~白雪神殿、旧庭園エリア....

んんっ~~~~~~~~~
(と星空の下、枯れ果てた芝庭が広がるかつての庭園エリアで伸びをしているジェイソン。その隣では千鳥足のルチアがワインボトルを「直飲み」している)


ジェイソン「酔い覚ましにはちょうどいい涼しさだ」ハァ~~ッブショイアセアセ(言いながら豪快に鼻汁くしゃみかましている)

ルチア「おいおい。大丈夫かよ?せっかくうちらの仲間入りしたってのによ、この程度の寒さで風邪をひいてるようじゃ先が思いやられるぜ」グビッアセアセ(ワインボトルに口をつける)

ジェイソン「アースラが酒にホットドリンクを混ぜてくれたから平気さ。それに風邪を引いたとしても、次に来る時までに治しておけばいいだけの話だ。心が踊る」ラララぁ~♪(いんちきミュージカル的な下手くそ小躍りかましながらその場でクルクルと回りだす)

ルチア「他の連中があんたの本当の名前を知ったら、ただじゃ済まされねぇんだぞ?みんなあんたを殺してやりたいと思ってるんだ。まったくどういう神経をしてやがるのか・・ま、あんたがここで殺されようが、あたしらの借金が消えるわけでもないし・・・どっちでもいいけどな」ひっく(目を座らせながらも忠告をしているようだ)

ジェイソン「その結末も因果応報と言えるだろう。だからさ。自分自身がどこまで変われるか挑戦してみたいんだ」(星空を見上げる中年の瞳もまたキラキラと輝いている)

ルチア「キモ・・・あんたもバーニーもいい年して、まだ夢みてやがる。いや・・それがあんたらの現実なのか・・」(何かを悟るように彼女の酔いもまた次第に覚めていく)

ジェイソン「聞けば、かつてここの庭にはたくさんの花が咲いていたそうじゃないか。土が生きていればやがて花は咲く。肝心なのは種を蒔き、育てる意志があるかどうかだ」

ルチア「クソつまんねぇ授業・・・育ちの悪いあたしに教養という花を咲かせようって?だからあんたら大人は・・」

ジェイソン「ルチア・ロッティ。君はまだ若い。半生を因果によって拘束されてきた僕らと違ってね」

ルチア「・・・・・・・・・・・・・・」

ジェイソン「そこでだ。君に是非、頼みたいことがあるんだ」

ルチア「変態プレイ以外なら、聞いてやる」フン

ジェイソン「うーん・・それも実に魅力的だが、今回は断念しておこう。君にお願いしたいのは、これだ」スッ・・(ポケットから小さな豆のようなものを取り出してルチアに見せる)

ルチア「はぁ?種?なんの?」パチくり目

ジェイソン「学名はドスパパヴェル・フローズンアルカヌム。雪山でしか育たない氷のように凍結した美しい花を咲かせるのが特徴だ」えっへん

ルチア「生憎、ガーデニングには興味がないんだ。心の優しいアースラにでも頼みな」ふぁ~あ・・(興味なさげにあくびかます)

ジェイソン「それが君じゃないと駄目なんだ。それにこの場所でもね」

ルチア「・・・もったいつけやがって。どういうつもりだ?」

ジェイソン「ドスパパヴェルは、大陸五大元素・・つまり、火・水・雷・氷・・そして龍からなるエネルギーが種別に宿っていて、それぞれの属性に合わせた花を咲かせるんだ。このドスパパヴェル・フローズンアルカヌムは、いわば氷属性を持つ植物というわけさ」

ルチア「そんなの別に珍しくねぇじゃねぇか。大陸には火薬草にニトロダケ、それに龍殺しの実だってあるんだぜ?」

ジェイソン「ああ、そうだな。だが、このドスパパヴェルの植物体から、ある有機化合物が抽出できるとしたら・・どうかな?」

ルチア「・・・なんだよ・・それは?」

ジェイソン「アルカロイド」

ルチア「!!」

ジェイソン「しかも各属性が持つ偉大なるエネルギーを含有した特殊なアルカロイドだ。君はすでにその「味」を知っているはずだが・・・・」ちら・・

ルチア「・・・ちょっと待て!!じゃあ、ボリスの野郎が王都から頂戴してきたブツってのは・・・」

ジェイソン「いにしえ麻薬。古来より文明社会を陰から支える神薬だ。ドスパパヴェルはまさに神が与えた神秘の花というわけさ」フフ・・

ルチア「・・・そのやべぇ花をここで栽培しろっていうのか?」

ジェイソン「さすがにそれはまずい。近年、ドスパパヴェルの栽培はギルドが厳しく取り締まっているからだ。僕の予想では、近い将来、彼らは向精神薬を取り締まる専門の機関でも開設して、更に厳しく生産や流通について必要な規制を執り行っていくだろう。それを踏まえると、いくら白の同盟がギルド公認の狩猟団体だとしても、公に栽培するのはいただけない・・・だからこその君なんだ。どこかいい栽培場所を知らないか?」

ルチア「・・・・・めぼしいポイントはいくつか浮かぶ・・・・けど、アーロンはこの事を知っているのか?」

ジェイソン「アルカロイドは何も君ら好みの向精神薬を作るだけのものじゃない。その薬理作用は医薬をはじめ、医療用麻薬として使われたり、部族の幻覚儀式などにも使用される。目的に合わせて多種多様な活用ができるというわけさ。アーロンには医療用の植物を栽培しているとでも言えばいい。現在の輸送隊長は?」

ルチア「ボリスが帰ってくるまではあたしが務めることになっている」

ジェイソン「ノープロブレムだな」

ルチア「あたしが運んで、あんたが仲介になって売り捌く・・・。でもよ、さすがにその目立つ植物だけ運ぶのは、王都の検問で引っかかるんじゃねぇか?」

ジェイソン「そのためにこの枯れ果てた庭園を復興させるのさ。君もさっき言ってただろ?この大陸には各属性を持つ植物はたくさんあるとな・・」

ルチア「・・・雪山草ならすぐにでも育つぜ?他の植物の種も貯蔵庫に保管してあるはずだ。アースラに任せれば、過去にも引けを取らないくらいの「お花畑」を作ることは可能だが・・」

ジェイソン「下手をすれば鉱石以上の利益を生むぞ?君が栽培と輸送をきちんとこなしてくれれば、それなりの個別リワードも用意しよう。それで返済するも良し・・・いにしえ麻薬をふんだんに買うも良し・・・すべては君の選択次第だ」

ルチア「・・・・ジェイソン・ウー・・・。やっぱりあんたはクソ野郎だな」

ジェイソン「それも見方による」

ルチア「フッ・・・いいぜ。やってやるよ。だがひとつ条件がある」

ジェイソン「聞いてみよう」(偉そうに両腕を広げ、受け入れ態勢をみせる)

ルチア「あたしの取り分をアースラの返済に充てて欲しい。そして返済が終わったら、あの子を自由にしてやってくれ」

ジェイソン「・・・・・本当にそれでいいのか?君の返済にだって充てることができるんだぞ?そうすれば君だって自由な生活を・・」

ルチア「あんただって分かってるはずだ。あの子はこんな所にいてはいけない人間だってことを。彼女に相応しい未来を一刻も早く与えてやりたいんだ」

ジェイソン「だが、果たして盟主がそれを望むかな?」

ルチア「そのときは二人で山を降りればいい。ここの盟主に血筋なんて関係ないんだろ?一度、狩猟団の女首魁ってのをやってみたかったんだ。それに、汚れ役には慣れているからな」にこっ

ジェイソン「・・・・・・・・・・・・。因果を断ち切るのも、因果を受け入れるのも自分次第・・・・ルチア・ロッティ。君の望みは、このジェイソン・ウーが確かに・・・・・」(思い留めるように言葉を詰まらせる)

ルチア「なんだよ?約束できねぇってのか?」

ジェイソン「・・いや、すまない。約束は必ず守る。次回、ベックフォードに誓約書を持ってこさせよう。その方が・・より確実だ」ちら・・(こちらの様子を窺うように首を傾ける)

ルチア「ああ、頼むよ。その誓約書をアースラに見られねぇようにしねぇとな」しししし

ジェイソン「返済が終わったとして、彼女にはなんて説明するんだ?」

ルチア「さぁな・・・どこぞの奇特なお方が借金を肩代わりしてとでも伝えてくれ。くれぐれもあたしの名前を出すんじぇねぇぞ?それを知ったらアースラのことだ。今度は自分があたしの借金を返済するって言いかねないからな」やれやれ

ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・・・・・」(遠い目で神殿を見つめている)

ルチア「どうした?寒くなってきたか?」

ジェイソン「いや・・・・ここには・・・この神殿には、僕の知らない世界があり、また、知っておかなければならない世界がある」






Recollection No.1_45






ザッザッザッザッザッザッ・・(月明かりに照らされながら、神殿の方へ俯きながら歩いていくルチアとジェイソンの背中を見つめながら続いていく)


ルチア「あ、そうだ」

ジェイソン「なんだ?」

ルチア「一応、あんたには報告しておくよ。疾走したボリスの件なんだけどよ・・・外街の四番街でこれを発見したんだ」スッ・・(懐から無骨なシルバーリングを出してみせる)

ジェイソン「指輪・・彼のものなのか?」

ルチア「ああ。他でもないあたしがあいつにあげたものだ。この指輪をマスターの犬が咥えていたんだ。間違いなくボリスが四番街に立ち寄った証拠だ・・!」グッ(憤慨を押し殺すように指輪を力強く握りしめる)

ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・・」ザッザッザッザッ・・(前を向いて歩きながらも心の目はこちらを向いているのがその背中より伝わってくる)

ルチア「ボリスに関することが分かったら何でも教えてくれ。もちろん情報量は払うから・・って、ツケになっちまうがな」ふぅ~~~~


アースラ「ルチア~~~~~♪」(神殿の回廊内よりこちらに向かって手を振っている)


ルチア「なんだよ、子供じゃあるまいし、わざわざ迎えに来たのかよ?」(と言いながらも顔はすごく嬉しそうである)

アースラ「娯楽室のみんなにもあんまんを配ってきたの。みんな、とぉ~~っても美味しいって言ってくれたわ♪」

ジェイソン「娯楽室?」

ルチア「ああ。長い間、使ってない大部屋があったからよ、そこを娯楽室にしたんだよ。掃除するのがマジで大変だったけどな」やれやれ(する横でニコニコしているアースラ)

ジェイソン「それはいいことだ。今度、娯楽品を提供しよう・・・おっと」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(回廊と庭園エリアを隔てる低い塀に隠れた、やたらと「姿勢の低い」老メラルーが呆けた顔で見つめていることに気づく)


ジーナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

メラルーのマスラー「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ぶるぶるぶる(震えながら見えているのか見えていないのか不明な「しょぼしょぼした目」をパチクリさせている)

ジェイソン「マスター、いたのか。これは失礼した」

メラルーのマスター「えっ?」

アースラ「神殿の生活はどうですかって」(身を屈めてマスターに話しかける)

メラルーのマスター「♪♪」グッ(ジェイソンに向かってニコニコしながらサムズアップしてみせる)

ジェイソン「それは何よりだ」グッ(同じくサムズアップで返答する)

メラルーのマスター「・・・・・・・・・・・・・・・・」クンクンクンクン(何かを探り当てたかのように鼻を効かせる)

アースラ「おじいちゃん、どうしたの?」

メラルーのマスター「・・・・・・・・・・・・・・・・」クンクンクンクン(匂いを嗅ぎながらこちらに向かって歩いていくる)

ジーナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

メラルーのマスター「・・・・・・・・・・・・・・・・」(目の前で立ち尽くしながら、こちらを見上げている)

ジーナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

メラルーのマスター「・・・・・・・・・・・・・・・・」(口を半開きにしながらまだこちらを見上げている)

アースラ「そちらはお客様のボディガードの方よ。安心して」

メラルーのマスター「・・・・・・・・・・・・・・・・」ぽん(なにかに気づいたように手のひらを打つ)

アースラ「??」

メラルーのマスター「・・・・・・・・・・・・・・・・」グッ(満面の笑みを浮かべながらこちらに向かってサムズアップしてみせる)

ジーナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(面の中からそのマスターの姿を見下ろす視界が、僅かだが歪んだように眉間にシワを寄せる)

ジェイソン「・・・・・・・・・ハァ~~~ックショイ!!」(空気を遮るようにわざと大げさなくしゃみをしてみせる)

ルチア「ほらみろ。やっぱり風邪ひいたんだ」

アースラ「あら、それはいけないわ。さぁ、応接間に戻りましょう」(一同を中に促しながら進んでいく)

メラルーのマスター「・・・・・・・・・・・・・・・・」とっとっとっとっとっ・・(何事もなかったかのようにみんなと一緒に廊下を歩いていく)

ジーナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


ザッザッザッザッザッザッ・・(意味深な間をおいてから一行のあとに続いていく視点の主)


To Be Continued







★次回ストーリーモードは7/11(木)0時更新予定です★