~ギルド連邦捜査局、新大陸本部


ベップ「ああ忙しい忙しいあせる

「ベニテス警部補、例のロックラックで起きた「酔っ払いハンター」を狙った窃盗事件、あれどうします?所轄の連中が泣く泣く手を貸して欲しいって言ってんすけど?」

ベップ「こっちだって年末恒例の人手不足で猫の手も借りたいくらいなんだ。いっそのことクエストでも依頼して解決しろって言っておけ」

「ハハハハハ。それいいすね。でもそしたら俺たちの役割が全てハンターに取られちゃいますよ?ハンター至上主義なんていう危ないカルト集団もある世の中ですからね。仮りにも官僚の自分らがハンターを支援しすぎるのも問題っすよぉ?あ、それよりアイオロス警部が呼んでましたよ。なんでもユクモからの報告書に目を通したって」

ベップ「それを早くいわんか!ああ忙しい忙しいDASH!」タタタタタ


「ほんっと・・忙しいよなぁ~はぁ










「あたちのモンハン日記」
~Memory of Extinction(破滅の記憶)~外伝











ベップ「警部!失礼します!!」コンコンドキッ

アイオロス「はーい。いいよぉ」

ベップ「ふんぬ!!」


ガチャリドア


ベップ「はぁはぁ・・・このでかい扉は人間には重たくて仕方ないですなふん
警部、報告書を読んで頂いたそうで」ピシッ



$あたちのモンハン日記
アイオロス「よりによって何でユクモなんだい?新大陸本部が正式に開設された途端にこれだもの。ほんと・・野に帰ろうかな」


ベップ「弱気な発言はいけませんなふん我々に期待している一般市民も多いのです。もっと警部にも自覚をもっていただかないとsss

アイオロス「君は僕の上官かい?ま・・いいけど」

ベップ「部下であり戦友であると私は解釈しております」

アイオロス「そうだね。じゃ・・本題に入ろうか」

ベップ「報告書の率直なご感想を」


アイオロス「サイアク


ベップ「・・・それだけ・・ですか?」

アイオロス「これがそれ以上の言葉で表現出来る?
君が率直な意見をというから一番簡略的で短い言葉を選んだんじゃない」

ベップ「・・・・・・n--*

アイオロス「分かってるよ。怒らない怒らない。よくないよ?その、顔で感情を表して、TPOを察しろっていうんでしょ?」

ベップ「ではきちんとしたご意見を。ゴホンsss

アイオロス「このサムソンさんから送られてきた報告書・・。
とても公には公表出来ない要素ばかりだ。報告書というか・・密書だね。トップAクラスの極秘報告書だよ」

ベップ「公に出来ない要素と言いますと?」

アイオロス「君も読んだんだろ?分かるでしょ~?」

ベップ「確かに・・竜水晶の実在にはじまり、ギルドナイツの存在・・更には古の造竜技術の製造方法・・・しかもよりによって・・」

アイオロス「薔薇十字のお嬢さんの頭の中だっていうじゃないか。
しかも当のお嬢さんはその記憶を全く覚えてないって言ってるって・・。
どこを信じたらいいんだい?これ」

ベップ「では警部はサムソンさんが嘘の証言をしていると?」

アイオロス「なんの為に?僕らへの嫌がらせ?情報攪乱?そんなわけないよね。だから困るんだ。これを送って僕らにどうしろって言うんだよ?あのおじさん」

ベップ「報告書にはギルドナイツの解散、及びその実在記録を世間に公表しろと書かれていますな」

アイオロス「弱るよ弱るよ汗あのおじさんの愚直なまでの正攻法には応えられないよ。だってそうだろ?ギルドナイツはその人数こそ少ないけど、いわばハンターズギルドの直轄組織みたいなものだよ?本部が僕ら(連邦捜査局)にだってその存在は明確にしないんだ。それともギルド本部に行って、この報告書を見せてみるかい?ギルドが王立武器工匠をはじめとする各局を利用し、独自の技術向上を狙った暗躍をしている・・なんて内部告発だよ?僕ら、間違いなく田舎街の警備兵にでも降格されるよ?下手したら・・」

ベップ「ギルドナイツに暗殺・・ですかな?」

アイオロス「世間的にはギルドナイツの存在自体が都市伝説なんだよ。管轄が違うとはいえ、あんまり相手にはしたくないけど・・サムソンさんは怒るだろうね。だってあのお嬢さんがほんとに「被害者」だとすれば、連中・・黙ってないよ?」

ベップ「ギルドと抗争でも起こすと?」

アイオロス「僕が一番心配するのはそこだよ。彼ら彼女らが法を犯したら、当然僕らの出番だ。でも戦争ってなったら話は別じゃない?」

ベップ「この前の王国騎士団領での騒動中もダルグレイオスの丘でギルド帝国軍とユクモ薔薇十字、さらには暗黒商会の軍の間で、ひと悶着ありましたしな。やれやれ・・困ったものですな」

アイオロス「問題はギルドナイツがギルドからどんな「クエスト」を受けたかだ。
その内容によっては告発が出来るかもしれない・・けど」

ベップ「けど?なんですかな」

アイオロス「完璧な隠蔽工作を計るだろうねふん
だからそもそもがこの報告書の内容自体が、僕らの仕事じゃないんだよ」

ベップ「では誰が「悪」を裁くのですかな?」

アイオロス「ああ!今、君、ギルドを「悪」と称したろ?いけないなぁ・・いけないよ?」

ベップ「私はこの報告書の元凶となるものを「悪」と呼んだだけです」

アイオロス「分かるよ。でも今の僕らの階級じゃ相手がデカすぎる。それに造竜技術を一番欲しいのは暗黒商会だろ?連中は武器商人の戦争屋なんだから。一番現実的に考えて、今すぐに僕らに何が出来るかといえば・・」

ベップ「いえば・・?」

アイオロス「暗黒商会を見張ることだけさ。ここで僕らがユクモのお嬢さんに接触でもしてご覧よ?すぐにギルドナイツに目をつけられるよ」

ベップ「では話しをまとめると、警部はこの報告書のことは認める・・と?」

アイオロス「読んだだけ。っていう方が正しい」

ベップ「サムソンさんが怒りますぞ」

アイオロス「真相は未だ、闇の中・・・うかつに動けばみんな危ない。それに気になることがあるんだ」

ベップ「なんですかな?」

アイオロス「なぜギルドはあのお嬢さんに竜水晶の記憶を「インストール」させたかだ。ああ、もちろんここでの話しは竜水晶の存在を認めた上での見解だよ」

ベップ「うーん・・この報告書によれば、ユクモ薔薇十字軍の丞相とギルドナイトが戦闘中だった時、傍にいたモンスターがその状況を全て見ていたと。その証言によれば、あくまでもギルドナイトは当初から、薔薇十字の丞相に「インストール」させるのが目的だったと言っておるようですな」

アイオロス「同族(知的生命体種)の言うことは信用したい。じゃあ仮にギルドナイトの「計画通り」だったと解釈しよう。だとすると、なぜギルドは竜水晶をその手に収めなかったんだい?自分たちの元で管理して、研究した方がよっぽど生産的じゃないか?」

ベップ「そこに真相があると?」

アイオロス「たぶん・・ね」

ベップ「どんな根拠が?」

アイオロス「君・・ずるいぞむかっ
僕にばっかりこの「危険な」事件の推測ばかりさせてる。これが上官にバレて僕がクビにでもなったら間違いなく君も道連れにしてやるからな」

ベップ「探偵事務所でもやりますかな?それより、さきほどの根拠を「ご教授」願いたい」

アイオロス「はいはいふん
仮にギルドが竜水晶を保管した場合、恐れるケースはひとつ・・。
そう・・・水晶を狙った暗黒商会をはじめとする施設軍隊との抗争・・。
いわばラグナロクだよ」

ベップ「それほどの技術力・・ということですか?」

アイオロス「造竜技術の製造法が封印されてるっていうなら・・そうなるだろうね」

ベップ「ギルドが造竜技術を活かして兵器を製造すると?」

アイオロス「それが出来ないからギルドは所有に困るのさ

ベップ「??」

アイオロス「伝承にまつわる造竜技術っていうのが本当なら、その技術を用いて作る兵器には相当数の龍の素材が必要らしい。しかも純粋竜のね。原種に近い竜素材じゃないと駄目なんだと予測されてる」

ベップ「というと?」

アイオロス「古竜種さ」

ベップ「なるほど・・古龍をギルドがやたらめったらに討伐指令を下したら・・」

アイオロス「当然竜族の反感を買うだろうねふんそうすれば太古の竜大戦と同じ結末をまた人類はたどることになる。君はなぜ旧大陸にいるラオシャンロンが大陸を逃げ回ってるか知っているかい?」

ベップ「伝承によれば「何かから逃げている」とだけしか」

アイオロス「その何かの真相は分からない。一番有名な一説は、伝説の黒龍から逃げている、っていうのがオーソドックスな解釈らしいけどね。けど僕個人の見解は違う。彼らは再び竜大戦のような悲しい世界大戦が起きるのが恐いだけなのかもしれない・・・誰だって戦争は嫌なのさ」

ベップ「警部・・」

アイオロス「話が少しそれたが・・統合すると、ギルドは「すぐには」技術を「乱用」出来ない。それには正当な動機が必要だからさ」

ベップ「ほう・・動機・・ですかな」

アイオロス「自分たち(ギルド)を脅かす「完全なる悪の組織」との対峙。つまり公に見て、造竜技術を利用しても「許される」状況下のことさ」

ベップ「それをギルドが望んでいると?」

アイオロス「それに他の第三者に「作らせてから」それを正当な理由で没収する方が効率的じゃない?それをどう使うのかは知らないけどねふんただ間違いなくギルドは圧倒的な武力を手にするってことさ」

ベップ「大いなる力を得るにはそれなりのリスクが伴う・・ということですかな」

アイオロス「そういうこと。それと忘れちゃいけないのが、竜水晶ってのは伝承によればひとつじゃないらしい。それぞれに違う古の技術や歴史遺産が記憶されているという。その伝承でしかなかったものが実在したんだ。今回は強奪に失敗したとはいえ、暗黒商会だって新たに竜水晶を発見するためのチームを拡大するだろう。それを真似する第三勢力だって・・そうなったらギルドの思うつぼかもね。「正当なる悪」を倒すために生態系維持を無視してまで「泣く泣く」古龍たちを討伐し、古の超兵器を製造する。なんてね」

ベップ「恐ろしい話しです・・・そうか!ギルドはそうなった時の「保険」に薔薇十字の丞相にその記憶を・・しかしそれならなぜ、ギルド配下の科学者らに選ばなっかったのですか!?」

アイオロス「決して自分たちの手は汚したくない・・それは組織が大きいほどそうじゃないのかな。それと記憶をインストールすることの「後遺症」だって計り知れない。もちろんそれを「ダウンロード」するリスクもね・・・もしかしたら一番重要なのはそこなのかもしれない」

ベップ「それが薔薇十字の丞相が選ばれた根拠・・と?」

アイオロス「ああ・・だがこんな話しあくまで憶測だよ?僕の勝手な「想像」で、これは仕事じゃなく談笑の一環。いいね?こんな話し・・・部下に聞かれたら笑われちゃうよふん「仕事のし過ぎじゃないですか?」なんてね」

ベップ「しかし、その被害者が少なくともいることは忘れずに」

アイオロス「覚えておきましょう」

ベップ「しかし、警部はさすが伝承などにはお詳しいですな」

アイオロス「なに・・昔、霊峰で育った頃の親代わりが特別だっただけさ」

ベップ「ああ、確か・・羽衣大禍津様・・でしたね」

アイオロス「嵐竜の長老に育てられたなんて面白い過去だよね」

ベップ「素晴らしい方なのでしょう」




コンコンドキッ


「警部。たった今、新しい事件報告書が」


アイオロス「今度はなんだよ・・まったく。入っていいよ。あ、扉重たいから気をつけてね」


ギギ・・ギギギギギドア


「はぁはぁ・・これです汗

ベップ「うむ。ご苦労」

「では失礼致します」


ギギギギ・・・ギギギ・ギドア


ベップ「読みましょうか?」

アイオロス「うん・・・」

ベップ「どれどれ・・・・・・・」

アイオロス「・・・・・・」

ベップ「なんだと!!

アイオロス「びっくりびっくりするじゃないかあせる急に」

ベップ「サムソンさんの報告書絡みの事件です」

アイオロス「・・・何が・・あったんだい?」

ベップ「サムソンさんの報告書で書かれていた、竜水晶の第一発見者である王立地質学調査隊員が自殺を図ったそうです。名前はニック・リチャーズです」

アイオロス「・・・場所は?」

ベップ「サムソンさんの報告書にも書かれていた様に、ニック氏は凍土にてギルドナイトの手により拷問を受け重症を負っていた様ですが、幸いにも怪我はニック氏が元ハンターであったことから、ハンター用の回復剤一式で完治したようです。その後ニック氏は、今回ユクモ地方の凍土で起きた事件を旧大陸に所在する王立地質学アカデミーに伝える為、ユクモを出発。タンジア港への公道途中、馬車の中で首をひと掻き・・とのことであります」

アイオロス「第一発見は?」

ベップ「皮肉にも・・・」

アイオロス「・・・・・」

ベップ「サムソンさんです」

アイオロス「!!」

ベップ「タンジア港に到着した時に、ニック氏の返事が無かったのでサムソンさんが馬車の扉を開けたそうです。その時にはすでに・・・手おくれであったとの事・・」

アイオロス「・・・たぶん・・・護衛で付き添いしていたんだね、サムソンさんは」

ベップ「それともうひとつ報告書に」

アイオロス「まだ何か?」

ベップ「ニック氏の奥様も行方不明だそうです」

アイオロス「!!」

ベップ「ニック氏の自宅がある旧大陸の都から捜索依頼が出されています」

アイオロス「いつから!?」

ベップ「サムソンさんの報告書の事件翌日後です。地元では都から離れた時モンスターにでもさらわれたのではないか・・ということで決着がついてるようですが・・」

アイオロス「・・・・口封じ」

ベップ「奥様を人質に取り、ニック氏に真相を語らせない為のですか!?」

アイオロス「彼らならそのくらいの「事故」を作ることなど造作もない」

ベップ「それも「上」のした事だと言うのですか!?」

アイオロス「彼(ニック)は今回の事件で、唯一の社会的地位がある「証拠人」だった。サムソンさんは彼の証言を盾に真っ向からギルドに挑もうとしたんだろう・・・そしてその旨の意向を伝える為、僕らに報告書を送ってくれたんだ。だが・・・・一足遅かった。クソッ!!


ガンびっくり




ベップ「行きましょう」

アイオロス「現場はタンジア港だったね」バッsss

ベップ「はい!」ダッsss








~この後、アイオロス警部とベニテス警部補はタンジア港へ到着するも、すでにサムソンらの姿はなかった。サムソンは死因の再鑑定を新大陸ギルド中央捜査局本部に直訴する為に向かっていた為、すれ違いとなる。だが再鑑定の努力も虚しく、ニックが自殺に図った凶器(投げナイフ)には本人の指紋以外は検出されなかった。更には移動中の馬車の中はニック一人という密室状態であった事が決定的な立証となる。また、馬車の警護にあたっていた者(馬車の運転=ミッチ、劉珍。後方警護=サムソン(馬上)。空中警備=エリーゼ、アルテミス)らも、一切の怪しい人影、及び気配は無かったという(更にはサムソンは自動マーキングも付加していたのが決定的)。アイオロスらはタンジア港にて事故があった馬車を再捜査するもこれといった物的証拠は何一つ見つからなかった。その後も数日に渡る、ユクモ村~タンジア港間の公道を調査するも、そこからは何も見つからなかった。こうしてニックの死は正式に自殺と判定された(捜査局内での実行動機については不明)。また、サムソンは今回の騒動をロックラックにあるハンターズギルドに直訴するも「ギルドナイツの犯行に見せかけた暗黒商会の姦計」ということであっけなく却下されるのであった。行方不明になったニック氏の愛妻についてもまた、「モンスターとの遭遇による不慮の事故」と断定され、捜索は打ち切られた。この「いち夫婦に起きた災難」のニュースは、新大陸だけではなく旧大陸にも広まる。一部では暗黒商会の犯行であるとの憶測も流れたが、ごく一部のアンチギルド体勢の組織集団の考えは一環として違っていたのは言うまでもない。









~ユクモ渓流
$あたちのモンハン日記



$あたちのモンハン日記
サムソン「手間をかけたな・・・あっという間にもう今年も終わりだ」

アイオロス「何もお役に立てず・・不甲斐ないですよ」

サムソン「いや・・おぬしはよく応えてくれた。それに、これ以上捜査を長引かせるのは危険だろう。おぬしの立場もあるしな。他殺の線は・・我らの誇大妄想だったんだよ」

アイオロス「すみません」

サムソン「おぬしが謝ることはない。ニック氏は「考えた末」に・・「報復」を恐れたのだろう。そして・・・自害を選んだ」

アイオロス「愛する奥さんを残して?」

サムソン「唯一ひっかかるのはそこだ。ニック氏は自分の妻の行方不明を知る前に自害した。しかし・・それが決断に至ったのかもしれんな。自分の愛する者に手が及ぶ前に自分が消えれば・・そうすれば守れると思ったのかもしれん」

アイオロス「けど「結末」は同じだった・・としたら?」

サムソン「どういうことだ?」

アイオロス「唯一の・・・手がかり」

サムソン「ああ・・・移動中の我々に声を掛けて来た行商人の事か?」

アイオロス「はい。その時、気を良くしていたニック氏はその行商人から何か買ったのですか?」

サムソン「いや。何か土産にと馬車から降りてきて行商人の勧める物を見てはいたが何も買わんかった」

アイオロス「何をニック氏に勧めていたのですか?」

サムソン「なに。普通のどこにでも売ってるアイテムだったぞ。それ以外には何か両手で持てるくらいの宝箱を見せておったな。中身は見とらんが何やら珍しいものとか行商人は言っておったが・・なぁに、おおかた金の卵とかだろう。それに、あの行商人が何かしたとはとても考えられん。たまにユクモにも販売をしに来る流れの行商人だったしな。我らもそれを確認した後、ちと休憩をとったのだ」

アイオロス「その後ニック氏は?」

サムソン「いろいろ見せられて疲れたのだろうふん黙って馬車の中に入っていったよ。その姿を見てな、彼も疲れているのだろうと思い、馬車の中で一人にしておいてあげたんだ。その後、彼は自害した。・・と、何かひっかかるか?」

アイオロス「今ですね・・その行商人をベップが捜索しているんですよ。念の為・・一応ですよ。その時のニック氏との会話のやり取りに、少しでも引っかかるものがあればと思いましてね」

サムソン「ニック氏の妻の行方不明も裏がある・・というのか?」

アイオロス「なんでもかんでもモンスターに襲われた・・で済めば、この全大陸は「殺人無法地帯」ですよ。それを防ぐのが僕らの仕事です」

サムソン「ほむ・・だが深追いには気をつけろ」

アイオロス「分かっていますよ。ですが、それはそちら(薔薇十字)も同じでは?僕はそっちの方が心配ですよふんやり方次第では、あなたがたをしょっぴくことになりますよ?」

サムソン「んん?なんだおぬし・・我らを正当な理由で捕まえたがっていたんじゃないのか?」

アイオロス「人聞きが悪いなぁ・・。ベップはまだしも、僕は意外とあなたがたのファンなんですよ?だって、僕だってここ(ユクモ)出身なんですからね。同郷の自警団が頑張っている姿を見て感動しない者なんていないでしょう?僕がたまに言う警告は、同郷者のおせっかいですよ」

サムソン「ほう・・・おぬし・・今回の事件で少しは変わったか?」

アイオロス「僕の信念に変わりはないですよ・・これからも」

サムソン「そうか。そうだな・・」






ヒュウウウウウウウウウウウウウ風







サムソン「ほむ・・・・そういうことにしておこう。
ああ、話しは変わるがそれとあとでこれにサインを頼む」サッ

アイオロス「なんです・・?何かの借用書だったら・・嫌ですよ?」

サムソン「バカもん!誰が借金しとるんだむかっ
同郷者のおぬしの「ファン」からの依頼だ。普通にサインしてくれ」

アイオロス「ええ・・なんか照れるなぁ。今書きますよ、宛名は?」

サムソン「陽子だ」

アイオロス「OKです・・陽子さん、へと!はい、どうぞはぁ

サムソン「ほむ。すまんな」

アイオロス「でも少しガッカリかな」

サムソン「なんでだ?そのファンの陽子という娘は、ストアガールの娘でな。悪知恵が働く口の悪い子だが、気立てはいいぞ。容姿もあれでなかなか綺麗だしな」

アイオロス「いえいえ、その方がどうというわけではなく・・ファンと聞いたから、ついあのハンターのお嬢さんだったらいいなって思っただけですよ」

サムソン「ハンターの・・お嬢・・・・なっ・・・おぬし・・気は確かか!?」

アイオロス「そんな拒絶反応します?仮りにも自分たちのトップの方でしょう?」

サムソン「ほなら、会っていけばよかろう?今は確か・・・霊峰に通っておってな」

アイオロス「へぇ・・興味深い話しですね」

サムソン「そうか?なんでもな、嵐龍の長老がおってな、この辺では神様みたいに崇められてる・・」

アイオロス「羽衣大禍津様・・でしょ?」

サムソン「そうそう。その者にな、鍛錬してもらってるみたいなのだ」

アイオロス「へぇ・・・なんでまた?」

サムソン「これからの戦いはし烈になっていくのが見え見えだからな。それに備え、もっと非公式な戦闘術を学びたいと言うてな。このせわしない年末なのに今日も霊峰に行っておるよ」

アイオロス「それは楽しみだなぁ・・」

サムソン「??」

アイオロス「僕がなんで龍属性変化出来るか知ってます?」

サムソン「????」

アイオロス「フフ・・そうか・・・彼女もねぇ・・・これは面白い」

サムソン「ニヤニヤして、変な雷狼竜だな。夕方には腹を減らして山を降りてくるぞ?待ってるか?村でもてなすぞ?」

アイオロス「いえ、そのお言葉だけで充分です。それに・・彼女に会うほど、今回僕は活躍をしていませんよ。またの機会で」ザッ

サムソン「ほむ。気をつけてな」

アイオロス「あなたがたも」ザッザッザッザ

サムソン「よいお年をな」

アイオロス「よいお年を」







ヒュウウウウウウウウウウウウウ風















アイオロスの予期したとおりであった。
そう「結末は同じ」であったのだ。

ニックが行商人から「勧められた宝箱」

彼が箱の中で見た物は、この世との断絶を意味するものが入っていた。


ニックはその中身を見て驚愕する。


また「認識」し「受け入れる」ことなど一切出来ない代物。



それは、これから壮大な敵を相手に勝利するという、かすかな希望をも一瞬で打ち消し、刹那で絶望しか与えないものであったからだ。




ニックは選択を迫られる。





「それでも」無謀な戦いを挑むか






「死」を選ぶか。







箱の中身をまざまざと見せられたニックは、その二択に迷うことなく後者を取る。








ニックは戦わずして敗北したのだ。







彼はその中身を「確認」すると、一緒に箱に入っていたナイフを手にし、警備の者らに見つからぬ様に懐に隠し、黙って馬車の中に戻って行った。



















そしてニックは自ら首を切った。
















なぜ?














答えは簡単だ。


















箱の中身










そこには
























愛する妻の「首」が入っていたのだから。























その数ヵ月後、ベニテス警部補らの尽力もあり、ニックが自害する直前に出会ったという行商人の身元を確認。ろくに身内もいない独り者であったことと職業が行商人であることが身元判明を遅らせたのだ。だがおかしな事にその行商人はニックが自害した日よりも「だいぶ前」に行方不明になっており、ある村の話では既に他界しているとの噂もあった。なんでも大陸移動中にモンスターの襲撃を受けたのではないかと推測され、誰も遺体を捜索しようとは思わなかったらしいのだ。アイオロスはこの報告を受け、捜査を中止。彼の言うとおり「なんでもかんでもモンスターに襲われた」で済めば、この全大陸は「殺人無法地帯」。ましてや亡くなった身元不明の行商人に「何者か」が扮装していようとも、それを立証出来る術などないのだから。つまり、真相は闇の中に葬られたのだ。



~Memory of Extinction(破滅の記憶)編~外伝・完





$あたちのモンハン日記