~Akura Region....


ビュオオオオオオオオオオオ!!
(ブリザード吹き荒れる極寒の大地を進む、赤と紫のギルドナイト)


イライザ「本当にこんな場所で暮らしてるのかよ!?」ビュオオオオオオオ

エト「情報は確かだ!!天賦の才能を持つ子を、この極寒の地でスカウトしたという記録がある!!」ビュオオオオオオオ

イライザ「まったく・・オクサーヌ・ヴァレノフの両親を誘拐してこいだなんて・・・大長老もずいぶん焼きが回ったね!!」ビュオオオオオオオ

エト「大長老の意志とは無縁だ!!それに誘拐じゃない!!あくまでも連れて帰り、交渉の条件として使うだけだ!!」ビュオオオオオオオ

イライザ「同じことだろ!?両親を盾に、フォンロンに閉じこもっているオクサーヌを説得しろだなんてさ!!いつからギルドは犯罪シンジケートに成り下がったんだよ!?」ビュオオオオオオオ

エト「交渉だと言ったはずだ!!ご両親の顔を見れば、オクサーヌだって以前のようにドンドルマに戻ってくるさ!!」ビュオオオオオオオ

イライザ「ロリコン!!なにさ!!オクサーヌ、オクサーヌって!!相手はたかが11歳の少女だろ!?」ビュオオオオオオオ

エト「その女の子が、今のギルドを躍進させた張本人だ!!ギルドには欠かせない貴重なハンターだってことはお前だって知っているだろう!?」ビュオオオオオオオ

イライザ「大陸に敵がいなくなったからって、トレジャーハントに明け暮れ、挙句まぼろしの書を紐解いた結果、てめぇがその虜になっちまって失踪だぁ!?だからガキってのは!!」ビュオオオオオオオ

エト「前人未到の地、フォンロン太古の森の奥にあるという古い巨塔にいるらしい!!その所在が分かったのも、オクサーヌの功績があればこそだ!!これでまたハンター界の歴史が変わるぞ!!」ビュオオオオオオオ

イライザ「うるせえ!!ロリコン!!ロリコン!!ちきしょ~!!」


ビュオオオオオオオオオオオ!!









「あたちのモンハン日記」
~Fourth Stage~










~A few days later....

ヒュオオオオオオオオ・・・・・
(銀盤上から氷海の渦潮を見つめるエトとイライザ)


イライザ「クソ!!自分達から身を投げやがった!!クソ!!ミッションは失敗だ!!」ヒュオオオオオオオ・・

エト「これで交渉の条件は失われてしまった・・・さて・・どうしたものか・・」ヒュオオオオオオオ・・

イライザ「逆らってきたらやるしかないだろ!?エトとあたしなら、相手がメサイアの妖精だろうが目じゃないさ!!」

エト「両親の死だけでも伝えてやるべきだ・・。それで彼女の中の何かが変われば・・・」





~Fonron Tower Top....

ファオオオオオオオオオ!!
(まるで大陸が悲鳴をあげているような重厚なアポカリプティックサウンドが、淀んだ天空の中で上昇気流と激しく衝突し、終焉の残響音と共に、世界の終末を示唆する紅き雷が古塔の頂上を叩きつける)



イライザ「あれが・・まぼろしの書の・・・」

エト「運命の創まりにして、全ての龍の祖・・・」




カカーーーーーーーン!!
(紫紅の雷光に照らされるは、その禍々しい凶暴さの中に高貴さをも漂わせる白輝鱗に全身を覆われ、神々しい煌麗なる翼を広げて立つ、邪神の如く尊大な四本の長い角を生やした、紅い水晶のような眼球を持つ巨大な龍であった)




エト「祖龍・・!!」

イライザ「そして・・・」




ダシャーーーーーーーーン!!
(破滅の雷槌が白き王の背後を穿つと同時に、その足元にひれ伏すようにミラアンセスブレイドを地面に突き刺し、片膝をついた服従の姿勢を見せながら項垂れている白いドレスの少女の姿が露わになる)



イライザ「オクサーヌ・ヴァレノフ・・・!!」




カカーーーーーーーーン!!
(毛細血管のように細かく枝分かれした樹状の紅い雷が頂上フロアを照らす中、祖龍に向かって何か話しかけている白いドレスの少女)



エト「話をしている・・・彼女は・・祖なるものと通じ合っているのか・・?」

イライザ「破滅のコヴナントだっていうんだろう!?つまり、あの子は龍の眷属になる道を選んだのさ!!」バッ!!(胸元より無数の投げナイフを取り出す)

エト「ならば元凶を絶つ!!」ザシュッ!!(覇弓をすかさず抜く)



ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・・・・
(天命が唸りをあげる中、祖龍に忠誠を誓うように跪く白いドレスの少女)



イライザ「エト!!今よ!!」ギリギリ・・ギリギリ・・(力一杯に反動を抑える弓音が聞こえる)

エト「喰らえ!!」バシューーーーーーーンドンッ(渾身の剛き飛箭を弓から開放する)




AAAAAAAAAAAAAAAA!!!!
(灰色の空で轟く終焉の不協和音と共鳴するように悲痛の咆哮をあげる白龍の眉間に、見事、敏捷き射手の一矢が突き刺さる)




イライザ「やった!!」

エト「・・・・・・・・!!」





ファッ・・・・
(祖龍の額に突き刺さった矢が、まるで生命を授かったかのように自ら抜け落ち、その聖痕から一滴の血雫が零れ落ちる)




・・・・・・・・・!!
(何事かと祖龍を見上げる白いドレスの少女の後ろ姿)






パシャーーーーーーーーン・・
(長い白銀の髪を持つ少女の顔に、祖龍の流した紅血が降り注ぐと同時に、煌めく血汐が周囲に飛び散る)






ギャアアアアアアアアアアアア
(頂上エリアに轟く少女の悲痛の叫び声)






エト「オクサーヌ!!我々はあなたを迎えに来た!!さぁ、こちらへ!!」





カカーーーーーーーーーン!!
(パラノーマルなマゼンダのスポットライトを浴びたオクサーヌの顔がゆっくり振り返る)





エト「!!」



オクサーヌ「ごめんなさい。あたしはもうギルドには戻れないの」(そう呟く少女の顔は惨憺たる生々しい返り血で染まり果て、血液の粘性を帯びた長い髪が右目を覆い隠すようにべったりと前へ垂れ下がり、輝きを見せる青く澄んだ左目がそのギャップのあまり不気味にすら見える)



イライザ「ほら!!あの子はもう人である道を自ら閉ざしたんだ!!」

エト「判断するのはまだ早い!!」




ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・・
(刹那の運命が時を刻んていく中、再び祖龍に向かって何かを伝えているオクサーヌ)




エト「ギルドを裏切るつもりか!?」

オクサーヌ「そんな単純な問題ではないの。だからお願い・・。早く帰って・・!!」ワナワナワナワナ・・(少女は震えながら右目を抑え、その場に蹲る)

エト「君をギルドに預けることを許してくれた、両親に対しても、同じことが言えるのか!?」

オクサーヌ「どういう意味・・・・」ハァ・・ハァ・・・

エト「君のご両親は亡くなったぞ!!正確には・・自害したんだ!!」

オクサーヌ「!!」

エト「俺達に任務が下った・・。君の両親を人質に、なんとしても、メサイアの妖精を取り戻せとな・・・。だが君のご両親は人質にされると察するや否や、我が子である君の迷惑にならぬよう・・自ら極寒の氷海へと身を投げたんだ・・」

オクサーヌ「・・・・・・・・・・・・・・・」

エト「おそらくは、母上の容態が芳しくなかったことも、二人を自殺に追いやる要因になったのだろうが・・・すべては君の未来の邪魔立てにならぬよう、身を投げたのだ!!それでも君はギルドを裏切るというのか!?」



スッ(何かを決断したかのように立ち上がり、血みどろになった顔を純白の袖で拭い去る)



オクサーヌ「あたしの未来はギルドにはない。そうお父さんとお母さんが言っている」ゾ・ゾ・ゾ・ゾ・ゾ・ゾ・・・(振り返った少女の右目は、妖炎凄惨な真紅に染まり果て、宿怨を誓う邪神の如くとぐろを巻いた鏖殺の烈波を滲み出す)



エト「・・・!!」じりっ

イライザ「虚仮威しだよ!!これでも喰らいな!!」ヒョン!!(片手に持つ三本のナイフを標的目掛けて投げ飛ばす)

エト「よせ!!」



ガイーーーーーーーーーン!!
(瞬時にミラアンセスブレイドをガード体勢で構え、すべてのナイフを難なく防ぐ)



イライザ「まだっ・・!!」チャッ(第二射のナイフを取り出す)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(オクサーヌの足元に落ちていたはずの矢がないことに気づくイライザ。そのまま視線を上にあげると、大剣でガード体勢をしている刀身の向こう側に見えるオクサーヌの右腕が、何かを放り投げたようなモーションをとっていることに気づく)



イライザ「!!」(慌てて隣にいる恋人を目視する)




ゆらっ
(ゆっくりと後ろに倒れるエト)




イライザ「エト・・・?」





ダシャーーーーーーーーン!!
(再び落雷がフロアを穿つと同時に仰向けになって倒れるエト)




イライザ「エトーーーーーーーーー!!!!!」


エト「だから言ったろ・・・・感情に身を任せるだけではダメだと・・・」(仰向けになって喋るその眉間には、自ら放った矢が突き刺さっている)

イライザ「喋るな!エト!!」ダッ!

エト「お前に内緒にしていたことがある・・・」ハァ・・ハァ・・・

イライザ「駄目だ!!ああ・・クソーーーーー!!!!!」(必死に手当を施そうと試みるも、どう処置していいか分からず顔を両手で拭う)

エト「新大陸には・・ギルドを操る隠者が存在する・・・・決してギルドを信用するな・・・・そして・・・・・狡猾に・・なれ・・・・・」



ガクン・・




イライザ「エト・・・・?」



・・・・・・・・・・・・・・・



イライザ「嘘だろ・・・?ほら、いつもみたいに説教しろよ?」



・・・・・・・・・・・・・・・



イライザ「なぁ・・・なんか言えよ・・?愛してたんだ・・・・・お前を・・・!!!!」




・・・・・・・・・・・・・・・




イライザ「わぁああああああああああああああああああ!!!!!






カカーーーーーーーン!!
(フロアの中心で落雷の逆光を受け、恋人の躯を抱きかかえながら慟哭をあげるギルドナイトのシルエットが浮かび上がる)






オクサーヌ「帰りなさい。そしてもう二度と、ここへは来ないで」くるっ・・(長い白銀の髪を靡かせ、再び祖龍の下へ帰ろうとする)


イライザ「貴様・・・ナイトに手を下したのだぞ・・!?これが何を意味するか・・・・分かっているのかぁああああああああ!?」




カカーーーーーーーーン!!







~A few days later....


シュタタタタタタタタタ!!
(ドローン視点。軽く百数名はいると思われる、色とりどりなギルドナイツの軍勢が足早に古塔へと向かっていく)

イライザ「遅れるな!!しっかりついて来い!!」シュタタタタタタ!!

ダラーハイド「イライザ!焦る気持ちは分かるが、こいつらが各ギルドから借りた「レンタルナイト」だってことを忘れるんじゃないぞ!?中には今回のミッションの為だけに雇われた新米ナイトだっているんだ!!これじゃあ、戦う前にのびちまうぞ!?」(青銀のギルドナイト装束を纏い、背中には覇弓を背負っている)

イライザ「これくらいでバテるような兵隊はいらない!!」シュタタタタタタ!!

ダラーハイド「出撃中もオーデションってわけか・・・なら、俺の役目は・・・・全大陸を代表する騎士達よ!!よく聞け!!これは誇り高きエト・サリバンの弔い合戦だ!!必ずや反逆者オクサーヌ・ヴァレノフを討つぞ!!」オオオオオオオオオオ!!





カカーーーーーーーーン!!





イライザ「ロロ!!貴様、裏切る気かぁああああああ!!!!」(ハットは脱げ、黒髪を振り乱すその顔は傷だらけである。また周囲には無数のギルドナイトの躯が転がっており、中には余程のブレスを浴びたのだろうか、黒焦げになっている遺体が生々しい煙を上げているのも見える)

ダラーハイド「仕えるべき本当の主を見つけたまで。怨むなら・・・ギルドを憎め」バタン・・(覇弓を構える青銀の騎士の前で倒れるオレンジ色のギルドナイト)

イライザ「エトを・・エトをも裏切るのかぁあああああああ!!!!」ザシュッ(血が滴る両手にそれぞれ三本のナイフを突き出す)

ダラーハイド「今思えば、奴の死が答えだったのかもしれない・・。報復をしたければいつでも来るがいい。だが、そんなこと彼女は望んじゃあいない」くるっ(振り返る先には巨大な白龍と、その傍らに侍る白いドレスの少女の姿が見える)

イライザ「行くなぁああああああ!!ロローーーーーーーーー!!!!」


ガシャン
(数名の同志を引き連れ、形見である弓を放り投げる青銀のギルドナイトの後ろ姿。その先では朧げな白龍と小さな白いドレスの少女が静観している)


イライザ「殺してやる・・・・お前ら全員・・・・・・・・鏖にしてやる!!!!」






~30Years After、Misty_Peaks....


サアアアアアアアア・・・・
(渓流の清涼感あるせせらぎの中、紫色の民族衣装を纏ったアジア系の黒髪女性が片足を引きずりながら満身創痍の形相で浅瀬エリアを抜けていく)


イライザ「ハァ・・ハァ・・!!」バシャバシャバシャ(何かから遁逃するように、出血していると思われる肩を押さえながら、必死に走るイライザの顔は歳相応ながらも、かつての美貌と輝きをみせている)



バシャーーーーーーーン!!
(前のめりに水浸しの大地へ倒れるイライザ)



イライザ「フフッ・・・・悪運突きたか・・・」サアアアアアアアア・・・(水面に横顔を半分浸からせながら不敵に微笑む目の前を、血が混じった水が流れていく)



??「こんな所で行水っすか?風邪、ひくっすよ」



イライザ「・・・・・・・・・・・・」ちら(眼球の動きだけで声の主を確認しようとする)


サアアアアアアアア・・・
(虚ろな視線の先には、バンギスヘルムを被った上半身裸の男が見える)


??「怪我してますね。今ならお安い料金で治療しますが?」

イライザ「怪我人から金をふんだくろうとする・・若造の名前は・・?」サアアアアアアア・・

??「オッス。川村玄竜です。ゲーブーって呼ばれてます」

イライザ「死神じゃあ・・・なさそうだ・・・・・」フフ・・




サアアアアアアアア・・・・




エト・・。悪いけど、まだそっちには逝けなさそうだ。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








・・・・・・・・・・・・・









邪羅尼「・・・・・・・・・・・」つぅ・・(徐に天井を見上げるそのしわくちゃな老婆の右目からは一滴の涙が流れている)


あたちのモンハン日記
カーブー「どうした?ばあちゃん。腹でも痛いのか?」


邪羅尼「・・・・・・・・・・・」スッ・・(両手を広げ、指と手のひらの「しわ」をまじまじを見つめる)

カーブー「ウッス?」

邪羅尼「・・・・・・・・・・・」きょろきょろ

あたちのモンハン日記
月光「どうしただすか?」

あたちのモンハン日記
鉄平「具合悪ぃなら、帰るぞ?」


邪羅尼「いや・・・・・・・・」ごしごし(紫色の立派な袈裟の袖で顔を拭う)


ぽんはぁ(着物を纏う老婆の腿の上に、白いモフモフの手が乗っかってくる)


邪羅尼「・・・・・・・・」ちら

バステト「ほみゃ~~~~~」(心配そうに見上げる子猫の目からは涙が溢れている)

邪羅尼「・・・・・・・・。あんたも同じ夢を・・・・そんなわけないよね。さ、おいで」ぽすっ(膝の上に子猫を乗せてやる)

バステト「みゅう」なでなで(老婆を慰めるように太腿を撫でている)

邪羅尼「夢幻如来衆とはよくいったものさ・・・大丈夫だよ。少し・・・ほんの少し、追憶にふけっていただけさ」なでなで

バステト「みゅう」ぎゅむっはぁ(撫でられながら、謝罪をするように邪羅尼の腿を抱きしめる)

カーブー「大丈夫か?」

邪羅尼「・・・・ああ。あんたら馬鹿親子の顔を見たら、なんだか自分の人生が馬鹿らしく思えてきた」なでなで

カーブー「ウッス?」

邪羅尼「安心しな。約束は守るさ」

カーブー「ああ。頼むよ」へこへこ

邪羅尼「それから・・・」

カーブー「??」

邪羅尼「あんまり感情に身を任せて、事を運ばせようとするんじゃないよ。わかったね」

カーブー「ああ。ありがとう。ばあちゃん」

邪羅尼「よし。それじゃあ、見送ってやろう」にこ




サアアアアアアアア・・・
(渓流のせせらぎが微かに聴こえる森林エリアの山道を下っていくカーブー一行。バステトだけは父の胸より顔を覗かせ、本堂の前から一同を見送る獣人と、「ちいちゃくなった」お婆さんに、ただただ手を振っている)


To Be Continued






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次回「あたちのモンハン日記」ザ・中継ぎ記事は

6/25(日)0時更新 引き続きMHWに関することでしょうaya

をお送りいたします♪ほいだらさ!次回もシンプルに読も見ようぽけ~