベックフォード「もうすぐ終わりますので。そしたらランチにしましょう」スッ・・(真っ白なハンケチで額のこれまた爽やかな汗を拭う)

ジーナ「やはり私もお手伝いしましょう」

ベックフォード「いえいえ!あなたの手を借りるまでもありません!それにこれは私がウー様より預かったクエスト。スヘイラさんたちの協力を得られただけでも十分助かっています」にこっ(とする後ろでは、異国の金貨がたんまり入ったツボを運んでいたスヘイラが豪快にくしゃみをした拍子にツボを豪快に前方へ投げ飛ばしてしまい、更には豪快にツボを割ってしまい、おまけに金貨が豪快に地面に散らばっていく始末)

ジーナ「・・・・・・・。ひとまず無事に終わりそうですね」お~い!これ首が取れてるぞ~!?(と先ほどのコンガのことだろうか。荷台に次の荷物を取りに戻ろうとしている二世が「ドキッびっくりと」している)

ベックフォード「新たにこの場所が我々の中継地点になります。楽しみですね」(その後ろではスヘイラと二世が荷台より「Antique shop NyaNya堂」と書かれた看板を仲良く運んでいるのが見える)

ジーナ「あなたのアイデアだそうで」

ベックフォード「いやぁ~~~。この店をただ壊してしまっては勿体無いと思っただけです。それに・・あなたの悲しむ顔は見たくない・・・・っと、余計な気遣いでした。すみません」へこり

ジーナ「とんでもありません。馴染み深い場所を選んでくださって、こちらこそ感謝しております」へこり

ベックフォード「やや、そんなつもりで言ったのでは・・頭をお上げください」こりゃ~!ジーナ様にニャにしやがったぁ~!!(と飛ぶスヘイラの怒号。その拍子に看板を手放してしまい、比重が大きくなった二世の足に看板が落ち、「いちぃ~~~~!!」と叫ぶ二世)

ジーナ「譲渡の交渉はうまくいったのですか?」

ベックフォード「ええ。外街の首領(ドン)とウー家は長い付き合いですので、こちらの予想通りの金額で決着がつきました。ただ、余計な揉め事だけは起こすなと再三、警告されましたがね。あなた方のギルドの名前を出したら、すぐに納得してもらえました。ジーナさんが揉め事など起こすわけもないのに。困ったものです」やれやれ

ジーナ「・・・・・・・・。お店の管理は本当に我々が担当しても?」

ベックフォード「ええ。ウー家は獣人を雇用していませんので、二世君たちならしっかりやってくれるでしょう」ずでぇ~~~~んハッ(言ってるそばから背後で看板をへえこら運ぶスヘイラと二世が「同時に」豪快にすっ転び、そして看板も側方に「バタァ~~~~ん」と倒してしまう)

ジーナ「二人だけに任せるのは荷が重すぎます。別の地から同胞を呼び寄せ、店員を演じさせますわ」

ベックフォード「猫の骨董品屋か・・・いいなぁ・・」(振り返り、互いに手を差し伸べ合いながら立ち上がり、再び重い看板を仲良く運ぶ二世とスヘイラを感慨深げに見つめている)

ジーナ「大陸社会は多様性に満ちています。『あなたの代』になったら、獣人を雇用されてみては?」

ベックフォード「滅相もありませんアセアセ私はウー様の命で今までどおり職務を果たすだけであって、重大な決断は従来通り、ウー様にやっていただきます」ゴホンDASH!(気を取り直すように咳払いしてみせる)

ジーナ「ウー様はあなたを信頼しております。あなたなら、必ずや成し遂げることができましょう」

ベックフォード「・・・・・・・・・・・・・・・・・」しょんげり

ジーナ「不安なのですね?」

ベックフォード「・・・・・・・・・・・・・・・・・」こくり(俯きながら小さく頷く)

ジーナ「ヴィリエ様もまた、あなたの才気を買われ、ウー家に推薦したのです。自信を持ってください。私でよければいつでも相談に乗りましょう」

ベックフォード「・・・・・・・ジーナさんにそう言われると不思議と自信が湧いてきます。そうですよね。ヴィリエ様の分も自分が尽力するんだ!」よしっハッ(と顔を両手で叩いて気合を入れる若き従者)


ホニャ~~ったら、休憩入るだニャ~!う~~っす(いつの間にか二世がリーダー的な存在となっていたのだろうか、荷物を全部、店の前に運び終わり、ウー家の従者たち(人間)に向かって休憩に入るよう促している)


ジーナ「ウー様の出発はお決まりに?」

ベックフォード「あ、そうでした。あなたも護衛で参加するのでしたよね。出発は一週間後の予定です。ここにお迎えにあがりますよ」にこっ

ジーナ「屋敷内で今回の件を知っている人間は?」

ベックフォード「もともと屋敷内の住み込みで働く者たちは、ごくわずかしかいません。ウー様の顔が見られなくなったところで、それを不審に思ったり、口外する者はいないはずです」

ジーナ「秘密を取り仕切るのも大変ですね」

ベックフォード「見てみぬふりをする。それが名家で務める絶対条件ですからね。っと、今の台詞はヴィリエ様のものですが」はははは

ジーナ「ウー様のことはお任せください。なにかあれば神殿まで」

ベックフォード「はい!自分もあなたのように優秀な獣人を秘書にしようかな・・。確か、神殿も獣人の雇用を始めたのですよね?マスターの参加をきっかけに。またあの「あんまん」を食べたいなぁ・・・」はぁ~~~


とっとっとっとっとっ・・(視点の主の背後から獣人猫特有の肉球によって地面を踏む足音が聞こえてくる)


とっとっとっとっとっ・・(横目で左側を通り過ぎていく、「板前風」の格好をした赤虎猫(丸棒に荷物(肉球型唐草模様の風呂敷)をぶら下げ、肩に担いでいる)を黙って見届ける)


とっとっとっとっとっ・・(そのまま店の方へ直進していく板前風猫。スヘイラと二世は店先にぺたんと座って「どんぐり型の弁当箱」を物色している)


こくり・・タッタッタッタッタッ(視点の主と目が合ったベックフォードが了解したように頷き、直ぐ様、店の方へ駆けていく)


スヘイラ「にゃんだ?お前?」(来訪者に気づき、声を掛けている)

板前風猫「ニャ・モンドって店はここかい?」

アニャニャ・カーン二世「ああ、前はニャ」あむあむ(器用に箸をもって弁当箱から「たまごやき」を選んで口に入れてる)

板前風猫「前・・・って、ことはなくなっちまったのかぁ~!?」

ベックフォード「先日、店仕舞いしたんだ。ここは骨董品屋になる」

板前風猫「え~~~~~~~~!!」カルチャーショックびっくり

スヘイラ「残念だったニャ」あむあむ(おにぎりを両手で上手に持って食べている)

板前風猫「せっかく遠路遥々、ここのパイを食べに来たってのによぉ・・・」ううう・・

スヘイラ「しょんなにショックかニャ?」

板前風猫「あたぼうよ!!こちとらミナガルデから危険を顧みず、ここまで来たんだ!!まさか閉店してたなんて・・・これが泣かずにいられるっかっつ~の!!」ニャはぁ~~~~~~んアセアセ

ベックフォード「ミナガルデ・・都市の猫だから、流暢に話せるのか・・・。君、その格好からすると料理人かい?」

板前風猫「・・・・・・・・・・」こくり(涙を赤と黒の「縞々な腕」でごしごしと拭きながら頷いている)

アニャニャ・カーン二世「料理人ニャら、あのパイを食べたい気持ちは分かるニャ。ニャんつっても最高のパイだったからニャ♪」あ~~~ん(弁当箱からお豆を器用に箸ではさんで口の中に放り込む)

板前風猫「あんた食べたことあんのか!?」ガッハッ(二世の着ている民族衣装の襟を掴み上げる。同時に「きついニャアセアセ」と苦しむ二世)

スヘイラ「こりゃ~~!!無礼はやめるニャ!!」パカァ~~~~ンドンッ(板前風猫の頭を躊躇なしにおもいっきりひっぱたく)


へなん・・・ううううう・・・(店も潰れており、おまけに知らない猫にも頭をおもいっきりひっぱたかれ、その場にへたれこむ板前風猫)


ベックフォード「・・・君、名前は?」

板前風猫「吾郎・・・」ううううう・・・

スヘイラ「やい吾郎。おまいは板前ニャのか?」

吾郎「大陸一のモンスターハンターのキッチンアイルーになって、世界を救う手助けをするのが俺の目標だ」ううううう・・・

アニャニャ・カーン二世「ということは、もしかして、ここのマスターに弟子入りをするためにわざわざ外街へ?」

吾郎「・・・・・・・・・・・」こくり


う~~~~~~~~~~~ん・・
(どうしたものか困った形相でへたれこむ吾郎を見つめる一同)


ちら・・(懇願するようにこちらを見つめてくる一同)


ジーナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


うんうん・・(と了解するように頷いてみせる視点の主)


アニャニャ・カーン二世「吾郎さんや。もしも、そのマスターがいる場所を教えてやるといったらどうするニャ?」

吾郎「あんた場所を知ってんのか!?」ガバッハッ(再び二世の胸ぐらを掴む。同時に「きついニャアセアセ」と苦しむ二世)

スヘイラ「だから無礼はやめるニャ!!」パカァ~~~~ンドンッ(板前風猫の頭を躊躇なしにおもいっきりひっぱたく。「いちっ」って顔する吾郎)

ベックフォード「マスターは今、ヒンメルン山脈の中にある神殿で働いているんだ」

吾郎「なに!?ヒンメルンだと!?なんだってそんな「たけぇ~ところ」に!!」カルチャーショックびっくり

ベックフォード「君は本気で世界を救う板前・・キッチンアイルーになりたいんだろ?」

吾郎「・・・・・・・・・・・・・」こくり(その猫目は爛々とした大義に満ちあふれている)

ベックフォード「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ちら(こちらに了解を求めるように横目で見てくる)

ジーナ「・・・・・・・・・・・・・・・」こくり

ベックフォード「吾郎くん。その神殿では、ちょうど君のような獣人を雇用しているんだ。良ければ僕が紹介状を書いてあげよう」

吾郎「なんだって!?」

ベックフォード「ただ、マスターが君を弟子と認める保証はない。それでも君はヒンメルンを登る覚悟はあるかい?」

吾郎「・・・・・・・・・・・・・」こくり

ベックフォード「OK。ちょっと待ってくれるかい」スッ・・(胸元から手記を取り出し、丁寧にその一枚を破ると、羽ペンでスラスラと紹介文を書いていく)

吾郎「御仁。お名前は?」

ベックフォード「ヴィンセント・ベックフォード。今はまだ・・ただのウー家の執事さ」にこ






Recollection No.1_46






へこり・・(スラムのほそっこい公道の奥でベックフォードと向き合った吾郎が「小さな推薦状」を片手に一礼をしている)


スヘイラ「ジーナ様、甘すぎですニャ」ピ~ンDASH!パシッハッ(傍らでは「かすめた」異国の金貨を猫指で真上に弾き飛ばしてはキャッチしながら吾郎の背中を見届けている彼女の姿も)

ジーナ「私の顔は見られていませんし、特別、問題はありません。それに・・・」

スヘイラ「??」(こちらを興味津々に見上げてくる)

ジーナ「これから白雪神殿の彼らがどう開花していくのか・・・見届けましょう」なでなで(スヘイラの頭を撫でると同時に彼女もまたこちらに身を寄せてくる)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(次第に陽が落ちていくスラムのほそっこい公道の奥に向かって真っ直ぐに歩いていく吾郎の小さな背中とは対象的に、こちらに向かって歩いてくるベックフォードの口元もまた小さくほころんでみえる...)


To Be Continued






★次回ストーリーモードは7/15(月)0時更新予定です★