~UBU感染より半日前、GDCA研究員感染より12時間経過・・ロックラック中央広場
$あたちのモンハン日記


プオオオオオオオオオオ!!
(緊急勧告の角笛がけたたましく都市内に響き渡る)


ザッザッザッザッザッザッザ!!
(城塞遊撃隊防具を纏った警備兵達が都市を駆ける)

警備兵「感染症警戒勧告発令~!!全市民は直ちに居住区で待機せよ!!」

警備兵「ギルド本部の意向だ!!慌てず退避し、警報の解除が出るまで一歩も外に出てはならぬ!!」


ワアアアアアアアアア!!
(市民は皆慌てて広場を走り、居住区域に避難していく)


新聞屋「号外号外!!砂漠を輸送中のキャラバンが謎のウイルスに感染して全滅!!更にはその調査に出かけたGDCA局員も感染して死亡!!もっと詳しく知りたいやつぁ~、うちの「メンヒル・インデペンデント」を買って、家で大人しく読んでくれよなぁ~!!」

別の新聞屋「おっと!我が「デイリーラック」では、もっと確信に迫った記事が載ってるぞ!!」ペラペラ(掲げる新聞の見出しには「新型ウイルスが新大陸をパンデミックに陥れる!?状態異常無効防護服が効果なし!!ウイルスが体内に侵入したら一巻の終わりか!?」と掲載)」


ワアアアアアアアアアアアアアア!!


市民「一部売ってくれ!!」

市民「こっちもだ!!早くしてくれ!!」


プオオオオオオオオオオ!!










「あたちのモンハン日記」
~パンドラウイルスPSV脅威~










~ハンターズギルド本部地下・・ギルドナイツセクション/ミーティングルーム


ウル「バカっチャ!アホっチャ!まったく本部は戯けっチャ!こんなのブッブッブ~!」ぷんすか(グレーの質素な石壁に囲まれた部屋の真ん中で、無造作に置かれた木製ソファに仰向けで寝転がり、暴言を吐いている緑色のギルドナイト装束(子供用)を纏った褐色系ドレッドヘアーのまだ「ちいちゃい」女の子。ハットは被っておらず頭には何やら「おかしげな面」を付けている)


シリウス「何がそんなにお前を苛立たせる?市民の不安を煽る、本部の警戒勧告のやり方に対してか?」ぎゅりっ(ソファの前に立ち、弓(勝利と栄光の勇弓)の弦を引いて構える青銀の装束を纏ったナイト)

ウル「そうだっチャあぁっ?!なんだって本部はわざわざ市民を不安にさせるっチャ!?都市は大パニックンバ!!」ぷんすか(寝っ転がったまま両足をぱたぱたさせながらシリウスの方に首を傾ける)

シリウス「ことの成り行きはこうだ。都市よりさほど遠くないポイントへ調査しに行ったGDCA局員らの帰りが、当初の帰還予定よりも遅かった為、今朝方、城塞遊撃隊が砂漠に出たところ、都市付近で倒れている局員二名を発見。正確には局員二名が砂漠の移動に使っていた「リノぞり」の草食竜二頭も含め、全員が感染症で死んでいた。この事柄から、そのウイルスは極めて致死性の高い人獣共通感染症だと判明され、本部も勧告を発したというわけだ」ブーーンsss(弓を空撃ちする)

ウル「リノ・・巻き添を食らっちまって可哀想だっチャ・・・こらぁ~!シリウス~あぁっ?!」ガバッはぁ(起き上がり、シリウスのいる方に向かってソファの上であぐらをかく)

シリウス「なんだ」ぎゅりっ(ウルの方には一切首を傾けず弦を引く)

ウル「その局員達が調べに行ったポイントには、お前が追っていたキャラバン一隊の残骸があったそうっチャね!?しかもその第一発見者はキャラバン隊を尾行をしていたお前っチャ!なんでその時に「あぶないういるす」だって気付かなかったっチャ!!」ぷんすか

シリウス「不可解な死に方をしていたものでな・・危険だと思いプロに委託したまでだ。それに感染症は俺の分野ではない」ブーーン(空撃ち)

ウル「なに「分野」の「ぶん」とその弓の空撃ちの音をかけてるっチャむかっちっとも上手くないっチャ。それに何が「危険」っチャ。お前はこの大陸上のあらゆる状態異常を防ぐ事のできる特異体質っチャ。「あぶないういるす」だってへっちゃらなんじゃないっチャか?」

シリウス「未知の病原体を相手に、自分からわざわざ感染し、それを試そうとするほど俺は自信家ではない。それに俺の任務は、あくまでもそのキャラバン隊の諜報活動だった。だが、連中が感染症により全滅したことで、ミッションコンプリートが難しくなったのも事実・・・俺とて、立派な被害者というわけだ」ぎゅりっ

ウル「ブッブ~♪残念だったっチャね。これで今年のミッチョン成功率はワガハイの方が上になったっチャ♪ンババのバ~♪」へっこへっこ(ソファの上に立ち、変な小躍りをしてみせる)

シリウス「成功率などという数字に興味はないが、まだ任務は継続中だ。よってナイツ内での俺の達成率100%に変更もない」

ウル「すさまじく人として可愛げのない奴だっチャあぁっ?!」とすんはぁ(ソファの上であぐらをかいて座る)


ガチャリドア


王羽美「なにを大きい声出していたの?ウル」カチャ(静かにドアを閉めルーム内に入ってきた黒髪ショートボブの女性。その格好は色こそ清潔感あるもののいつものホワイトカラーのギルドナイト装束ではなく、都市内でよく見る民族衣装を纏っている。しかし両手にはしっかりと白いグローブを身につけている)

ウル「ウーメイ♪聞いてくれっチャ!また意地の悪いシリウスが「まだちいちゃい」ウルチャマ相手に・・・って、なんだンバ!?その格好は!?おかちい!!お面を被ってないのにおかちい!!」ぷぷ~(ちいちゃい両手を口にあて笑う)

王羽美「都市の状況を見に行っていたのよ。そんなに・・変かしら・・・」ちろちろ(自分が着ている衣装を見る)

ウル「おかしなのはその手袋だっチャ。この季節に民間人でそんなの身につけてるの、重度の潔癖症のウーメイだけだっチャよぉ~♪」(ソファの背もたれから顔だけ覗かせ、おどけてみせる)

王羽美「なによ。バカにして」ぎゅうううはぁ(その手袋をつけた指でウルのほっぺをつねる。それを受け入れる、嬉しそうなウル)

シリウス「王(ワン)、上(都市)はどんな状況だ?」

王羽美「あ、はいあせる」パッ(つねるお手を離す)

ウル「ぷぷぷ・・おかちいぷぅっ

王羽美「依然としてギルド本部が発令した感染症の警戒勧告を受け、恐慌状態が続いております」ぴし(敬礼する)

シリウス「ロックラック市長とギルドマスターとの会合結果は?」

王羽美「警戒が解除されるまでは正門を完全封鎖、外部からの来訪者を完全に遮断することで合意したそうです」

ウル「どうしてそんなことする必要があるっチャ?」

シリウス「もしも都市の外から感染者が入ってきたら、ロックラック内での小さなパンデミックは必至。抗体が開発されるまでは外部からの接触を断つしか他ない」ブーーーン

ウル「そんなに「あぶないういるす」なンバ!?」ぶるぶるぶるサー・・・・ッ

シリウス「他の自治区への通達はどうなっている?」

王羽美「王国騎士団領、ユクモ及びタンジア、モガをはじめとする各自治区には、感染症警戒勧告発令の伝達とその対策考案を行うため、GDCA局員とそのサポートをする中央捜査局のエージェントを各一名ずつ派遣する予定になっています」

シリウス「グッドだ。GDCAからウイルスに関する新しい研究報告はあるか?」

王羽美「はい。感染して亡くなった局員、草食竜から病原体を採集し、現段階で判明したのは、その新種のウイルスが人獣共通感染、伝染を持った、極めて致死性の高いRNA型ウイルスであるということです」

ウル「おっかねぇっチャ・・・ところでRNA型ってなんだっチャサー・・・・ッ」ガタガタガタ・・(恐いけど興味がある)

王羽美「私も詳しくは知らないけど、ウイルスは遺伝物資の違いから大きく2つの種類に分けられるのよ。ひとつがDNA型といって、天然痘ウイルスやヘルペス、それにB型肝炎ウイルスなどがその仲間ね」

シリウス「もう1つの種類がRNA型だ。代表的なものはエボラにコロナ(SARS)、狂犬病、C型肝炎ウイルス、インフルエンザ、ラッサウイルス(齧歯類(げっしるい:ネズミ、うさぎ等)の動物が自然宿主。ラッサ熱で有名)、そしてヒト免疫不全ウイルス(HIV)が有名だ」

ウル「どれも大陸社会を脅かす「おっかねぇういるす」ばっかじゃねぇっチャか・・・」ガタガタガタガタ・・

シリウス「更に厄介な事に、RNA型は真核細胞生物やDNAウイルスの100万倍の早さで変異する。ゲノム情報を活発に変化させることで免疫感受性、薬剤感受性、細胞指向性、宿主域の変化につながり、予防治療効果の低下や新興再興感染症の原因となるんだ」

王羽美「インフルエンザが毎年、新種が生まれて、その度に新しいワクチンを作らないといけないのはそのせいなのですね」

ウル「ンババババ・・・・じゃあ、今回の「あぶないういるす」は、もっと「おっかねぇういるす」ってことだっチャね・・サー・・・・ッ

王羽美「今回発見されたウイルスの最大の特徴は、そのウイルスが体内に侵入すると感染者の臓器に転移し、宿主細胞の作るエネルギーを利用して増殖。消化器官をそのウイルス特有の「毒袋」に変化させ、大量の毒出血により死亡させるというものです。が、ほとんどの場合、強毒性に侵されていく過程の、激痛によるショック死、心肺停止が死因であるそうです」

ウル「ンババ~!?お腹の中のものが毒袋になるっチャってかぁ~!?気持ちわりぃっチャ!!チャババ~!!」ガタガタガタガタ(両手で頭を抱える)

シリウス「俺が遺体を見た時、頭部の穴という穴から流れ出ていたのは、その体内の毒袋によって精製された毒液が溢れ出たものだったというわけか・・」

ウル「うえ~。お腹の中に毒袋があるなんて考えたくもねぇっチャ!」ぶるぶるぶる

王羽美「GDCAはこの新型ウイルスをその特徴から「Poison Sac Virus」、通称「Pサックウイルス」と名づけました」

ウル「Pサック・・なんだっチャ?」

シリウス「サックは「嚢(ふくろ)」の意だ。ポイズンサック、つまり「毒袋」だ」

ウル「気持ちの悪いネーミングっチャえっへん

シリウス「感染経路は?」

王羽美「幸いにも接触感染のみです」

ウル「ほっ・・・・」

シリウス「毒袋を体内に持つ毒耐性の強いモンスターから抗体を摂取出来ないのか?」

王羽美「それなのですが、現在精製されているモンスターの毒素に対するワクチンではPサックウイルスにはまったく効果がなく、毒袋を持つモンスターでも感染してしまうと想定されるそうです。また、亡くなった局員の一人は調査中、状態異常無効の恩恵を施すお守りを所持していたにも関わらず、感染してしまったそうです」

ウル「大陸自然の恩恵も効かないっチャ!?ひええええええええ」ガバッはぁ(ソファに置いてあるクッションを頭から被る)

王羽美「なのですが、シリウスさんの特異体質であればPサックウイルスも殺菌、貪食可能だとGDCAが判断しました」

ウル「とんでもねぇアイアンマンだっチャね、シリウスの体はあぁっ?!

シリウス「俺の抗体は利用できないのか?」

王羽美「残念ながらシリウスさんのB細胞が産出する抗体は、あまりにも感染防御機構が強すぎる為、他者あるいは他種の体内に侵入した場合、その者の細胞を抗原と認識して結合を開始してしまう為、シリウスさん以外「使いこなせない」とのことです。GDCAはシリウスさんの抗体を「S分子」と呼んでいるそうです」

シリウス「俺事態がウイルス・・または癌細胞というわけか。フフ・・・」

ウル「なにをすかして笑っているっチャむかっ問題のウイルスはシリウス以外、感染しちまったらみんな死んじまうンバよ?」

シリウス「今のところワクチン精製の目処は立っていないのか?」

王羽美「どうやらPサックウイルスは病原体に治療薬が特定できないよう、薬剤耐性遺伝子が導入されているみたいです。それも生物兵器として、より危険なものにする為だそうです。このことからPサックウイルスは、人工的に培養されたまったく新しい病原体であるとGDCAは断定しています」

シリウス「暗黒商会か・・・・それなら辻褄が合う」スッ・・(弓を下ろす)

ウル「どいうことだっチャ?」ふんふん(鼻にクッションの埃が入ったらしい)

シリウス「王、もう一方で頼んでおいた調査報告は?」

王羽美「はい」

ウル「なんだっつ~っチャよ!!二人して分かった様な顔して、ワガハイをのけ者にするつもりンバ!!」ほじほじほじポイント。(怒りながらものすごい速さで鼻をほじってる)

王羽美「肝心の感染源ですが、すべての遺体を解剖した結果、毒袋化した消化器の中より、小麦粉のようなものが摘出されました。それを調べたところ、大量のPサックウイルスが確認されたとのこと。感染源はこの小麦粉に混入されていたと推測出来ます」

シリウス「小麦粉・・パンか何かにウイルスを混入したわけか」

ウル「おえガーンさしずめ、毒入り饅頭ってことっチャか・・って、だぁ~れがそんな「いけないこと」をするっチャ~!ただのいたずらにしては度が過ぎているっチャよぉ~!!」ぴ~んドキッ(鼻から取った「あやしげな固形物」をシリウスに向かって弾き飛ばす)

シリウス「ただの悪戯か・・・そうだな。まだそのほうがましだろう」

ウル「誰が「あぶないういるす」をパンに入れて食べさせたっていうんだっチャ~!!」ぷんすかほい

シリウス「「三頭会」というキャラバン隊を聞いたことはあるな?」

ウル「さんとうかい?はて・・なんだちゃったっけか??」

王羽美「もう。この前、本部との秘密会合で話題にあがったでしょう」

ウル「ブッブ~♪あんなつまんないすぐに眠たくなる会合、ブッブ~のブッブクブ~っチャ♪だからもう一度、教えるっチャ。ウーメイ」にんまりにま~

王羽美「まったくもう・・・。いい?三頭会っていうのは新大陸を中心に通常物資の売買を行う裏で、邪龍教の布教を広めていると噂されているキャラバン隊のことよ」

ウル「ンバ。邪龍教って、大陸に存在するっていう「あやしげな」秘密結社ンバ?」

シリウス「そうだ。古代より竜種を神格化し崇拝する竜信者から派生、分裂して生まれたのが邪龍教だ。三頭会はその邪龍教徒が結成した秘密結社「タラスクギルド」の下部組織であるという」

ウル「たらすく・・ってなんだっチャ?ウーメイ」

王羽美「タラスクとは邪龍教の教典「アジ・ダハーカ」に書かれている、邪龍の眷属である伝説上のカニバリズムの怪物のことよ」

シリウス「ほう。さすがにそっち(邪龍関連)の情報には強いな」

王羽美「ええ。邪龍を討伐することが、私の「生きる意味」ですから」

シリウス「・・・・・・・」

ウル「ちょいちょい。けしかけるのはやめるっチャ、シリウス。それよりもその「たらすく」っていう秘密結社のギルドの話しをするっチャ」

シリウス「いいだろう。タラスクギルドは竜信者から派生した、邪龍を一神教とした邪龍信者が集う秘密結社だ。連中にとっては、大陸社会において帝国主義的な侵攻を繰り広げるギルドが統治した世界は悪そのものであり、そのギルドの創り上げた物質世界を破壊する「運命の戦争」の意を定義する黒龍こそが救済者なのだ。広義では黒龍がもたらす厄災と滅亡こそが、善なる大陸創造への誕生だと考えているそうだ」

ウル「たまったもんじゃねぇっチャねあぁっ?!」ほじほじ(また鼻をほじってる)

王羽美「よって邪龍を討ち滅ぼそうとするハンターズギルドこそが、大陸にとってのあらゆる悪や害毒を創造する元凶であると位置づけている、まさに私達の宿敵存在・・・それがタラスクギルドよ」

ウル「けど、その存在はまだ公にはされていないっチャ」ぴ~ん(鼻から取れた「あやしげな」ものを弾き飛ばす)

シリウス「それには理由がある。タラスクギルドは決して武装勢力ではなく、信者繁栄、信教の拡大こそが大陸を支配するという統制理念を持つ。組織の幹部には各方面の有力企業の会長、重役らが多く、反ギルド体制勢力への資金援助も秘密裏で行っている。ということはだ・・連中も立派な暗黒商会の資金源とみなしていいということだ」

王羽美「タラスクギルドを公にし、その幹部を捕らえることが出来れば、暗黒商会をはじめとする反体制勢力との繋がりを知ることが出来るのよ」

ウル「ほほぉ・・元を叩いてブラックギルド(暗黒商会)を弱体化しちまう・・ってことだっチャね」

シリウス「そうだ。タラスクギルドを抑圧、脆弱化することで、反体制勢力をまとめて一網打尽にできるというわけだ」

ウル「そうだっチャか、それでシリウスはその三頭会のキャラバンを追っかけていたんだっチャね。でもどうやってそのキャラバンが三頭会の商隊だって分かったっチャ?」

シリウス「事の発端は、火の国について語らねばなるまい」

ウル「ンバ?」

シリウスは「現在、火の国領内各地で、外部からの入国を阻止する為、厳重警戒態勢が敷かれているのは知っているな?」

ウル「ンバ。領内を厳しくパトロールしてる警備兵に見つかっちまったらハンターでさえも追い出されちまう、まさに火の国は「鎖国状態」になっちまったって巷の噂っチャ。中には知的生命体種のモンスターに殺されちまったんヂャねぇかとも言われてるみたいだっチャが・・どうしたって民族主義で有名な火の国がそんなおっかなくなっちまったんだっチャ?」

シリウス「どうやら火の国領土内に暗黒団の一軍が入ったという情報がある」

ウル「ンバって!?それなら侵入者がモンスターに襲われたっていう話しも納得出来るっチャ!!」

シリウス「暗黒商会は武器商人からはじまり近年では巨大なMIC(軍産複合体)になりつつある。その傘下である暗黒団が何の目的で火の国領内に入ったのか探る為に、中央捜査局はスパイを潜入させようと何度か試みたらしいが、領内にすら入れなかったようだ」

王羽美「そこでシリウスさんにミッションが来た、ということですね」

シリウス「そういうことだ。ミッション内容は以下のとおり・・火の国に潜伏している暗黒団の実在確認とその目論見を暴くことだ」

ウル「中央捜査局の工作員で出来なかったことをワガハイ達、ナイツに委託したってことかっチャ。同じギルド機関でも情けねぇ話しっチャ」

シリウス「中央捜査局も愚脳の衆ではない。あの連中が潜入出来なかったルートで同じことをしても無駄だと思った俺は、唯一、領内の出入りを許されているキャラバン隊に目をつけた」

ウル「ンバ!それが三頭会のキャラバンだっチャね!?」

シリウス「そうだ。火の国に潜入出来ないのであれば、そのキャラバンに接触し、領内の情報を得ようとしたのだ。三頭会一商隊のリーダー、バラク・ハサンはキャラバン界隈では有名な男でな。情報屋として使っている別キャラバンの男から、邪龍教徒であるバラク商隊が火の国に入ったと聞き、奴が出国するまで領土付近で待機していたというわけだ」

ウル「どおりでしばらくここ(ギルドナイトセクション)でシリウスを見なかったわけっチャ。で、何か分かったンバ?」

シリウス「バラク商隊が火の国を出てから一度ハンターに扮装して接触を試みたのだが、バラクは用心深い男でな・・・信用を得るために、高い買い物をさせられたものだ」ぎゅり(弦を力一杯引く)

王羽美「その弓はひょっとして・・」

シリウス「バラク曰く、真の祖龍素材で製造された世界でたった一つの「勝利と栄光の勇弓」らしい」ぎゅりぎゅり・・

ウル「くっだらねぇっチャ。どうせ50年前に起きた古塔のラグナロクに参戦したギルドナイトが、偶然手に入れた真の祖龍素材で作った逸品とかいう謳い文句だっチャろ?で、触った感じどうなんだっチャ?」

シリウス「バラクの言うとおりこいつが本物であるならば、大陸で出回っている「レプリカ」とまるで同じ性質だな」ブーーーン

ウル「予算の無駄遣いっチャ。ちゃんと領収証は貰ったっチャ?「ロックラックオークション協会(仮)」で」ほじほじ(鼻をほじってる)

王羽美「その代償と引き換えに何か情報は得られたのですか?」

シリウス「バラクは火の国を出てバルバレに向かうと行っていた。なんでもでかい儲け話が待っているともな」ゴトン(弓を置く)

王羽美「バルバレに・・一体、なんでしょう・・」

ウル「死んじまった今では分からんっチャね」ぴ~んドキッ(また鼻から取れたあやしげなものを弾き飛ばす)

シリウス「バラク商隊はバルバレで最も有力な「我らの団」とも交流が深かったという。新大陸で信頼のおけるキャラバンを利用し、密売と布教を同時に行わせる為、バラク商隊はバルバレに向かおうとしていた・・つまりそれを命令したものがいるということだ」

王羽美「それがタラスクギルドであることもまた、容易に推測出来る・・・気がかりはバラク商隊がなぜPサックウイルスが含まれた異物を食べてしまったのか・・・一体誰がなんの為に・・・」

シリウス「内輪揉めが原因だろうな」

ウル「どういうことだっチャ?」

王羽美「タラスクギルドから火の国で布教を命じられていたバラク商隊と、同じく領内にいる暗黒団との間で何か軋轢が生じたと考えれば、暗黒商会がその報復にウイルスの入った菓子を「餞別」に持たせ・・」

ウル「殺害したっチャか!!」

シリウス「おそらくその行為は、バルバレに対しての警告でもあろう」

王羽美「というと?」

シリウス「暗黒商会に背いた者の末路はどうなるか、「身内」である三頭会のバラク商隊を消すことで、バルバレに圧力をかけることが出来るからだ。仮にバラクがウイルス入の菓子を食べなかったところで、それがバルバレに持ち込まれたとすれば、一般市民に被害がいくのは時間の問題・・・そして被害を受けるのはバルバレだ。またそれを運搬したバラク自身も公に裁かれる・・もちろんそうなったら、タラスクギルドはバラクを口封じの為、あらゆる手を使って暗殺しただろうな」

王羽美「なるほど・・・どちらにしてもバラクを消し、そしてバルバレに脅しをかける・・・それが暗黒商会とタラスクギルドのとった最も有効的な報復方法ということですか」

シリウス「今回の事例を受け、一番驚愕しているのは我らの団だろうな。おそらくバラク商隊を裏手引きし、バルバレに参加させる手続きをとっていたのは連中だろうからな」

ウル「騙されたにしろ、あんな「おっかねぇういるす」をまざまざと見せられちまったんヂャ~、仕方ねぇっチャ」ほじほじ

王羽美「そしてまた、暗黒商会の指示の下、タラスクギルドが新しいキャラバン隊をバルバレに送る・・・やはり根源を絶たないといけませんね」ギュッ(手袋を引き締める)

ウル「ンバ。なんだかやる気が出てきたっチャね」

シリウス「士気が高まるのはいいことだが・・お前たち、ずいぶん暇そうにしているが、今は個別のミッションを請け負ってはいないのか?」

王羽美「・・・・・・・・」

ウル「・・・・・・・・」

シリウス「・・・・・・・・・」


ガチャッドア

$あたちのモンハン日記
「失礼するニャ~♪」(何やら書類を抱え陽気に部屋に入ってきたガイド猫)


王羽美「おや、どうしたのですか、サフラさん」

サフラ「シリウス様に頼まれていた調査報告をしにきたですニャ」パッ(書類を見せる)

ウル「お前も大変だっチャね。ナイツと本部の仲介係だっチャからね」

サフラ「中間管理職の性ですニャ。楽しんでやってますニャ♪」

シリウス「お楽しみの最中悪いが、死亡現場からは何か検出されたか?」

サフラ「GDCA局員の話によれば、キャラバン隊の馬車からはウイルスが付着したものは発見されなかったとのことですニャ」

シリウス「感染者以外の物資に異常はなかったということか」

ウル「ンバ。何もねぇことに越したことはないっチャ」ほじほじ

王羽美「もう。さっきから、それ、汚いからやめなさいえっへん」ぱし~ん手(いけないお手を叩き落とす)

シリウス「死亡現場から他者への感染は避けられたとみていいか」

サフラ「それがひとつ気がかりがあるんですニャ」

ウル「ンバ?」ふうふう(叩かれたお手をふうふうしてる)

サフラ「馬車から感染源である饅頭が入っていたと思われる「和せいろ」が発見されたのですニャ。どうもその和せいろには、饅頭が六つ入る様になっているらしいのですニャ。けど、そうすると饅頭が一個足りない計算になるのですニャ」

ウル「どういうことだっチャ?」

サフラ「饅頭を食べ「直接感染」したのはキャラバン隊の三名、そして馬車の運搬用のラクダ二頭ですニャ。和せいろに六つ入っているのだとすれば・・・」

王羽美「ひとつ足りない・・・・」

ウル「食いしん坊の誰かが2つ食べたんじゃねぇっチャか?」

王羽美「いえ・・私がGDCAより受けた報告では、遺体からは「ひとつずつ」ウイルス入りの固形物が摘出されたと・・・シリウスさん、これは!?」

シリウス「嫌な予感しかしないな」

サフラ「何か心当たりでもありますかニャ?」

シリウス「バラク商隊が火の国を出国して間もなくだ・・・一匹の獣人族がバラク隊から何かを買い、立ち去って行ったのを目撃した」

ウル「ダッ!?」

王羽美「まさかそれが・・」

サフラ「それですニャ!!」

シリウス「何か確信があるのか?」

サフラ「馬車から感染当日の日付が記された「領収書の控え」が発見されたと報告書に書かれていたニャ!」パラパラ(手持ちの書類を急いで漁る)

シリウス「・・・・・・・」

サフラ「あったニャ!!」

シリウス「宛名は、どうなっている」

サフラ「宛名は・・・「ユクモあんまん財団法人(仮)」ですニャ」

王羽美「ユクモ・・・・」

ウル「温泉街だっチャ」

シリウス「バラク商隊が火の国を出国してからおよそ丸一日が経過・・・ウイルス混入の菓子を購入した獣人族がユクモに帰還するには十分過ぎる時間だ」

王羽美「では既にユクモ村全土が感染症になっている可能性も・・!?」

サフラ「ただちに中央捜査局とGDCAに緊急通達して来ますニャ!!ユクモに至急、人を派遣させますニャ!!」

ぴょーんぴょーんぴょーんぴょーんDASH!
(猫ダッシュで部屋を出て行く)

ウル「ンバババ・・・なんだかえらいことになってきたっチャよ」

王羽美「ウイルスが混入したパンを食べていないことを願うしかないわ・・」

シリウス「王、各自治体にはGDCA局員と中央捜査局のエージェントを一名ずつ派遣すると言っていたが、正確な出発時刻は聞いているか?」

王羽美「いえ、これから出発するとは思いますが・・ことユクモに関しては感染症の恐れがあるので、これからGDCA局員や中央捜査局員をどの程度送るか決める為の議会を本部で行った後、派遣になるかと・・」

シリウス「そうか。王、あとは頼む」ザッ

王羽美「何処へ!?」

シリウス「ユクモだ」

王羽美「え・・!?」

シリウス「俺の不始末を処理する為にユクモに潜入する」

ウル「ダッ!?なんでだっチャ!?」

シリウス「理由はただひとつ」ぴた(立ち止まる)

王羽美「??」

シリウス「ユクモには感染症などで死んでもらっては困る女がいるからだ」ザッ煙

To Be Continued..






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次回「あたちのモンハン日記」中継ぎ記事は・・

5/15(木)0時更新 「あたちと映画」のコーナーで上手にぼやきましょうぽけ~