萩原朔太郎を「掬いとった」その先4

 

こんにちは、久田和弘です。

さて、前回は『月に吠えらんねえ』に登場する朔くんの人物像をザックリお伝えしました。

…といっても、あれだけの情報では抽象的過ぎますが…この物語の登場人物は全員あんなかんじなので、まぁ大丈夫ですよ(^^)←適当

初回の冒頭にて、朔くんは「原始の情欲に執着する者」として紹介されていますが、このモノローグを語っているのが、北原白秋作品をモチーフにつくられた「白さん」その人です。

今回はそんな白さんについて語っていきます!

 

 

超えた証を嵌められたことがある者

白さんに対する印象を思い浮かべたとき、まず先にあがるのは、異常に「女」との描写が多いこと。
けど確かに、クールにスーツを着こなしてニヒルな笑顔をふりまく白さんを見て、ウットリしない女は少ないと思わざるを得ない。
それでも、□街に住む女がなし崩し的に白さんに夢中になってしまう姿は、かなり異様だ。
実際の北原白秋も、女と浮気し牢屋にぶちこまれた経験者で、そのあたりも物語にしっかり活かされていますが、「罪を超えた証を嵌められた」者にしか分からない狂気がそこにあるような気がして、本当に不気味なキャラクターですね。。。
そんな彼に夢中に…イヤ、正しくは執着しているのが朔くんである。
もともと白さんの一方的なファンだった朔くんは、勝手に送りつけた自身の作品が無断で雑誌に掲載されているという「放置プレイ」にかなり興奮し、その後自宅に押しかけたり愛憎入りまじった手紙を書くという、なんとも強烈な師弟関係がつづいている…。