こんにちは、久田和弘です!

しかし、例えば「うらみちが現実に生きていれば」と恋い焦がれる読者がいたとして、それはうらみちというキャラクターが「絶対的に壊れない人間性の持ち主」だから、というのは大きいのでは。

筋肉ムキムキだけどメンタル弱かったり、地味で目立たないけど土壇場で決して諦めないなど、「キャラクターの精神性」というのは非常に重要なポイントですよね。特に、「このキャラクターはどんな困難があっても最後まで絶対に諦めない」と思わせてくれる設定は、誰もが応援したくなるもの。

…けれど、もし、作品の開始時点で「諦めてしまった=壊れてしまった」キャラクターを中心に物語が展開されるとしたら…あなたは読みたいと思えるでしょうか?

 

 

ふたりの女性の生き様を描く『マイ・ブロークン・マリコ』

『マイ・ブロークン・マリコ』は、そんな「既に壊れてしまったキャラクター・まり子」を中心に、彼女を巡る物語が展開されていきます。
学生時代からまり子の唯一の友人であり味方でもあったともよは、26歳になったある日、仕事中に立ち寄ったラーメン屋のテレビから偶然流れたニュースによって、まり子の自殺を知る。
ともよはそのまま仕事を放置して自宅に直帰、ニュースが誤報であることを願いながらまり子に連絡をするも、一切返事が返ってこない…どうやら本当に、まり子は死んでしまったようだ。
その後、なんやかんやあって、まり子の父親から遺骨を奪い去ったともよは、生前まり子が「海が見たい」と言っていた記憶を思い出し、彼女が壊れてしまうまでの経緯を辿りながら旅に出ることを決意する。