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(一人称視点。かつてステージエリアとして代用されていた倉庫内の天井を見上げている)


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(正面口より奥、歌劇の舞台が設けられていた位置の天井一帯に、黒い焦げ跡が広がっており、過去この場所で激しい火災があったことを証明している)


ファオオオオオオオオ・・・(上を見上げながら焦げ跡の真下に移動してくると、天井の一部を覆い尽くす黒い炭のような模様が、どういうわけか断末魔の叫びをあげている人の形相となって浮かび上がってくる)


ジーナ「ナイトの怨念・・・或いは少女の遺恨か・・・・いずれにせよ・・」フフ・・(天井から今にも襲いかからんと大口を開けている不気味な阿鼻叫喚の焦げ跡を見上げながら鼻であしらう)


ガチャリ・・


そそぉ・・(振り返ると開き戸の半分を慎重に開けながら中に入ってくるボリスの姿が)


ボリス「待たせたな。酒を配るのに時間が掛かっちまった」(その手には自分が纏っているのと同じ白装束を握っている)

ジーナ「バーニー・ブラントはアルコールの所持も禁じているのですか?」

ボリス「『適度に』だとよ。だからとてもじゃねぇが、あんたらから買っているブツのことなんて言えるわけがねぇし、見つかるわけにもいかねぇのさ。ほらよ」ボッDASH!(白装束を投げ渡してきた)

ジーナ「お金はどうしているのです?」バサッ(右手でそれを掴み取る)

ボリス「安心しな。補給物資を買う予算からちゃんと工面した金だ。偽札じゃねぇ本物のな。・・・・・ってよ、まさか例の偽札騒動・・・まさかそれもあんたらが絡んでいるわけじゃねぇだろうな?」

ジーナ「ご想像にお任せします」バオッ(装着している黒衣の上から羽織るように白装束を身に纏う)

ボリス「うーーん・・・そうか。その上から着るために、サイズのでかいものを用意しろって言ったんだな?脱げばいいのによ」ひひひひひひ

ジーナ「とても大事な装束なのです。あなた方はそうではないのですか?」ファオッ(今度は白いフードをおっ立て、深々と被る)

ボリス「囚人服みてぇで嫌いだ。ま、表向きは汚れなき狩猟団のいち員だからな。胸のうちはあんた同様、真っ黒だけどよ」ぶははははは(一人でウケてる)

ジーナ「バーニー・ブラントは?」

ボリス「帰ってきた。あんたに言われたとおり尾行したら、まっすぐ書庫に向かって行ったぜ。今頃、ルチア達の仕事っぷりをチェックしているはずだ」

ジーナ「結構です。神殿の様子はどうでした?」(ボリスは話を聞きながら懐より小さな薬包紙を取り出す)

ボリス「昼間採掘に行っていた連中も帰ってきたが今頃、部屋でぐっすりだろうよ。代わりに今度は遅番の連中が採掘に出かけた。監視の連中は俺がくれてやったブレスワインの味見をするために食堂を占拠してやがる。つまり今がチャンスだってわけだ」とんとん(手の甲に薬包紙を軽く叩きつけ、中に入っている白いあやしげな粉を微量に出す)

ジーナ「ことを荒立てるつもりはありません。少し神殿の中をこの目で確かめたいだけです。エスコートしてくれますね?」すぅ~~~~(肯定を示すように粉を鼻から一気に吸引するボリス)

ボリス「あったりめぇ・・っひょ~~~~!!すげぇなこいつは!?マジでぶっ飛びそうだぜ!!今ならラオシャンロンとタイマンはれそうだ!!」フラフラ(豪語しながら千鳥足)

ジーナ「フフ・・。それで良ければ、神殿を案内してくれた後にもっといいものを差し上げましょう。では」カツカツカツ・・(出口に向かって歩き出す。背後から「待ってくれ~」と言いながら「ドテン」と倒れるボリスの尻もちの音が。余程、効いたらしい)






Recollection No.1_25






カツカツカツカツ・・(ブーツの音を石床に響かせながら、すっかり暗くなった回廊内を颯爽と歩いていく)

ボリス「ルチアに他の女と歩いているところを見られたらまずいな・・色男になった気分だぜ」むひひひひひ(背後からバカな笑い声が聞こえる)

ジーナ「普段は友人と?」カツカツカツ・・

ボリス「それもねぇ。つるむのは好きじゃねぇんだ。見張りに怪しまれない程度に、表向きはうまくやってるように見せているがな。ここの連中は、大半がそんな心に闇を抱えた廃人ばかりさ。みんな、早いとこ利子分の働きをして「下界」に帰りたいんだよ」

ジーナ「今まで達成した人は?」カツカツカツ・・

ボリス「いねぇ」ガッハッハッハッ

ジーナ「それほど多くの負債を抱えているということですか・・。普段、書庫を使っている者は?」

ボリス「誰もいねぇ。ただの火災現場だからな。恐ろしくって、逢い引きの場所にも使えねぇ。っと、気をつけろ。そこを左折した奥に・・」

ジーナ「書庫」カツカツカツ(足早にT字路を迷いなく直進していく)

ボリス「・・・・・おい。あんた、前にも来たことがあるのか?」こそっ(慌てて左側に身を寄せてくる)

ジーナ「少しだけ。すべてを把握しているわけではありません」カツカツカツ・・

ボリス「・・すげぇ度胸だな・・・あんたも狩人出身なのか?」

ジーナ「それも少しだけ。バーニー・ブラントの部屋は?」カツカツカツ・・

ボリス「次を左だ。大部屋がいくつか通り過ぎた先に盟主の部屋がある」(回廊の向こう側に先程と同じようなT字路が見えてくる)

ジーナ「部屋割りはどうなっているのです?」カツカツカツ・・

ボリス「男女別で均等に振り分けられている。外に出るのは食堂と浴場に行く時、それから用を足す時くらいなもんさ。あとはたまに中庭で球技をしたりして遊ぶくれぇだな」

ちら・・(回廊の外に見える夜の中庭エリア全体は、無造作に伸びきった芝が広がっており、暗くてもかつてのような美しい花園が育まれていないことがひと目で分かる)

ハッハッハッハッハッ・・(神殿内の奥から大きな笑い声が反響してくる)

ボリス「監視の連中さ。腹が減ってても食堂に今行くことは勧めねぇぜ。っと、お喋りはここまでだ」カツカツカツ・・(T字路を左に曲がっていく)

カツカツカツカツ・・・(左右に見えるドアの向こう側から品のない笑い声や談笑する声が抽象的に聞こえてくる)

ちら・・(左を歩いているボリスの顔を見上げると実に緊張した面持ちで今にも吐きそうな様子で生唾をゴクリと飲み込んでいる)

ガチャッ(背後からドアが開く音が聞こえる)

ボリス「!!」バッDASH!(大袈裟に振り返ってしまう)

ガシッハッ(ボリスの腕を掴み、前を歩くよう促す)

「よぉボリス」(背後から声が投げかけられる)

ボリス「・・・・・・・・・・」(目を見開き、情けない顔で窮屈な呼吸をしながらこちらの指示を仰ぐように見つめてくる)

クン・・(首を少しだけ傾け、対応するよう促す)

ボリス「・・・おう、どうした?」(カッチカチになりながら後ろを振り返る。視点の主はボリスに身を寄せて背後の人物に顔を見られない角度を陣取る)

「お前が王都から頂戴してきたビール・・あーーーなんだっけかな・・」(背後より明らかに酔っ払っている男の声が聞こえてくる)

ボリス「ああ、ハコビールな。よその大陸の辺境にある観光地の名産らしい。美味かったか?」

「おう!なんだか「キレのあるうまさ」でよ、元気になってきちまったよ!まだまだ採掘できそうだぜぇ~♪」

ボリス「・・・・・・・・・・・」(一方こちらは明らかに言葉に詰まっている)

ゴスッハッ(背後の人物に見えない角度からボリスの脇腹に肘鉄を食らわして催促する)

ボリス「ぎゃああああああああ」

「ははははは。そうだろそうだろ。お前も嬉しいよな。っと、あまりにも元気になりすぎて漏れちまいそうだ。ほんじゃあな、ボリス。次、王都に行った時も頼むぜ~♪」(反対方向に歩いて行ってくれたのだろう。声が遠ざかっていく)

ボリス「ホッ・・・・・・」(安堵の表情を浮かべるボリスに向かって首を傾け、急ぐよう指示を出す)


カツカツカツカツカツカツ(足早に廊下を進んでいく二人の前方に右側へ曲がる通路が見えてくる)


ボリス「その奥だ」ザッザッザッザッ(少し高ぶった声色と意気揚々とした足取りから興奮状態にあることが窺える。向精神薬の作用も働いているのであろう)


スッ・・(周囲を気にかけながら一気に右折して通路に入っていく)


ジーナ「・・・・・・・・・・」カツカツカツカツ(正面に見えるドアを目視で確認する)


カツカツカツカツ・・・(歩く速度を遅め、背後から続いてくるボリスと並んで進んでいく)


ジーナ「念の為、ノックを」カツカツカツ・・

ボリス「お、おう・・」(見上げると「大任を任されちまったな」的な顔してる)


スッ・・(ドアの前で立ち止まると、ボリスもまた緊張の面持ちで立ち止まっている)


ちら(顔色を窺うというより軽く睨みを利かせたのだろう。こちらのその形相を見て「分かったよタラー」的な感じで一歩前に出るボリス。頑張れ)


・・・・・・・コンコンハッ(無駄にでかい背中を向けたボリスが少し間を置いて、気持ちを固めてからようやくノックをかます)


・・・・・・・・・・・(ドアの向こう側から返答はない)


ちら・・(ボリスが「どうする?」的な実に情けない顔して振り返っている)


クン(顎でもう一度やれと催促する)


はぁ・・・・・・・・コンコンハッ(再び無駄にでかい背中を向け、深いため息をついた後、またしても独特の間を置いてからノックかますボリス)


・・・・・・・・・・・・・・(やはりドアの向こう側の部屋は無人のようだ)


スッ・・・(「やっぱりいねぇよ」的な顔してこっちを見てくるボリスを押しのけ、ドアの前に立つ)


そぉ・・(白装束の長い袖で手を覆い、その上から慎重にドアノブを触れる)


チャッ・・(ほんの少しひねろうとしただけでドアノブはそれ以上回転しない。つまり鍵がかかっているのだ)


ちら・・(「どうする?帰る?」みたいな顔してみてるボリス。少しは何か考えろ)


スッ・・ガサガサ・・(右手を頭に被っているフードの中に入れ込み、何やらまさぐり始める)


チャッ・・(フードの中より髪をとめるのに使っていたと思われるヘアピンを取り出す。それを見てさすがのボリスもこれから何をするか悟った様子で「マジかよ」みたいな顔して見てる)


スッ・・(ヘアピンを右手に腰を下ろし、ドアノブ下にある鍵穴に目線を合わせる)


チョッ・・(ヘアピンを先端から慎重に鍵穴に入れていく)


カチャリコチョリ・・カチャリコチョリ・・(ヘアピンで鍵穴の中に探りを入れながら、伝わってくる振動によってそのシステムを指で体感する。上から「大丈夫か・・」とボリスのちいちゃい声)


カチャコチョリ・・コチョコチョッ・・・・・


はぁ・・はぁ・・・・(ボリスのでかい鼻息&臭いブレス)


カチャコチョリ・・・コチョ・・・・・・・・


はぁ・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・・


・・・・・・・・ガチャッ(鍵穴の向こう側より今までは違う性質の重たい金属音が聞こえる。つまりロック解除に成功したのだ)


ジーナ「さぁ、参りましょうか」すげぇ・・(颯爽と腰を上げ、感嘆するボリスを横目にドアノブを握りしめ、それを回してドアを開ける邪龍教徒の女スパイ)


To Be Continued







★次回ストーリーモードは5/2(木)0時更新予定です★