初めて私が文明と触れ合った場所


ドンドルマ


現大陸の中心地に位置するその大都市は、ヒンメルン山脈をはじめとする、切り立った険しい山間の谷に築かれており、その立地から絶える事の無い風は街を囲む風車の原動力となり、豊富な水源は街に住む人々の生活源となり、ドンドルマに笑顔と活気を齎している。

そんな自然の恩恵に加え、街の指導者である大長老の才腕も振るい、近年では狂竜ウイルス研究所を建設するなど、ドンドルマが今も尚、世界の中心地として成長を続けていることは言うまでもなく、当時アクラの辺境から出てきたばかりのまだ幼かった私(外見は今でもね)にとって、この大陸社会の最先端を征くメトロポリスから受けたカルチャーショックの数もまた計り知れない・・。


ハンターとして天性の才能を持った私は、さしずめエリートであり、アーサー直々の推薦もあって、(七面倒臭い)HRという階級社会に触れる間もなく大老殿に出入りでき、そして「岩みたいにデカい」大長老ともまた対等に口を聞くことを許された(もちろん大臣はそれを快く思っていなかったが、私が「まだちいちゃいから」という理由で特別処罰を受けることもなかった)。

こうして私は大長老の期待のもと?若干七歳にしてハンターズギルドの狩人となった(当時はまだハンターという職業と、ハンターズギルドが結成されて間もなかったのだが、現在もこの記録は更新されていない。たぶん)。

ハンターになって何が一番嬉しかったかというと、ちゃんとしたハンター武器を使えることであった(「おそろしい牙ランス」とはここでさよならすることになるが、あれはあれで良かったと今でも思うし、また感謝している)。

防具に関してはそのまま白いドレスを着用し続けた(これに関しては大臣をはじめ、多くの「大人たち」から反感を買ったが、ギルドでの初狩猟にて私が「火竜の首」をまるごと都まで引きずってきたことにより無事に沈静化された)。

都市内のクエストは概ね私一人でやってのけた(もちろん採取や運搬も)。

電光石火の速さをもってクエストを消化していく私に依頼人の方が追いつかないということもしばしばあった。

間もなくして都市の住民は私のことを「メサイアの妖精」と呼ぶようになった(由来は私の天使のようにキュートな見た目と狩人としてのインテンシティからだと思うが、一部の「ファン」の間では、私が狩猟時、常に微笑みを浮かべながら、その小さい体に似つかわしくない狩猟武器をまるでお洒落をする小道具の様に扱いながら、身の丈の何十倍もあろうかというモンスターをいなしてみせたことが、彼らの「荒んだ」心を救済したのだという。どちらにせよ「悪い気」はしなかったので甘んじてその渾名を受け入れた)。

中央広場にいる人々は、狩猟に出かける私を尊敬と共に激励してくれ、また、帰還する私を安堵と共に出迎えてくれた。


モンスターの狩猟を生業とするハンターはまさに私にとっての天職であり、ギルドは成長する場所として最適であった。

パーティーの誘いは日々絶えなかったが、一人の方が狩猟効率が良いことを知っていた私はソロハントを徹底した。

一部の狩猟団からは「小生意気なちび」と揶揄されることもあったが、自分が彼らの生計の手立てを奪ってしまっていることもまた事実ではあったので特別相手にすることもなかった(これに関しては「まだちいちゃかった」ので、大衆酒場やアリーナを楽しむ時期ではなかったことも影響している。もしも酒場に出入りしていたら、毎晩喧嘩に明け暮れていたかもしれない)。

そんな天衣無縫の「ちいちゃいながらの」寛大な対応もあり、私の名前は渾名と共に瞬く間に大陸全土を駆け巡った。「メサイアの妖精伝説」の始まりである。

その当時、ギルドで確認されていたモンスターを破竹の勢いで打ち負かし、ハンターズギルドの名前と勢力圏を次々と広めていく私に憧れ、女性ハンターの数も急増していった。

また私が考案した狩猟武器のアイデアを下に、王立武器工匠では「オクサーヌ専用」の狩猟武器も作られることとなり、後の技術促進にも大きく役に立ったという。

こうしてメサイアの妖精こと私は、ハンティングを通して、その屈託のない笑顔と人を惹きつけてやまないパーソナリティをもって大陸市民から愛された(たぶん)。

11歳になる頃には、当時ギルドで確認されていたモンスター全てを制し、私は名実共にモンスターハンターの称号を手にしたのである。






Recollection No.2_04






私はまたハンティングだけでなく、優れたトレジャーハンターでもあった。

というのも、それまでは危険視されていたフィールドやエリアも、私の強さをもってすれば庭同然のセキュリティを保つことが出来たからだ(これにより今まで入ることの出来なかった場所に調査団が入植を開始していく)。

時には観測隊の護衛にもつき、その活動範囲を広げていくのにも大きく貢献した(これがきっかけで王立古生物書士隊が正式に結成されることとなる。また同時期、もはや向かう所敵なしとなっていた私は、狩猟よりも大陸各地に眠る秘宝を探すことに夢中になっていたことも大きい。そしてギルドはこの頃に、既に多くのジェネシスオーパーツを手に入れた。「まだちいちゃい故」の政治的手腕が欠けていたとはいえ、今思えば、それが何より口惜しい)。

やがて私はトレジャーハントを重ねていくにつれ、まぼろしの書物という古文書の存在を知ることとなる。

これは観測隊をはじめ、ギルドも懸命にその在り処を探している、大陸にとって大変重要な古文書であり、古来より大陸の起源を知ることが出来ると伝えられている「三編の書」から成る書物のことである。

私は書士隊らの力も借り、大陸各地の情報を集め、見事、まぼろしの書物をすべてを収集することに成功した。

当時の名だたる学者でも解読不明であった三編から成る暗号、隠喩を独創的な直感力で紐解き、そこから新たな「祖龍の書」なる文献を読み解くに至る(子供の集中力をナメるなっつーの)。

学者はおろか、ギルドや書士隊よりも早くにこれを解読した私は、この頃から通常のクエストに全く興味を抱かなくなり、フォンロンに位置する古塔へと身を置き、ドンドルマに帰ることはなくなった。

そしてこれをきっかけに私とギルドとの間に大きな溝が生じるのであった・・。


フォンロン古塔のラグナロク


そこで私は人としての生を失い、そして両親をも失うことになる。


To Be Continued





★次回ストーリーモードは12/3(月)0時更新予定です★