~新大陸、大砂漠非狩猟地区、エリア13....



~ギルドアサイラム格納庫内....

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(広々とした洞窟エリアの中に作られた格納庫の真ん中に、ちんまり置かれた丸テーブルセット。そこに向き合う様にして腰掛ける白衣を着た龍科学者と、同じく白衣を着た3Dメガネ(レンズの右がブルー、左がレッドの黒縁タイプ)をかけたメラルー。獣人の白衣の胸元には、大陸文字で「Rico・Isaak(リコ・イザーク)」と書かれた名札がついている。休憩中なのだろうか、二人共、見るからにあつあつの蒸気を発する木製ジョッキを手にしている。机の上には小さなミルクパン(グリップ部の先端が肉球のマーク)が乗ったアルコールランプセットが置かれていることから、これを使って何かを温めて飲んでいるのであろう)


モンタギュー「暇だねぇ・・」(見るからに頭脳明晰にして容姿端麗の黒髪横分け男。魅力的な顔立ちだが、とりわけて覚えやすい顔立ちでもない。サージカルマスクを両耳に引っ掛けたまま、頭の上に乗せ、ホットポポミルクの入ったジョッキを飲んでる)

イザーク「日頃の運動不足の解消に、走り回ったらどうです?」ふうふう(ドヤ顔しながらミルクを冷ましてる。余程熱いのか、蒸気で3Dメガネのレンズが曇っている)

モンタギュー「例え強走薬を飲んだとしてもね、遠慮しておくよ」ズズズズズ・・

イザーク「適度な運動はしないといけませんよ?どうです?一緒に砂漠のデルクスを追っかけるなんてのは」ふうふう(ドヤ顔しながらふうふうする)

モンタギュー「それもパス。生物学上、本質は捕食者の君らと走り回るなんて、血の気の多いハンターじゃあるまいし。それに君は生きたモンスターを見るとパニックを起こすらしいじゃないか?資料で読んだ」ズズズズズ・・

イザーク「む・・・別に否定はしませんが、正確に言うなら、パニックじゃなくPTSDです。それだって抗鬱薬を飲めば落ち着きますし、僕はオトモやニャンターになりたいわけではないので」ふん(ふてくされながらふうふうしてる)

モンタギュー「なるほど。現実を直視しないためのその眼鏡ってわけか。よっぽどおっかない目にあったんだね。君、出身はどこ・・」

イザーク「シルクォーレです」(ムッとしながら食い気味に答える)

モンタギュー「ああ・・アルコリスで有名な森丘か。ってことは大学は・・」

イザーク「勿論、ワイバーン・カレッジ・アルコリスを主席で卒業、在学時、私が書いた属性工学に関する論文は、かのダニエル・カペラ女史に次いで定評を受けたという実績もあります」キラぁ~んキラキラ青(いやみったらしく3Dメガネの青の方のレンズを光らせる)

モンタギュー「へぇ・・。サフラさんから伝書鳩の通達で、なんでも凄腕の属性工学技師が来るって聞いてたけど・・そんなエリートがなんの経歴もない、独学だけできた僕のアシスタントになってくれるなんてねぇ・・」ズズズズ・・(淡々と喋りながらミルクを飲む)

イザーク「む・・・僕はここの館長が、王立科学アカデミーで数々の実績を残してきた、ツェーザル・アウラー氏だと聞いたから助手の話を引き受けたんです!彼の下で働けば、得られるものも大きいだろうと・・・それがなんです!いざ来てみれば、解体屋のアルバイト出身の人が、仮にもこのアサイラムの造竜技術復興プロジェクトのリーダーを引き継いだなんて・・・まるでナイトメアだ・・!」あわわわわわ・・

モンタギュー「仕方ないだろ?アウラーさんはこの前の騒動で死んじゃったんだから」ズズズズ・・(あっけらかんと言う)

イザーク「正確には不法侵入者に殺された、とお聞きしました。お悔やみ申し上げます」ふうふう

モンタギュー「あの人がいなくなって悔やんでるのは君だけじゃない。生きてるうちにもっと造竜技術に関するノウハウを聞いておくべきだったなぁ・・・大変だったんだよ?あれを起動させるの。手伝ってくれた他の龍科学者たちのほとんども、侵入者達に怪我を負わされてしまったからね。実質、一人でやったも同然だよ」

イザーク「なるほど。その成果を買われ、あなたが二代目アサイラムの館長になったわけですか・・良かったですね、私の到着が遅れて」ふん

モンタギュー「僕は役職なんてどうだっていいんだ。欲しければあげるよ、館長て名目を」ぼりぼり(頭をかいてる)

イザーク「む・・・なんです?この完全敗北したような感じ。もっと館長らしく尊大に・・・あなたはそういうタイプではありませんね。張り合う気が失せましたよ」やれやれ

モンタギュー「少しでもあったかいうちに飲みなよ。心が落ち着くよ」(真顔で言う)

イザーク「・・・・・・・」ふうふう・・ズズズズ・・(恐る恐るおちょぼ猫口をジョッキに当てて飲む)

モンタギュー「どうだい?美味しいだろ?」

イザーク「・・・・・・・」こくり

モンタギュー「まだたくさん貯蔵庫にあるからね。飲みたければご自由に。と言っても、僕の分は残しておいてくれよ。僕にとってはこのポポミルクが、君にとっての抗鬱剤みたいなものなんだ」グッ(一気にジョッキを飲み干す)

イザーク「では私もお返しを」スッ(白衣のポッケから小袋を取り出す)

モンタギュー「なんだい?それ」

イザーク「のたうちドングリです」

ジャラジャラジャラ・・・どんぐり
(小袋を机の上で開くと、たくさんのどんぐりが出てくる)

イザーク「アルコリスの高級品です。お得意先の行商人から定期的に輸入品を買いだめしてるんです。良かったらどうぞ」あ~ん(口の中にどんぐりを放り込む)

モンタギュー「どれ」あ~ん

ごりっごりっごりっ

イザーク「如何ですか?館長」

モンタギュー「うん。美味しいよ。のたうつほどにね」ごりっごりっごりっ

イザーク「・・・・・・」にこり


・・・・・・・・・・・・・・・・・
(洞窟ならではの肌寒さを感じる、二人だけの空虚な巨大格納庫に、ほっこりした別の空気が訪れる)


モンタギュー「しっかし、なんにもなくなっちゃったなぁ・・ここ」きょろきょろ

イザーク「見てみたかったです。アウラー氏の残した遺産・・そしてあなたが起動させた竜機兵、正確にはマーク4、ダレットをね」はふはふ(あったかい息をはふはふしてる)

モンタギュー「いざいなくなってみれば、僕、「あいつ」のこと、以外と好きだったんだなぁ・・」

イザーク「恋愛や育成と同じで、対象に手こずればそれだけ愛着が湧くというもの。サフラ氏からは、動力伝達系統の確立に苦戦したとお聞きしましたが?」ズズズズズ・・・

モンタギュー「そうみたいだね。でも都合よく、それが手に入ったのさ。不法侵入者、大歓迎ってね」あ~ん(どんぐりを口に放り込む)

イザーク「聞けば炎妃龍の知的生命体種だったとか」

モンタギュー「特命を受け、アサイラムの護衛をしてくれてるナイトのおかげさ。僅かだけど、実に濃度の高い古龍の血を採血できた」

イザーク「セイクリッドブラッド・・・。既にギルド幹部は知的生命体種の古龍の血を、そう名づけたと聞きました」

モンタギュー「それもおかしな話さ。本当はあの人達、起動法を知ってたんじゃないかな。試されたんだよ、僕らは」ごりっごりっごりっ

イザーク「む・・・なにやら興味深い話ですね」チャッ(3Dメガネを直しながら興味津々な感じをみせる)

モンタギュー「そのセイクリッドブラッドの量が実際足りなかったんだ。ドラゴンウエポンは一体につき、成体ドラゴン30体強を必要とする。そんな超級クラスの動力源となる人工の心臓に、必要不可欠な膨大な量のセイクリッドブラッドを集めるのは大変だろ?だから幹部たちは、僕らを試したのさ」

イザーク「・・・・・・。セイクリッドブラッドの増殖・・・ですか?」

モンタギュー「そう。大陸の名だたる龍科学者や技師をこの地下施設に集めて、代替え品を作らせようとしたのさ」

イザーク「しかし、それが本当なら、なんだって幹部達はそんなプロットを?」

モンタギュー「モンスターの個体数を管理することを目的とする天下のハンターズギルドが、希少な知的生命体種モンスターを乱獲するわけにはいかないだろ?ましてやここ新大陸では近年ますます、三種共存の思想が強まってきているしね」あ~ん

イザーク「批難を避ける為に?」

モンタギュー「そこで敢えて起動法は伏せたまま、僕らがより竜機兵起動に対して、意欲的になるプロットを仕組んだのさ。その証拠に、このアサイラムには表面上、凶悪犯に仕立てあげるのが簡単だった、言語を喋ることの出来ない知的生命体種のエルダードラゴンが投獄されていた」

イザーク「オメガ4号・・ですね?」

モンタギュー「といっても逃げちゃったけどね。きっとオメガ4号の存在は、僕らが自力で起動法を知った後、いつでも被験体に使えるように監禁しておいた、いわば保険だったというわけさ」

イザーク「では本当に幹部たちは、竜機兵の起動法を知っていたと・・」

モンタギュー「サフラさんや他の龍科学者たちにこんなこと聞かれたら、また怒られちゃうけど・・更に僕は、幹部たちがまだまだ多くのことを僕らに隠していると踏んでるんだ。いいかい?これは僕と君だけの秘密だ。いいね?」

イザーク「初めての共同作業が秘密の共有とは・・・それで、増殖は無事に成功したのですよね?」

モンタギュー「ああ。大樽何十杯分ものね」

イザーク「よくそんなに・・」

モンタギュー「言ったろ?ここはアサイラムだ。表向きは凶悪犯の精神医療施設なのさ。被験体なら腐るほどある」

イザーク「そうか。凶悪犯のモンスターに古龍の血を投与し、生成体として使ったのですね?」

モンタギュー「正解。けど、それがモンスターじゃダメだったんだ。竜族、牙獣種共にセイクリッドブラッドを静脈投与した途端、元の血液内の白血球が拒否反応を起こしてしまってね。貴重な血液をだいぶ損したふん

イザーク「ふむ・・白血球内の免疫担当細胞が、セイクリッドブラッドを細菌扱いして殺菌してしまうというわけですか。ではどうやって増殖を?」

モンタギュー「ここからは更にシークレット情報だ」しー指

イザーク「お伺いしましょう」クイッ(3D眼鏡を直す)

モンタギュー「君も学者なら聞いたことあるだろ?この大陸世界には極稀に、古龍の血を適合できる人間が存在するということを」

イザーク「ええ・・。ですが実証された経緯はなく、古代の錬金術士が嘯いた仮説だと・・」

チッチッチッチッ指

モンタギュー「驚く無かれ。偶然にも、このアサイラムに投獄されていた人型は、全てその対象者だったんだ」

イザーク「・・・・確証は?」

モンタギュー「囚人の血液サンプルを臨床検査したのさ。驚くことにみんなセイクリッドブラッドと適合し、瞬く間に上書きされていった。要するにセイクリッドブラッドの造血幹細胞が人のそれを支配して、体内増殖したというわけさ」

イザーク「なんと・・・被験者に異常は?」

モンタギュー「今のところ問題なし。みんな檻の中で大人しくしているよ」

イザーク「ギルドはそれを検証させる為にアサイラムを・・」

モンタギュー「ね、僕が陰謀論を思いつくわけが分かるだろ?」

イザーク「犯罪者の人間たちにセイクリッドブラッドを投与し、体内増殖させ、その血を今度は逆に採血し、竜機兵に与えた・・大した還元法ですね」

モンタギュー「逆輸入品みたいなもんさ。このアルコリスで拾ったひとつのどんぐりを、新大陸の土で育み、たくさん成熟したら収穫し、またアルコリスに戻してやる。ね、大陸に優しいだろ?アルコリス出身の人って、自然崇拝者が多いって聞いたよ」

イザーク「あなたの言うとおりならギルドの幹部たちは、造竜技術復興に関する一連の作業を、あらかじめ知った上で、このアサイラムを建設し、我らにヒントを与えることで意欲的に作業させていると仰りたいのですか?」

モンタギュー「いざとなれば造竜技術の復興を行っていたのは、すべてアサイラム関係者の独断だったと切り捨てることも出来るしね」

イザーク「な・・・」

モンタギュー「僕らが勝手に竜機兵の起動法を模索し、それを実行したって言うことも出来る。だって幹部達は起動法を知らなかったんだから」

イザーク「・・・・・・・。確かにとんでもない陰謀論ですね。それが本当なら我々は、どんな副作用を秘めているか分からない、セイクリッドブラッドを投与された凶悪犯罪者達が投獄されている、大陸一危険な施設で作業をしていることになりますね」

モンタギュー「だからナイツでも上位のメンバーがこのアサイラムを護衛してくれているのさ。それに万が一、囚人達が発狂してアサイラムを制圧しても、死ぬのは僕らだ。幹部の連中じゃない」

イザーク「・・・・・・・・。ごほん。組織に対する疑念はこれくらいにして、そのプロトタイプ、イコール・ドラゴン・ウェポン・マーク4、ダレットに話を戻しましょう。ダレットは書士隊が最初に発見したオリジナルを参考にしているのですよね?」

モンタギュー「まぁね。でもそこに関してはアウラー館長の仕事だった。僕の専門は臨床龍学だからね。ダレットに必要な「部位」の切断と、接合を手伝っただけだよ」

イザーク「外装の合金が自慢だとサフラ氏は言っていました」

モンタギュー「結構、お喋りだね、あの猫さん。そうなんだ。装甲に使った合金はなんでもメテオテスカトルの外殻を溶かし、粘土状のアミノタイトを混合し練り合わせることで、その鉱石としての特性を最大限界まで引き延ばした黒銀色の特殊金属なんだ。ダークプロメチウムっていうらしい」

イザーク「開発者は?」

モンタギュー「クラーラ・ファンクーンっていう人。今は帝国軍に属しているらしい」

イザーク「ファンクーン家・・・ああ・・なるほど。それなら信頼出来ますね。外装は問題なしとして、起動後のプログラムはどうやって?」

モンタギュー「簡単だったよ。心臓部のタンク内にセイクリッドブラッドを適量投与すれば、命が芽生える。その段階ではまだ生まれたての赤ん坊みたいに無垢な存在なのさ。その変性意識状態の様なときに、暗示をかけることでクエスト目的をインストールするんだ」

イザーク「暗示?」

モンタギュー「竜機兵に纏わる太古のレリーフは既に解読済み。暗示のチャント(詠唱)でクエストを依頼するんだよ」

イザーク「特命を受けた書士隊やギルドナイトが、大陸中に散らばるジェネシスオーパーツの回収をしてると聞いたことはありましたが、それも本当だったのですね。まったく、この組織には驚愕させられてばかりだ。それで、今回の指令・・おっと失礼。クエストは如何ように?」

モンタギュー「火の国に蔓延る暗黒団の殲滅。敵の特徴は出来るだけ正確に、こちらの情報網を使って吹き込んだつもりだけど・・」

イザーク「なにか問題でも?」

モンタギュー「うん・・ダレットは異なる種から増殖したセイクリッドブラッドを原動力としているからね・・いわばダレットはプロトタイプなのさ。だから動作に異常が起こらないか心配ってわけ」

イザーク「動きが停止する可能性もあるのですか?」

モンタギュー「それに関してはノープロブレム。最新鋭の装甲を纏ってるんだ。討伐はおろか、「撃退」だってそう簡単には出来無いよ」

イザーク「ではなにが?」

モンタギュー「不安なのはダレットが体内で生成する、強力なドラゴンタナトスだ」

イザーク「ドラゴンタナトス・・・古代人の叡智が生み出した、天然の龍属性エネルギーを基礎(ベース)とした、人工放射性元素・・・現代の龍科学者はこれを「古代の劇薬」と揶揄し、太古のプロメテウスと名づけた、化合属性エネルギー・・」

モンタギュー「流石は属性工学のスペシャリスト」ぱちぱちぱち

イザーク「そんなものの復元までギルドは・・・そうだった。造竜技術に関するジェネシスオーパーツの回収はとっくに終わってるんですよね」ふぅ~

モンタギュー「そのメガジュール以上の熱量を誇る、人工龍属性エネルギーであるドラゴンタナトスを、ダレットは体内で作り上げ、さらに尾先の砲口から放射できるんだ」

イザーク「なんと・・・・」

モンタギュー「アウラーさんが開発したんだよ。龍エーテル、つまり龍属性エネルギーの原子に、高火力の火属性エネルギーをぶつけ、合成錬金して出来上がった化合属性であるドラゴンタナトスを使用した運動エネルギー弾・・・それがフレームクリアフューム、通称FCFだ」

イザーク「フレームクリアフューム・・・」

モンタギュー「着弾地点を中心に広範囲の大爆発を起こせるんだ。狩猟エリアならまるごと焼け野原に出来るってイメージかな。チャージ時間にもよるけど、最大出力なら各エリアを含んだフィールド一画に、被害を齎すことも出来ると思うよ」

イザーク「それほどの熱量を・・・」

モンタギュー「でも本当に驚く特性は、その焦熱地獄の炎にある」

イザーク「というと?」

モンタギュー「その燃焼から生じたフューム、粉塵といった方が分かりやすいかな?つまり高密度の龍属性エネルギーと火属性ジュールが、均等に衝突し合った粒子状の火花が、着弾地点一帯を覆い尽くすんだ」

イザーク「!!」

モンタギュー「もっと分かりやすくいえば、FCFの大爆発は、気体状大気汚染物質が凝縮したエアロゾルを範囲内に散布するってことだね」

イザーク「ということは・・・呼吸器官を持つ大陸生物が、その汚染物質の粉塵を大量に吸い込んでしまったら・・」

モンタギュー「肺を中心に燃え上がり、生物の原子すべてを体内から消滅させてしまうだろうね」

バンッびっくり(机を両手で叩くイザーク)

イザーク「あなた方は何を作ったのか分かっているのか!?イコール・ドラゴン・ウェポンという動く大量滅竜兵器に、大陸上の生物にとって有害なエアロゾル型の生物兵器をも与えたんだぞ!!」

モンタギュー「いい例え方だ。メモしておこうかな・・」

グン煙(テーブル越しに胸ぐらを掴まれる細身の白衣の男)

イザーク「私は死の天使をアシストする為にここへ来たんじゃない!!大陸の生態系という循環を破壊しかねない、脅威的なモンスター及び犯罪シンジケートを正当に駆逐する為、私の技能を欲しがるあらゆる組織からのスカウトを断ってまでギルドを選択したんだ!!なのに・・・なのにギルドは私に人殺しの手伝いをしろというのか!?」

ガクン・・・(白衣の胸元から手を離し、椅子にうなだれるように腰を下ろすイザーク)

イザーク「なんてことを・・・今頃火の国は、微生物すら生息できないデッドフィールドに・・・」

モンタギュー「安心してよ。さっきも言ったけどダレットはプロトタイプだ。だから体内で生成できるFCFの濃度だって限られてる。半減期だって何万年ってわけじゃない。最も、今後はもっと強力にする必要があるけどね」

イザーク「・・・・・まさか!?」

モンタギュー「そう。君のアサイラムでの仕事は、アウラーさんの仕事の引き継ぎ・・・つまり、より優れたドラゴンタナトス開発をすることさ」

イザーク「・・・・・・・・」ガクン

モンタギュー「反体制派が力を増せば増すほど、物理戦争はより激しさを増す。それに対抗し、抑制することで今後の均衡を図る為にも、太古のプロメテウスはギルドに必要なんだ。才能というのは、必ずしも正義や倫理観に左右されるものじゃない。生きる者の為に使われるんだ」

イザーク「同じことだ・・・あなた方は敵対勢力諸共、火の国を滅ぼしたんだ・・・・」つぅ・・(3D眼鏡越しに涙がこぼれ落ちる)

モンタギュー「だからプロトタイプのダレットが、暴走しちゃわないか心配なんだよ」







~火の国、第三地区....


ゴオオオオオオオオ!!
(市街地の一画を覆い尽くす火の海)



ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・・・・・
(メラメラと燃える焦熱地獄が炊きあげる黒煙を、上空で両翼を羽ばたかせながらその異様な全身に浴びる竜機兵)






「あたちのモンハン日記」
~Sanctuary of extinction~








モンタギュー「出来ればダレットが活躍してるところを見てみたかったなぁ・・・」

イザーク「ギルドは火の国を見切った・・・最凶の人工ドラゴンのバトルプルーフの為に・・!」ううう・・

モンタギュー「君のさっきの言葉を借りれば、大陸の生態系という循環を「秩序」なのだとすれば、対する有害なモンスターや犯罪組織は「混沌」とみなせる。君はその正義感から成せる倫理観から、僕らがどちらに属するものなのかという不安に落胆し、怒りを覚えた。でもそれはあくまでも理知ある者が勝手に作り上げた性善説や性悪説に過ぎない」

イザーク「あなたは淡々と、よくも都合よく合理的にものを言える・・!!」

モンタギュー「そう。それだよ」

イザーク「??」

モンタギュー「まさしくその象徴がギルドなのさ。今回の一連の出来事は、歴史的観点という長いスパンからみれば、ギルドの大虐殺じゃなく、ちゃんとした聖戦って扱いになるのさ」

イザーク「それがギルドの仕業だと公にされてもですか!?」バンびっくり

モンタギュー「未確認のモンスターは、この大陸にまだ五万といるという。お得意の古龍種の天災被害って手もあるしね。万が一、人為的に竜機兵の復興が行われていたと暴露されても、さっき言ったように、その責任はすべてアサイラムになすりつけられる。仮にその真相を外部にリークしようと動こうものなら、朝目覚める間もなく、ギルドナイトに真実とその命を、闇に葬られるだろうね」

イザーク「そ、そんなことが・・・」

モンタギュー「許されるのさ。それが僕らのいる組織のやり方で、彼らが作り上げたギルドローなんだ」

イザーク「・・・・・・・・・・」

モンタギュー「更に付け加えれば、ギルドの宿敵は、今も昔も邪龍だけ。最初っから「小物」は相手にしてないよ。だから本部はハンターが入国できないように、火の国をテロ支援国家指定にしたんだよ。暗黒団を、そしてギルドに楯突く他勢力を巻き添えにするためにね」

イザーク「すべてを根絶やしにする為に・・・・」

モンタギュー「僕らは現場の兵士じゃないから、詳細を知ることは出来ないけど、おそらくナイトにその視察の命令が下っているんじゃないかな。もちろんダレットの性能も考察するためにね。羨ましいなぁ~。僕も見たかったよ。ダレットの英姿を」





ゴオオオオオオオオオ・・・!!
(第三地区の中央で燃え上がる焦熱地獄を、市街地の遠方から建物越しに呆然と眺めるホワイトナイトの後ろ姿)


王羽美「こんなものを見せられる為に・・私はここに・・・・」ゴオオオオオ・・・・




アアアアアアア!!!!
(燃え上がる市街地の中央上空で、周波数の高い咆哮をあげる竜機兵)



To Be Continued









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次回「あたちのモンハン日記」ザ・ストーリーモードは!?

11/22(日)0時更新 「火の国を救う方法はただひとつ」

をお送りいたします♪それじゃあさ、次回もでっかい声出して読もうよぽけ~