こんにちは!久田和弘です(^^)
なんでもできる、でも「なにもない」ことに焦燥感を抱く八虎にどこか親近感をいだく読者は意外といるのではないでしょうか?例えば大人になって努力して得た今の環境に不満はないが、変化が生じない日々にふと不安がよぎる…。或いは、学生時代、周囲に合わせるまま進学先を決めてしまったけど、懸命に夢を追う友人と特にやりたいことが見つからない自分とを比較してしまい、大きな迷いが生じてしまう…。
などなど。
八虎もそんなかんじで、迷いと不安を抱える、じつに健全な学生生活をおくっていたけれど…。
①「好き」だけが自分を守ってくれる
先輩の天使の絵に魅了された八虎は、生まれてはじめて「絵を描いてみたい」という衝動に突き動かされ、美術の授業中ずっと心にのこっていた渋谷の朝焼けの風景をかたちにします。それは、普段は喧騒に包まれた渋谷が唯一静寂に染まる「青の時間」―――画材を駆使し自分の「好き」が伝わるよう懸命に絵と向き合った八虎は、自身のこめた願いが思いがけず夜遊び仲間のひとりに伝わった瞬間、はからずも感動してしまう。
表現の不可思議な魅力と感動を同時に経験し、もう絵を描くたのしさを知らない自分には二度と戻れない―――そう確信した八虎は、美術部の顧問に「藝大受験がしたい」と直談判し…。
