カツカツカツカツカツ!!
(ジーナ一人称視点。目の前には見るからに不衛生な木造食卓に腰を下ろした「商人風猫型獣人」が右手に掲げた大皿の上で湯気立つ「ガッツチャーハン」を左肉球で握るレンゲをもってその艶だつ「油米群(あぶらごめぐん)」を次々と豪快に大口の中へかっこんでいく)


ゴッゴッゴッゴッゴッアセアセ(口いっぱいに「油米群」を詰め込んだ商人猫は続けてそれを流し込むかのように木製ジョッキの底を天井に突き上げながらキンキンに冷えた「大泡発酵系麦酒(おおあわはっこうけいばくしゅ)」を一気に飲み干していく)


ぶはぁ~~~~~~~~~DASH!
げふぅ~~~~~~~~~もやもや

(満足気にそれをかます「頭にターバンを巻いた」商人猫)


しーーしーーしーーしーーはぁ
ペロペロペロペロペロペロアセアセ

(爪楊枝でしーしーしながら時折、舌を出してはペロペロと毛づくろいをしている)


ふ~~~~~~~~~~~・・
(お腹いっぱいになったのか目がトロンとしだす、ザ・商人猫)


こっくり・・こっくり・・・
(もはや言うまでもない。よだれが少し垂れてる)


♪~~~~~~~~~~
(再び店内を反響し合う会話と雑音とが撥弦楽器のメロディと入り混じり、この酒場特有の文化形態を創り出している)


スッ・・(纏っている黒衣の左袖をめくり、注射痕だらけになった痛々しい腕の関節部付近を見下ろすジーナ)


ブシューーーーーーーーーー
(間髪入れず取り出した「小銃型注射器」を躊躇なく無数の注射痕に上書きするかのように突き刺し、おそらくは向精神薬であると思われる劇薬を一気に注入していく)


ドックン・・!!
(鼓動音と共に一人称視点を覆い尽くさんばかりに漲るような覚醒エフェクトが血走る)



「お片付けしますかニャ?」


・・・・・・・・・・・・・・・・
(ウッドテーブルの傍らに店のスタッフと思われるキッチンアイルーが「ちょこんと」立っている)


ジーナ「どうぞ」


ガイン・・(おおよそ普通の女性では片手で持ち上げることが出来ないであろう重みのある大皿を軽々持ち上げ、キッチンアイルーに手渡す「か細い」ジーナの腕)


キッチンアイルー「おねえさん、ハンターですニャ♪すみませんニャ。他にご注文があればお伺い致しますニャ」とっとっと・・(大皿を両手で持ち上げ、頭上に掲げる「お馴染みのスタイル」でふらつきながらバランスを保っている)

ジーナ「もうひとつ、この方にビールを」

キッチンアイルー「それでしたら中(王都)の高級レストランでも出している極上のものがありますニャが・・」ちらぁ~~(白々しく「いやらしい猫目」でこっちの様子を窺っている)

ジーナ「ではそれを」

「ありがとうございますニャ♪すぐにお持ち致しますニャ!!」


ステテテテテテテテテ!!
(大皿を頭上に掲げたまま、慌ててキッチンに繋がっているのであろう「ウッドウォールのちいちゃい壁穴」を潜っていくキッチンアイルー。毎度ながら彼らの厨房の中は気になるが・・)


・・・・・・・・・・・・・・
(再び視点を目の前で眠りこける商人猫に移す)


キッチンアイルー「お待ちしましたニャ~~~~♪」


スタタタタタタタ!!ゴトン!!
(急いでちいちゃい壁穴から「たんまり注がれた」木製ジョッキを大事そうに抱えて出てきたキッチンアイルーが豪快にそれをテーブルの上に置く)


はっびっくり(同時に目覚める商人猫)


ジーナ「お召し上がりください。そのあと、クエストの話を」

商人猫「これは重ね重ねすみませんニャ♪では早速・・」ゴッゴッゴッゴッ・・(実に美味そうな「喉越し音(のどごしおん)」をたてながらジョッキを喰らっていく)


ぶはぁ~~~~~~~~~DASH!
げふぅ~~~~~~~~~もやもや

(満足気にそれをかます「頭にターバンを巻いた」商人猫)


商人猫「ごほん。それでは本題に・・」ひそ・・(やや周囲を気にしながら猫顔の両サイドに生えた髭を両人差し指でおっ立て、実に男前な顔に切り替えてこちらを見る)

ジーナ「布教活動は順調ですか?」(周囲から漏れる喧噪に溶け込ませながら、自然に澄んだ美声で質問する)

商人猫「はいニャ。指示通り、少なからず多からずの人数を一定値に、決して公にはならぬ人選をもって着実に」

ジーナ「中(王都)に通じている者は?」

商人猫「貴族に信頼されている近衛兵が数名。既にコンタクトも」

ジーナ「どのくらい捌けました?」

商人猫「前回分はすべて」ゴソッ・・(ターバンの中から慎重にちいちゃい麻袋を取り出し、それをテーブルの上に差し出す)


ガサッ・・(麻袋を開いて中を確認すると「Uの字」に曲がった乱雑な札束がいくつか入っている)


商人猫「例のものも・・」


ゴソッ・・(袋を揺さぶるとボロボロになった札束の奥に「大陸文字」が刻まれた綺麗なピン札が見え隠れしている)


ジーナ「予定より早かったですね」

商人猫「メンバーの中に王都の印刷工場で働く者がいましてニャ・・設計図を基にそこで使われているプレス機を再現しましたニャ。現在、第二地区の地下で紙幣作りのプロに使わせていますニャ」

ジーナ「セクメーア地方で有名なメラルーのナーフィア一族を傘下に?」

商人猫「その次男坊ですニャ。今ではすっかりいにしえ麻薬の虜ですが」ししししし

ジーナ「ほどほどにと・・。流通は直に指示を」

商人猫「東西共通の紙幣を偽造し、その価値を暴落させることで両国の経済を混乱させるおつもりですニャ?」にやり

ジーナ「予想通り、近い将来、東側で変革が訪れるかと。頃合いはそれに合わせて」(目の前で商人猫がほくそ笑んでいる)

商人猫「まさかこの「外街」で刷っているとは・・まさに灯台下暗しですニャ♪」

ジーナ「回りくどい経済攻撃はしません。ただ、効率よく使わせてもらうだけです」

商人猫「来るべき我がギルドの時代到来・・・実に待ち遠しいですニャ」

ジーナ「まだまだ時間が掛かります。まずは勢力拡大にプライオリティを」

商人猫「暗黒商会(ブラックギルド)・・。我ら邪龍教は反体制派の資本となる秘密結社になることでしたニャ。ジーナ殿」

ジーナ「はい。大陸社会において帝国主義的な侵攻を繰り広げるハンターズギルドは、単なる公な巨大組織であり、決して光ではないということです。光は既に形となって闇を警戒しています」

商人猫「そしてハンターズギルドの創り上げた物質世界を破壊するのが「運命の戦争」の意を定義する・・・」

ジーナ「その名前は伏せるように」

商人猫「す、すみませんニャタラー仮にもここは災厄が起きたシュレイド地方でしたニャ。つい夢中になり過ぎてしまって・・」へこへこ

ジーナ「この本土を、人はおろかモンスターですら生息しずらい焼け野原に変えてしまった偉大なる主の力にひれ伏し、敬意を払うのは当たり前のことです。ましてやシュレイドに住まう者ならば当然でしょう」

商人猫「主がもたらす厄災と滅亡こそが、新たな大陸創造の誕生・・・我らはその主の聖血を引きし子供達、ドラコニアンズ・・・想像しただけでしびれますニャ!!」ゴクッアセアセ(感極まってジョッキを喰らう)

ジーナ「主を討ち滅ぼそうとするハンターズギルドこそが、大陸にとってのあらゆる悪や害毒を創造する元凶なのです。戦いは始まったばかり・・・武力行使は反体制派組織に任せるとして、我らは信者数の増加及び信仰拡大を統制的理念に基盤を固めていきましょう」スッ・・(はじめて自分の木製ジョッキを掲げる)

商人猫「タラスクギルドに」グッ(同じくジョッキを掲げる)


クッ・・クッ・・クッ・・(一人称視点の下側に映るジョッキの中身がゆっくりと減っていく)


ジーナ「これを」スッ・・(周囲には見えないように袋の中から一束取り出し、それを商人猫のターバンの中に入れてやる)

商人猫「こ、こんなにいいですかニャアセアセ」(どうやら「重み」で分かるようだ)

ジーナ「構いません。我らは一蓮托生。その意味だけしっかりと熟知していて下さい」ハハァ~~~(と、目の前で仰々しい拱手をしてみせる商人猫)






Recollection No.1_05






ジーナ「それと・・」

商人猫「なんでもお申し付けくださいニャ」

ジーナ「・・『あんまん』・・という食べ物を知っていますか?なんでも饅頭の種類だとか・・」

商人猫「もちろんですニャ♪おい!こちらの御婦人にあんまんの説明を頼む!!」(近くで食器のお片付けをしているキッチンアイルーに話しかける)

キッチンアイルー「はいニャ。あんまんというのは東方の伝統ある菓子の種類でして、水、小麦粉、砂糖、酵母、そしてベーキングパウダーなんかをこねて発酵させて作った、それはそれは柔らかい皮の中に、これまた熱々のあんこが入った蒸し饅頭ですニャ。そのあんこは粒餡、こし餡とだいたい二種類がありまして、お客様のお好みに合わせてお召し上がり頂けますニャ。最近、うちでも始めたんですニャ♪うちのはそこいらのあんまんに負けない「栗入り」が売りニャんです♪♪」

ジーナ「土産用に持ち帰りたいのですが、保存期間はどのくらいで?」

キッチンアイルー「蒸し饅頭故、あまり時間が経ってしまうと冷気により縮んでしまうのですニャ。出来れば早めにお召し上がりすることをお勧めしているのですが・・もし宜しければ当店自慢の蒸しせいろとご一緒にお持ち帰られては?」

ジーナ「助かります。勿論、せいろ代も支払います」

キッチンアイルー「毎度ありがとうございますニャ♪すぐにお持ちいたしますニャ!!」


ステテテテテテテテテテ!!
(ものすごい勢いでウッドウォールのちいちゃい壁穴を潜っていくキッチンアイルー)


商人猫「良かったですニャ」

ジーナ「顧客から頼まれたのです」

商人猫「・・・確かヒンメルンの山賊相手に売買をしているそうで」

ジーナ「堅実に。それが何が?」

商人猫「王都の近衛兵に聞いた話では、山賊を一掃する為、討伐隊が派遣されたとか・・・山賊の仲間と思われぬようお気をつけくださいニャ」

ジーナ「彼らは長年、その拠点を知られずにきたはず・・・誰かリークした者がいるようですね・・」

商人猫「大方、山賊の仲間が金と引き換えに仲間を売ったのでしょうニャ。統率のとれていない軽薄なコミュニティにありがちな破滅フラグですニャ」やれやれ

ジーナ「・・・・・・・・・・・」

キッチンアイルー「おまたせしましたニャ~~!!できたてホヤホヤのグッドあんまんですニャ♪」ステテテテテテテテテテ!!(頭上に蒸しせいろを両手で掲げながら勇み足でちいちゃい壁穴より飛び出してくる)

ジーナ「間に合うかどうか分かりませんが・・ひとまず届けてみましょう」(意気揚々と蒸しせいろをテーブルに置くキッチンアイルーに「少し多めの」金銭を支払う奥では、商人猫が不思議そうに目をまあるくしながらこちらを眺めている)


To Be Continued





★次回ストーリーモードは12/27(木)0時更新予定です★