~白雪神殿、応接間....

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(殺風景な暖炉付きの石造りの部屋の中心、こちらに背を向けた良質な木枠にシックな皮張り(その柄からして「ランポスの~」だろうか)のソファに深々と腰を下ろしているジェイソン・ウーの後頭部越しに、同じ一対のソファに並んで腰を下ろしているアーロンとアースラの姿が。また視界には部屋の隅に飾られている「首から上を失った少女の石像」も映っている)


アースラ「それじゃあ、お母さんは返済金を持っていた為に・・」(何かを悟ったように俯く)

ジェイソン「盗賊に襲われた可能性が高い」

アーロン「・・・・・・・・・・・・」(何か思い当たる節があるように考え込んでいる)

ジェイソン「そこで君はご両親と共に殺された・・と推測するのが妥当だと思うが・・・君が見た「死の記憶」は確かなのか?」

アースラ「はい。うまく表現はできませんが・・光の束に吸い上げられるようにして空に浮かんでいました・・。とても心地いい感覚でした・・」(顔を上げ、両目を閉じながらその時の出来事を再体験しているかのようである)

ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・・」

アースラ「すると今度は何処からか、両親の声が聞こえてきたのです」(こちらの意見を求めるようにはっと目を開ける)

ジェイソン「ちょっと待った。その時の君はまだ赤ん坊で、両親の顔はおろか、声も覚えていないはずだ。なぜ両親だと?」

アースラ「両親以外に考えられないからです」

ジェイソン「・・・・・・・・。それでご両親は君に何と言ったんだい?」

アースラ「最初に父の声で「アースラ。お前はまだこっちに来てはいけない」と聞こえました。次に母の声が聞こえ、「白の使徒、アースラ。あなたにはやらなければならないことがあります。救いの恵みを授かり、あまたの死を乗り越え、この聖なる浄化による誕生が齎した命を紡いでゆくのです」と・・」

ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・・」(こちらからは顔こそ見えないが、神妙な表情を浮かべているのであろう気配は伝わってくる)

アースラ「そして次の瞬間、見上げる天空から眩い光が灯され、巨大な白龍が目の前に降りてきてこう言いました」



アースラ・ベアトリクス・ウルバンよ


ここに汝と契約を結び


汝、復活者となりて大陸を救わん





アースラ「・・・と・・」

ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

アースラ「信じられないような話ですが、私はこの時に体験したことを今でもはっきりと思い出すことができます」

ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(視点の主に感想を求めるかのように少しだけ顔を傾ける)

アーロン「自分も彼女から、この話は何度も聞きました。アースラ。ウーさんになら、見せてもいいんじゃないかな?」

アースラ「ええ。そうね」

ジェイソン「??」(その会話に反応を示すように首をかしげる)


スッ・・(アースラが頭に被っている葬儀用の白装束のフードを脱いでみせると、高貴な蒼いセミセレブロングの両脇から、細い髪を貫いて尖った両耳が顔を出している)


ジェイソン「竜人族・・・・とはまた少し違う・・・・そうか。ハーフ・・或いは竜人族の血を継いでいるのか」

アースラ「おそらく。母方がそうであったのか、父がそうだったのかは分かりませんが、おっしゃる通り、私には竜人族の血が流れていることは確かなようです」ぴんぴん(先端が尖った両耳を両手の指で弾いて強調してみせる)

アーロン「アースラの話を聞く限りでは、お母さんの方が竜人であった可能性が高いと思うけど・・」んべ~(と自分の尖った両耳を引っ張りながら舌を出しておどけてみせているアースラの実にふざけきった顔たるや)

ジェイソン「僕もそう思う。君の母上・・ベアトリクス家が竜人族の血筋を引く一族ならば、一時的にシュレイドを離れていたとしても納得がいくからだ。おそらく君の祖父母、或いはその前の代に、シュレイドを離れている可能性が高い。そしてシュレイドとは別の場所で返済金を貯め、君の母上の代になってようやく目処が立ち、王都に戻ろうとしていたのではないのかな?」

アーロン「そうか・・当時は竜人狩りが横行していたからか・・・・まったく・・ロザリー家の末裔として恥ずかしい限りだ・・」(首を振りながら俯いてしまう)

アースラ「あなたのせいではないわ。母が・・ベアトリクス家が代々、ウー様にお金を借りていたことは事実。私の名前になぜミドルネームが授けられていたのか、これではっきりしました。ウー様。わざわざ調べてくださり、とても感謝しています」へこり(深々と頭を下げる)

ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・・・」ぽりぽり(と、後ろ向きに頬を掻くその表情こそこちらからは見えないが、どうリアクションして良いものか困った顔をしているのは見て取れる)

アースラ「そしてお金が返済できていないのもまた事実です・・。よし!明日からまたしっかり働くぞ!!」はちょえ~~(とへんてこな拳法ポーズをとっている)

アーロン「・・・・・・・・・・・・・・・」(何か言いたげな様子でジェイソンを見つめている)

ジェイソン「・・・・・・・・。あ~~~~~・・少し話をしたから喉が乾いたな。それとやっぱり肌寒い。ホットドリンクを・・できればアルコール入りで貰えるかな?」

アースラ「あハッすみませんアセアセ私、自分の話に夢中になってしまって、つい・・・すぐに持ってきます!!」バッDASH!


シュタタタタタタタ!!ガチャリ!!・・カチャリ・・シュタタタタタタタ!!
(ハンターばりのダッシュをみせながら然程広くない部屋を駆け抜け、ドアを豪快に開けるやいなや外に飛び出し、「失礼致しました的な角度」で軽くお辞儀をかましながら今度はやたらと丁寧に閉め、再び廊下を爆走していくアースラ)


ジェイソン「いやはや。天真爛漫とはまさに彼女のためにある言葉だな・・。それで?アーロン・ロザリー。何か言いたい様子だが?」

アーロン「ああ・・・・」ちら(こちらを気にかけるように目を向けてくる)

ジェイソン「・・彼女・・ボディガードは気にしなくていい。僕が保証しよう」

アーロン「・・・・先程の仮説・・。アースラ達を襲ったという盗賊がいたというのは本当なのでしょうか?」

ジェイソン「今調べさせている。君の危惧は分かる。なぜならば君が生まれ育った場所もまた、山賊の住処だったのだからな」

アーロン「俺はやっていない!!確かに王都の貴族を狙ったことは何度もあるが、悪評の高い連中ばかりを狙っていた!それに赤ん坊を襲った覚えはない・・・断じて誓おう」

ジェイソン「だが、君が参加していないだけで君の「育ての親」たちならどうだろうか?」

アーロン「・・・・・・・・・・・」

ジェイソン「僕が知る限り、王都周辺で名の知れた山賊は君たちだけだ。十分に可能性はある」

アーロン「だとすれば、その金は親父から既にあなたの元に・・・彼女の返済が終わっているかもしれないと言ったのは、そのせいか・・・」フーーーー

ジェイソン「証拠がない。なにせもうずいぶんと過去の出来事だからな・・」

アーロン「そうですね・・・・・」

ジェイソン「・・・・・・・・・・。その石像・・・メサイアの妖精を?」(部屋の隅に飾ってある半壊した少女の石像を見ているようだ)

アーロン「ええ・・。歌劇事件の時に壊されたんだ・・。親父がやったのか、親父が呼び寄せたギルドの傭兵がやったものなのか・・・どちらにせよ、この石像は自分の戒めとして残しておくつもりです」

ジェイソン「ジレンマか・・復元した彼女の姿を見ることで罪悪感は以前より増すだろう。だからといってそのまま復元しない彼女の姿を見続けることもまた、過去の罪悪感を抱き続ける要因となっている・・・。それはまた、ギルドに彼女の居場所を伝えた僕もまた同じ・・。もし、直す気があるのなら、王都から凄腕の石工を派遣しよう。もちろん、費用はウー家がもつ」

アーロン「一蓮托生・・・とはいかないまでも、僕らがオクサーヌに対して罪悪感を覚えているのは同じか・・。ありがとう、ウーさん」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(二人の間に走る沈黙が、それぞれ歩んできた苦悩の追憶を漂わせている)


ガチャ・・(時の経過を取り戻すようにドアが開かれる)


ルチア「馬に餌をやってきたぜ。これで帰りもバッチリだ」(ベックフォード、ドラゴンマスクを被ったスヘイラを従えて応接間に入ってくる)

ジェイソン「ありがとう。これはチップだ」ぴぃ~~~んハッ(と指で銀貨を弾いてルチアに飛ばす)

ルチア「しっしっしっ。この程度なら毎日やってやるよ(パシッと銀貨を受け取る)。それにしても、よく働く獣人だな」(傍らに立っているスヘイラを撫でようとする)


しててててててて・・(逃げるように「本当の主」のもとに駆け寄ってくるスヘイラ)


ジェイソン「ははは。君を主とは認めていないようだ」ちっ(とルチア。極道みたいな顔してる)

アースラ「お待たせしましたぁ~♪」すってってってってっDASH!(水が入ったグラスをお盆に乗せてご陽気にやって来る。頭には再び白装束のフードを被っている)

ジェイソン「アースラ。君はニャ・モンドのマスターに育てられたと聞いたが?」ことん(ソファテーブルに水を置いていくアースラ。ちゃんと視点の主の分まで水を用意してきたようだ)

アースラ「はい。マスターには本当にお世話になりました。ちょっとお家が狭かったけど、それも良い思い出です♪」ぽすん(お盆を抱きながらアーロンに密着するようにソファに腰を下ろす)

ルチア「獣人に育てられたニャんてニャ。おかしな話だぜ」しっしっ(再びスヘイラを撫でようとするも「しっし」される)

ジェイソン「マスターをここに迎え入れるつもりか?」

アースラ「そのつもりです。マスター次第ですけど」(と少し自信なさげに俯いてしまう)

ジェイソン「マスターは君が喜ぶことならなんでも了承すると言っていた。君達が構わないのなら、彼を無事に神殿へ連れて行こうと思うが・・」(アーロンの顔色を窺う。アーロンは申し訳無さそうな顔をしながら、隣でコクコクと頷くアースラを見て返答を決断する)

アーロン「何から何まで・・・助かります」

ジェイソン「決まりだ。ベックフォード。明日にでもニャ・モンドに行って、マスターに告げてくれ。それで「引っ越し」の日程を決めるといい」はい(とベックフォード)

アースラ「ありがとうございます!ウー様!!」へこり(深々とお辞儀をする)

ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・・・」(軽く何度も頷きながら彼女を見つめているようだ)

ルチア「なぁ、これを機に獣人を神殿に呼び寄せるって話も進めてみたらどうだ?」

ジェイソン「ほぉ・・そんな計画を」

アーロン「アースラのアイデアです。愛らしい獣人を神殿内のヘルパーとして雇ってみてはどうかってね」

ジェイソン「確かに・・彼らの作る料理は絶品だ。特にマスターのパイはね・・・。そうだ!アースラ!君は料理もマスターに教えてもらったのだろう?なら、あのパイを作ることができるか?」

アースラ「もちろんです♪レシピはしっかり覚えています。今宵の晩餐は明日のために」にこっ

ジェイソン「おっけ~~~♪それじゃあ今宵はグラッチェリーパイのパーティーと洒落込もう」ひょっひょ~~♪(と肩を組んでへんてこりんなスキップをかましだすアースラとルチアを横目に憎らしいほどまでに白い歯を輝かせて微笑んでいる二代目盟主)






Recollection No.1_41






スヘイラ「良かったですニャ♪」(と隣からこちらにだけ聞こえるちいちゃい声で話しかけてくる。おそらくは主の好きな食べ物が出てくることを祝してくれているのであろう。無言のまま、そっと彼女の頭を撫でてやる視点の主)



To Be Continued








★次回ストーリーモードは6/27(木)0時更新予定です★