萩原朔太郎を「掬いとった」その先6
こんにちは、久田和弘です。
師弟とも友人とも愛人ともいえない、そんな曖昧な関係性の朔くんと白さんのあいだに、また異なるベクトルから割り込んでくるのが「ミヨシくん」です。
ミヨシくんは、「三好達治」をモチーフに作り出されたキャラクターで、萩原朔太郎の弟子にして兄弟という間柄は物語にも登場します。
死ぬまでアイの幻影が断ち切れなかった
一巻を読む限り、甲斐甲斐しく朔くんの世話を焼くミヨシくんは、彼の弟子というよりすこし粘着質強めのファンのよう…
そんなミヨシくんは朔くんのことを度々「兄さん」というけれど、朔くんいわく「君に兄さん呼ばわりされる覚えがない」とのこと。
それに対し、ミヨシくんは毎回、
「あなたはいずれ僕の兄になる人だ」
「あなたには妹さんがいる」
「そのなかでも一際カンワユイのがいるでしょう!!」
と反論します。けれど、朔くんには妹がいた記憶は一切ない……。
が、二巻にて、ミヨシくんがいう幻影の正体が明らかになります。そこには、現実の彼が若い時分から恋い焦がれた師匠の妹・アイとようやく結婚したというのに、彼女が最後まで彼を愛さず、彼自身もまた、幻影を追うばかりで本当の彼女の姿を見ようとしなかった、そんな悲しいエピソードが秘められていました。
↑朔くんが女性的な見た目なのはもしかして…?
同じく二巻にて、朔くんは自身の体の変化に気づきはじめます。
それは些細な不調からはじまり、見た目がすこしずつ女性化しているという奇妙な現象なのですが、朔くん自身は
「あれ?いつのまにか永久脱毛」
とサラッと探しているものの、ミヨシくんが断ち切れていないアイの幻影がそこに隠されているとしたら…ちょっと怖いですよね。
