~ジェイソン・ウーの屋敷、庭園エリア....

ボフボフ・・ボフボフボフ・・
(見下ろす一人称視点を逆に見上げている無愛想なモスな顔面。また視点の主は椅子に腰を下ろしているのであろう。視界の下部には「いつもの黒衣の外套」に覆われた両脚も写り込んでいる)


スッ・・もしゃもしゃもしゃもしゃ
(視界に写り込んできた白い綺麗な左手には「ブタせんべい」が握られており、目の前のモスはそれに気づくやいなや、高揚した様子でよだれを垂らしながら一心不乱にがっついてくる)


とんとんハッ(その頭を軽く叩くように撫でてやる。モスは地面に落ちた「せんべい」の食べかすに夢中になっている。また下に見える芝生は均一に刈られており、この庭園が常日頃から入念な手入れが施されていることも分かる)


ボフボフ・・(言うモスをよそに首を上げると、広大な緑の敷地に木々がまばらに生い茂った自然公園のような風光明媚な景観の中、木陰に身を寄せながらスパルタカスファイア(ライトボウガン下位)を構え、エリアの遠くで飛び回っているケルビを狙っているジェイソン・ウーの後ろ姿が見える)


バオーーーーーーーンドンッ(満を持して一発の火炎弾を放つも、発射と同時にその衝撃に耐えられず尻もちをついてしまうジェイソン)


・・・・・・・・・・・・・(そのままの姿勢でこちらを振り向き、「やれやれ」と首をかしげるジェイソンの向こう側では、以前として優雅に駆け回っているケルビの姿も見える)


フフ・・(微笑む視点の主に向かって、お尻をはたきながら起き上がり、こっちに来るよう手招きをしているジェイソン)


スッ・・ザッザッザッ・・(立ち上がり、スパルタカスファイアを「撃ってみろ」と手渡そうとしているジェイソンのもとへ歩み寄る)


ジェイソン「単独モンスターとの戦闘に特化した攻撃型ライトボウガンの強化版だというが・・今の僕じゃ、この狩猟兵器の性能すら知ることができない」チャッ・・(ボウガンを受け取る)

ジーナ「ターゲットは?」スチャ・・(ボウガンを構え、木々越しに見える数頭のケルビの方へ銃口を向ける)

ジェイソン「そうだな・・・あれはどうかな?」(芝生の上を歩いている雄のケルビを指差す)

ジーナ「ただ仕留めるだけではケルビの命が無駄になります。片角だけを落としてみせましょう」ヒュ~~~~(と口笛を吹くジェイソンには目もくれず、構えるボウガンのスコープを覗き込む)


・・・・・ちゅんちゅん・・・・・・
(クロスヘア越しに「とっと、とっと」と左側に向かって優雅に歩いている雄のケルビ)


ススス・・・(ケルビの動きに合わせながら照準を外側の角(左側)にあてる)


バオーーーーーーーーーン!!
(発射とほぼ同時に左角が爆砕し、それにびっくりしたケルビは慌てて照準の外へ走って逃げていってしまう)


ジーナ「角は薬にでも使ってください」パチパチパチ(拍手しているジェイソンにボウガンを手渡す)

ジェイソン「ハンター経験が?」ふむぅ~(とボウガンをまじまじと見つめながら自分との違いを考察している様子だ)

ジーナ「真似事だけなら。本物のハンターには敵いません」

ジェイソン「マンハントなら・・どうかな?」チャッ(ボウガンを構えながら銃口をこちらに向けてくる)

ジーナ「・・さぁ・・・どうでしょう」

ジェイソン「ヴィリエを殺したのは君達だな?」

ジーナ「何の話でしょうか」

ジェイソン「ヴィリエは僕の幼馴染だった。そしてかけがえのない理解者でもあった。殺害した理由は報復・・それと警告だと捉えている。だが、この憤りはどこにぶつければいい?君か?それとも手を下した君の部下にか?」

ジーナ「その先にあるのはあなた自身の死です。欲動に負け、大義を失わぬよう」

ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・」(構える銃身越しに視点の主の意図を推し量るような鋭い眼光でこちらを睨んでいる)

ジーナ「・・・・・・・・・・・・」

ジェイソン「あくまでも僕らはビジネスパートナーだというわけか・・・・君のその深淵なるマゼンダの瞳を見ていたら、死生観を問い直すこと自体が馬鹿らしく思えてきた。僕らが生きている世界は混沌にしかなく、ちっぽけな僕らなど、自分の意思で生きているのではなく、生かされているだけなんだとね・・・」チャッ・・(銃口を下げながら俯いてみせる)

ジーナ「希望を打ち消すのが絶望ならば、闇に打ち勝つのもまた光です。混沌とはその過程にあります。生きているのも生かされているのも志の違いであり、現実的には何も変わりありません」

ジェイソン「なら君は何に希望を見出し、何に絶望を感じ、何処に混沌を覚えるんだ?」


スッ・・(視点の主が右手を心臓の上にあてる)


ジェイソン「フッ・・・クックックッ・・ハッハッハッハッ!君の強さの秘密はその凄烈な因果にあるということか。ジーナ・ジラント」(額に手をあて、満足気に笑っている)

ジーナ「原因と結果は時の流れがあってこそ生まれるもの。時間こそ恐怖の根源であり、それを飲み込むことができるのは闇の深潭のみ。計り知れない奈落の中で苦悶するからこそ、故に心は自由になるのです」

ジェイソン「混沌と闇・・・君が信仰を寄せるのはこの何方か・・・・」






Recollection No.1_30






ちゅんちゅん・・ちゅんちゅん・・
(屋敷が見える方向から従者が足早に歩いて来る)


ジェイソン「あれなら僕でも仕留められそうだ」チャッ(ボウガンの銃口をこちらに向かってくる従者に向ける)

ジーナ「お戯れを。火急の要事ならば一大事です」

ジェイソン「ヴィリエを失った喪失感に勝る知らせではないさ。どうした?」(息を切らせながらかしこまっている若い従者に向かって聞く)

従者「ハッ。今しがた、白の同盟を名乗る修練者がウー様に言付けをしろと。それを伝えに参りました」

ジェイソン「向こうから・・・それで?」

従者「近々、新たに盟主となったバーニー・ブラントが挨拶も含め、ウー様と直々に会談をしたいと・・・日時はこちらに任せるとだけ言い残し、修練者は去って行きました」

ジェイソン「名前は?」

従者「ルチア・ロッティという赤毛の若い女性でした」

ジェイソン「知らないなぁ・・債務者の管理はヴィリエに一任していたからね」(こちらに向かってやれやれモーションをしてみせる)

従者「いかが致しましょう?」

ジェイソン「その女はもういないんだろ?ならば急ぐ必要もあるまい。追って伝える」

従者「ハッ」(と礼をかまして去ろうとする従者)

ジェイソン「早く走らんか。この距離ではつまらん」チャッ(去ろうとして背中を向けた従者に銃口を向ける)

従者「えっ・・!?」あたふたアセアセ

ジェイソン「興ざめだ。早く行け」はぁ・・(と権力者の「極滑り無茶振り」に対し、妥当なリアクションを見せながら去っていく可愛そうな従者)


ボフボフ・・ボフボフ・・(再び視点の主のもとに「餌くれくれ」と近寄ってくるモス)


ジーナ「実直そうな御方で」むしゃむしゃ(身を屈め、ブタせんべいをモスに食べさせてやる)

ジェイソン「ヴィリエの後継者候補だよ。仕事にそつない男だがユーモアに欠ける。いっそ、君のように臨機応変な獣人を雇うかな・・。今の申し出、君はどう思う?」

ジーナ「嘘はないかと。盟主自ら下山してくるのは誠意の証拠。それ以上に気がかりがあるのだとすれば、貴方様に直接聞きたいことがあるのでは?」むしゃむしゃ(餌をやりながら答える)

ジェイソン「一理あるな・・。ロザリー家の末裔がどんな男なのか興味はある。だが、危険がないとも言えないな・・」ふ~(と面倒くさそうにボウガンのスコープを覗きながら遠くに聳え立つヒンメルン山脈に向かって銃口を向ける)

ジーナ「それならば同伴致しましょう」(身を屈めたままジェイソンを見上げる)

ジェイソン「君が・・?」

ジーナ「ええ。と言っても、赤の他人がいては対談に支障をきたします。そこで提案なのですが、対談される部屋を外から監視できる手段は無いでしょうか?」

ジェイソン「それならあるぞ。商談で使う部屋に大きな絵画が飾ってあるのだが、その裏は隠し部屋になっていて、そこから絵画に空いている小さな穴を通じて監視と盗聴ができる仕組みになっている。っと、これは僕が考えたんじゃなくて、ヴィリエの「趣味」だ。彼は商談のアドバイザーも務めていたからね。その狭い部屋でよければ、是非、君に護衛を任せたい。最も、君も無縁ではないか・・」フフ・・

ジーナ「・・・・・・・。分かりました。では日時が分かり次第、お伝えください」

ジェイソン「伝達方法は?」

ジーナ「それならば外街四番街のカフェ、「ニャ・モンド」へ。場所は「グラッチェリーパイが美味しい店」とでも外街の住民に聞けば、すぐに分かると思います」

ジェイソン「スラムのカフェ・・・そんな場所で君がパイを?」

ジーナ「デイリーオーダーです。安らげる数少ない場所ですの」

ジェイソン「ほぉ・・君にそんな趣味があったとは意外だ。分かった。そうしよう」

ジーナ「では、本日はこれにて」スッ(立ち上がり、ジェイソンに背を向けてその場を去ろうとする)

ジェイソン「ちょっと待て」チャッ(おそらくはボウガンを構え、銃口をこちらに向けているのであろう)

ジーナ「私にも同じお戯れを?」(そのまま振り向かず、大自然の向こう側に建っている豪壮な屋敷を見つめている)

ジェイソン「最初からおかしいと思っていたんだ。君が直々に商談をしに屋敷に来た時からね。カーン君の息子が僕を憎んでいるとはいえ、彼もまた公私混同はしないプロフェッショナルであることには違いない。今日の商談レベルなら、彼を通して伝達するだけで良かったはずだ。ということは、君は最初から、神殿から使者が来ることを知っていて・・・」

ジーナ「それこそ戯言です。せっかく王都に戻ってきたのです。貴方に会いに来てはご迷惑が?」(それとなく首を後ろに回す)

ジェイソン「・・・・いや・・君ならいつでも大歓迎だ。ジーナ・ジラント」チャッ・・(銃口を下げたのであろう音が聞こえる)

ジーナ「では・・また」ボフボフ・・ボフボフ・・(屋敷の方へ歩き出すと、足元で先程のモスが実に名残惜しい顔をしながら見送ってくれている)


To Be Continued







★次回ストーリーモードは5/20(月)0時更新予定です★