産まれてきてくれてありがとう4
前回紹介した「草摩由希」は、透の優しさによって救われ、トラウマの元凶である呪いと向き合うまでに強くなる少年です。
透と距離感が近い人物は、由希のほかにもうひとりいるのですが、今日はそちらについて語っていきます。
草摩夾
儚くどこか浮世離れした美少年が由希なら、草摩夾は、一見どこにでもいる普通の高校生です。
草摩家特有の人を惹きつける不思議な魅力を持ち合わせてはいるものの、物語上普通にクラスに馴染んでいるように見えます。
しかし、外に出れば普通の少年でも、一歩草摩家の「内」に入ってしまえば、たちまち「汚れた呪い」として忌み嫌われる存在に成り果ててしまう、由希とはまた異なる業を抱えた人物。
夾は猫憑きで、異性に触られると猫に変身してしまうという呪いを有しています。
…これ、字面だけ読むとなんともファンシーですが、そもそも干支に由来する獣憑きの呪いを持った草摩家にとって、仲間はずれの猫は昔から「吉凶」とされてきたのです。
なぜなら、神に忌み嫌われた猫の正体は可愛らしい姿とは程遠い、身の毛もよだつ化け物だから…。
だから夾は、神と崇められてきた由希を徹底的に憎み、自らの努力によって草摩家に居場所を獲得していくのですが、そのせいか何に対しても力押しでどうにかしようとしてしまうようです。
