~白雪神殿、応接間....

ハッハッハッハッハッハッ・・・あ~~あ・・
(前回の会合同様、視点の主に背後を守られながら、こちらに背を向けた良質な木枠にシックな皮張り(その柄からして「ランポスの~」だろうか)のソファに「いつもどおり」深々と腰を下ろしてわろうているジェイソン・ウーの後頭部越しに見える同じ一対のソファに座っているアーロンもまた笑顔を浮かべている。また前回は応接間の隅に置かれていた少女の石像は見えない)


アーロン「それじゃあ本気で修行をしようって言うのかい?」

ジェイソン「もちろんだ。君が因果を断ち切ることができたのなら、僕にだってできるはずだろ?」(表情こそ見えないが、いつものように高慢を装いながらわざと皮肉めいた笑みを浮かべて相手の出方を探っているようだ)

アーロン「もちろん我々としては構わないが・・分かってはいると思うが、ここには君を恨んでいる人間ばかりなんだぞ?」

ジェイソン「それなら問題ない。僕は君の知人ということになっているのだろう?それならば、君が偽名を使っているように、僕もまたジェイソン・ウーでないことにすればいい」

アーロン「うーん・・しかし泊まり込みは君の仕事にも支障をきたすのでは?」

ジェイソン「それなら問題ない」

ベックフォード「失礼しまぁ~す」ガチャリ


キコキコキコキコ・・(飲み物のボトルやグラスが「たんまり」乗ったワゴンを押して入ってくる若き従者)


ジェイソン「うちには優秀な秘書がいるからね」スッ(奪い取るようにワゴン上のキンキンに冷えたバケツの中に入っているブレスワインのボトルを一瞬で見抜き、それを素早く抜き取る)

アーロン「なるほど・・。君も苦労するね」いやぁ~(とベックフォード)

ジェイソン「それとも、僕がいたら邪魔かな?」トッ・・トッ・・(ソファテーブルにグラスを置いていくベックフォードは実に清々しい笑顔をみせている)

アーロン「とんでもない。俺は・・アースラとルチアも大歓迎さ」にかっ(憎らしいまでに光る白い歯を輝かせながら微笑む)

ジェイソン「決まりだな。それじゃあチェックインの日取りは追って連絡するとしよう」OK(とアーロン)

ルチア「お~い!飯ができたぞ~!」ガチャッ(後ろからドアを開くと同時に彼女の陽気な声が聞こえてくる)


とっとっとっとっとっ・・(ドラゴンマスクを被ったスヘイラが慎重な足取りでグラッチェリーパイが乗ったお盆を運んでくる)


ルチア「本当によく働く猫だぜ。そういや、名前なんていうんだ?」ギクッハッ(とするジェイソンの後頭(うしろあたま)。スヘイラとベックフォードも一瞬びくっとする)

ジェイソン「あ~~~~~・・・ヘラ。うん、ヘラだ。こっちは(視点の主を見上げながら)・・・・ああ~~~~~~アンジェリカ。そうアンジェリカだ!」


へこり(と改めて礼をかますアンジェリカこと視点の主。「へぇ~」みたいな顔で見てるルチア。スヘイラはホッとしながら、ソファテーブルの上にパイを置く)


アーロン「ずっとボディーガードを?」(こちらに向かって聞いてくる)

ジェイソン「え・・・ああ・・そのぉ・・・」(救いを求めるようにベックフォードを見ている)

ベックフォード「えっと・・そうなんです!彼女達は口が聞けなくて・・。幼少期、モンスター被害に遭遇したショックの後遺症でして・・・」うう・・(悲劇に同情するように泣いている)

アーロン「そうか・・よほど恐ろしい体験をしたんだね」なでなで(スヘイラの頭をマスク越しに撫でてやる)

ジェイソン「身寄りのない彼女達を外街で見つけた執事が屋敷に連れてきたのさ。それ以来、僕の世話役をしてもらっているというわけだ。本当にそうならいいんだけどね」(最後の台詞だけは一同に聞こえない音量でこちらを恨めしそうに見上げながらちいさく呟く)

ルチア「へぇ~~~~。いいとこあんじゃねぇか、ジェイソン。また見直したよ。で、俺の借金をチャラにするっていう件はどうなった?」ぷいっ(顔をそむけて返答するジェイソン)

アーロン「ハハハハ。ルチア、アースラは?」

ルチア「ああ。たくさんパイを作ったからな。マスターと一緒に食堂に「差し入れ」してるよ。試作品のあんまんもあっからな」んふふふふ

ジェイソン「あん・・まん・・・それはなんだ?」

ルチア「おい、てめぇマジでそんな寝ぼけたこと言ってんのかよ!?あんまん知らねぇのか!?どんだけお坊ちゃん育ちなんだよ」ったく(このくらい誹謗中傷を受けることらしい)

スヘイラ「・・・・・・・・・・・・・」ちょんちょん(キョトンとしている主(ジェイソン)の太ももをちょんちょんする)

ジェイソン「??」

スヘイラ「・・・・・・・・・・・・・」カキカキカキ(ソファテーブルに猫指で「まあるい」物体を描く)

ジェイソン「・・・・それがあんまんの形なのか?」コクコク(頷くスヘイラ)

スヘイラ「・・・・・・・・・・・・・」モワモワモワモワ(と両手で蒸気の煙をジェスチャーする)

ジェイソン「湯気・・・そうか。蒸した食べ物なのか」コクコク(頷くスヘイラ)

アーロン「マスターとアースラが昔から共同開発で試作を続けてきた「秘伝のあんまん」らしい。未だに開発途中だというが、その試作品をみんなに食べてもらい、率直な意見を聞きたいそうなんだ」

ジェイソン「うーーん・・。本物のシェフばりの情熱だな・・。そこまで熱い想いのあんまん・・・是非、食べてみたいものだ」

アーロン「熱いのは気持ちだけじゃあないぞ」ちら(と、ドアの方へ目配せして知らせる)

ジェイソン「??」(後ろを振り返る)

アースラ「熱々のあんまん、おまたせしましたぁ~♪」へっこへっこ(見事までの「運搬スタイル」で、湯気がモワモワ上がる巨大な「和蒸籠(わせいろ)」を運んでくる、いつものメイドシリーズ(清廉なピュアホワイトとビビット感たっぷりな躍動的かつ鮮やかなシアンカラーのツートンを基調にしたメイドシリーズ(純白ベースのカチューシャの額側を覆う縁、カフス上のアームバンド、ベストの色がそれぞれシアン、スカートの下地はアーガイル柄(ブルー、スカイブルー、ホワイトの三色)、裾のフリルも純白でスカートの上には同じく真っ白のエプロンを付けており、デニールの薄い茶色のストッキングの上から青みを帯びた黒のロングブーツを履いている)に何処か高貴な蒼いセミセレブロングに「がっぽり」メイド頭巾を被ったご陽気なアースラ)

ルチア「う~~ん。今日も見事なまでの運搬スタイルだぜ・・」へっこへっこ(とソファテーブルに向かっていくアースラを見て惚れ惚れしている。また視点の主でさえもアースラのその姿を認めるように何度も頷いている)

アースラ「ベックさん、皆さんのお皿を用意してもらっても良いですか?」かしこまりました♪

かちゃりこちょり(とソファテーブルに人数分の皿を置いていくベックフォード)

アーロン「今日はまた、一段と気合が入っているね、アースラ」

アースラ「もちろん♪だって、たくさんの人にあんまんを食べてもらえるなんて、「夢のよう」なんですもの♪さぁ!開封式を行いますよぉ~♪」


がぽんDASH!(でっかい和蒸籠に両手を回し、豪快にそれを開ける)


モワモワモワモワ・・・(みるみるうちに室内が蒸気で曇っていく)


ジェイソン「東方の仙人たちは煙と共に参上するのが常というが・・・肝心のあんまんとやらは・・・」(和蒸籠を覗き込む)

アースラ「焦っちゃ駄目です」てんてんハッ(と蒸籠を覗き込むジェイソンのおつむを叩く。遥かに年上なのに)

ジェイソン「しかし、もの凄く熱そうだが・・・どうやって取るんだい?」

アースラ「そこも「あんまん職人」の腕の見せどころなのです!いけ!試作品615号!!」


ふぉっ!!(アースラは素早く両手を地獄風呂のように湯気立つ和蒸籠の中に勇ましく突っ込むと、中のあんまんをすくい上げるように宙へ放り飛ばす)


ヒョるるるるるる・・キラキラ(美しい蒸気の軌跡を描きながら宙を回転するあんまんという綺羅星)


ジェイソン「おお・・・・」(それに見惚れている)


すとんDASH!(見事、ジェイソンの皿に着地決め込む試作品615号)


ジェイソン「これが・・・」モワモワモワモワ・・(昂然と湯気立つ615号を上から覗き込んでいる)


キラキラキラキラキラキラキラ(まるで妖艶な美女の風呂上がりのように、純白な皮の表面に程よい汗(蒸気)をかいた試作品615号の美肌は、まさに今が旬(食べ頃)であることを示すように光り輝いている)


ジェイソン「あんまん・・・・!!」ごくり・・(自然と生唾を飲む)

アースラ「お熱いのでお気をつけて召し上がれ♪」

ジェイソン「ぼ、僕からでいいのか?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(一同、ジェイソンを「あたたかい目」で見守りながら、深く何度も頷いている)


ジェイソン「・・・・それでは遠慮なく・・・」


そぉ・・・(615号に手を伸ばすジェイソン)


アースラ「優しく・・・」

ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・」こくり(匠の意見を素直に聞く)

ベックフォード「頑張って、ウー様」

そぉ・・・(615号を優しく包み込むように両手を差し伸べるジェイソン)

ジェイソン「あつっアセアセ

アースラ「下側から・・・そっとすくい上げるように・・」

おそるおそる・・(言われるがまま615号の「ぷっくらボディ」の下側からそっと両手で持ち上げるジェイソン)

アースラ「『はふはふ』しながら口に寄せて・・」

ジェイソン「・・・・・・・・・・・」はふはふ・・(目の前に持ち上げた615号に優しく息を吹きかけ熱を冷ましながら、慎重に口元へ運んでいく)

アースラ「少し「歯」が熱く感じるかもですが、すぐに慣れます」うん(とジェイソン)

ジェイソン「それでは・・・」あ~~~~~ん(大口を開け、615号を誘う)


つっアセアセ(唇に615号の激アツ皮がついたのだろう。一瞬、彼女(615号)から顔をそむけるジェイソン)


ルチア「何やってんだよ・・!ったく・・見てられねぇぜ」(隣ではベックフォードが「おお、神よ・・」みたいな感じで額に手をあて、天を仰いでいる)

アースラ「では、ウー様。熱いのが苦手でしたら、「初心者用」の「むしって食べる方式」を・・」

ジェイソン「大丈夫。大丈夫だ。任せてくれ」


あ~~~~~ん・・・・(再び熱々の湯気をたたせる615号を「ハンバーガーを食べるように」口に運んでいくジェイソン。それを見守る一同の緊迫した顔もまた)


はむっ・・(先っちょを齧ることに成功するジェイソン)


ベックフォード「やった!!」


はむはむはむ・・(皮部の味を堪能するジェイソン)


アースラ「どう・・です?」

ジェイソン「こんなにうまい蒸しパンを食べたのは生まれて初めてだ・・・」あむあむ・・ごっくん(両目を閉じながら味わいつつ、それをありがたく飲み込む)

アースラ「ありがとうございます。でわ、肝心の中身の方を・・」

ジェイソン「なに・・?蒸し菓子ではないのか?」

アーロン「中を見て」

ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・!!!!!」


グツグツグツグツグツ・・(かじられた615号のマントル部(中身の中心)から、マグマのように煮えたぎるこし餡が食べる者を威嚇するように挨拶かましている)


ジェイソン「こんなギミックが・・・」

アースラ「怖がらないで。あんまんはオトモダチです」にこ

ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・・・・」こくり


あ~~~~~~~~~~~~ん
(引き続き「ハンバーガー方式」で615号を口元に寄せるジェイソン)


アースラ「そう・・一気に上顎と下顎で615号を上下から挟んじゃって!!」


がじっ!!(熱々の615号を半分かじることに成功するジェイソン)


アーロン「いった!!」やった♪(とハイタッチするルチアとベックフォード)


はふはふ・・はふはふはふ・・(と口内で燃え上がる隕石のような615号を冷ましながら味わっていくジェイソン)


アースラ「お味は・・・・?」


スッ・・(ちょっと待て、的な感じで「はふはふ」しながらアースラに手のひらを見せるジェイソン)


ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・・・・」ごっくん・・

アースラ「・・・・・・・・・・・・・・」(心配そうにジェイソンを見つめる彼女の肩を抱くアーロン)

ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・・・・・」(天命を授かるように両目を閉じて顔を見上げる)

アースラ「・・・・・・・・・・・・・・」

ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・・・・・」つぅ・・(片目より自然と涙が流れる)

アースラ「・・・・・届いたようですね。あんまんの志が」

ジェイソン「奇跡の味・・・栄枯盛衰を一瞬にして垣間見た気がする・・・・」グッ・・(流れ続ける涙を力強く長い袖で拭う)






Recollection No.1_44






たしっハッ(アースラの両手を力強く握りしめるジェイソン)


アースラ「??」

ジェイソン「アースラ・ベアトリクス・ウルバン。君の615号・・・いや、あんまんは、至高の傑作だ」フォーーーーー!!(と大喝采する一同。アースラもまた天使のような笑顔でジェイソンを見つめている。スヘイラだけが「ニャンだコリは?」と言わんばかりにやれやれポーズをしている)


To Be Continued







★次回ストーリーモードは7/8(月)0時更新予定です★