こんにちは、久田和弘です(^^)

生きることと絵を描くことは同じであると豪語する世田介と、最近絵を描くおもしろさに目覚めたばかりの八虎…

それまでの生き方が違えば絵との向き合いかたももちろん変わってくる、そう頭では分かっているはずなのに、心の奥底で世田介への嫉妬が止まらない八虎は、「理論武装」という殻を脱ぎ捨てまったく新しい武器を貪欲に追い求めるも……

 

 

一筋縄ではいかない、だからこそ

たとえ日常のほんの些細なことでさえも、イメージ通りにことが進むことは少なく、ほとんどが微妙にズレてしまうもの。やがてそのズレが積もり積もって修正不可能な状況になってはじめて自分が「とんでもない場所」にきてしまったことを悟る、なんてうのは、生きていれば誰にでもあり得る話しですよね。

例えば八虎の場合、大切なものはいつだって一番近くにあったはずなのに、それを見ようともせず、ただひたすら技術向上と自身の武器の探求に邁進していきます。

 

④桑名マキの場合

予備校で出会った桑名は、家族全員が藝大出身のサラブレッド。しかし本人はといえば浪人しながら姉の作品への猛烈な嫉妬を抱え努力を惜しまない。技術も知識も一流で迫力ある絵づくりは周囲から称賛の的だというのに、姉に及ばない技量を呪いつづけます。
そんな彼女は世田介同様他人に興味がない…かと思いきや、非常に面倒見が良いのです。八虎に体力づくりのアドバイスをしたり、受験当日に体調不良で倒れ込んだ際荷物を運ぶのを手伝うだけではなく叱咤激励したりと、アーティストには珍しい優しさが、彼女の弱点でもあり魅力でもあるのでしょう。