こんにちは、久田和弘です!

ふたりの女性の生き様を描く『マイ・ブロークン・マリコ』という作品―――しかし物語の中心にいるはずの「彼女」はもう既に亡くなっています。そんな彼女・まり子が死を決意するまでに、正しくは「死を決意するまでに追い込まれてしまった原因」を探すために、ともよはまり子の父親から奪った遺灰を胸に抱いて逃避行にでて―――…。

というのが、物語のザックリしたあらすじです。

最初、ともよは「まり子を助ける」のに必死で、その先のことはほとんど考えていません。物語開始時から終わりまで、ともよはまるでなにかに追い立てられるかのように、事ある毎に「まり子を助けなきゃ」と言いつづけていきます。それは言い換えれば、生きている間にまり子を助けられなかったことへの懺悔であり、しかし考えようによっては、彼女の遺灰を奪ったことでひとまず窮地は脱したはずなのに、それでも「まり子が行きたがっていた海」へと向かわせたものは一体何だったのでしょうか―――…。

ともよとまり子がお互いを認識したのは中学生の頃。屋上でタバコをふかしていたともよと鉢合わせたまり子は、その後手紙のやり取りをするように。ともよから喫煙者だということを周囲に悟らせない「秘訣」を聞いたまり子は、その予想外の内容に大爆笑し、それ以来、家庭の事情などプライベートな話題をするまでの関係性になっていく。

ある日、休日にまり子と待ち合わせをしていたともよは、時間になっても来ない彼女を心配し自宅を尋ねることに。しかし玄関前でいくら待っても呼び出しに応じない状況に、両親の仲が複雑化してしまった家庭の子どもとしての嗅覚が危険を察知したともよは、強行突破しようとするが…。