『ダブル』から考える表現の原水

轟の飄々とした態度と、経験に裏付けされた現場でのセンスによって、多家良は徐々に本来の力を取り戻し演技に集中できるようになるものの、脳裏にはまだ「友仁さん」がチラついて離れません。

 

そんななか、彼の周囲を彩るもうひとりのキャラクタが登場します。

「今切 愛姫(いまきり あいき)」です。

今をときめくアイドルにして、様々な映画やドラマに出演する演技派女優としての顔を持つ愛姫は、映画撮影現場ではじめて対面した多家良に興味を示します。

ちなみにこの映画では設定上、轟と愛姫は恋人同士、多家良は轟の友でありながらも、愛姫を異性として見ている、という関係性。

(決して恋愛ものではない…)

 

だからなのか、一見人見知りそうな多家良ですが、前半にして愛姫との距離を自分から詰めていきます。

もちろん、いきなり口説くようなことはしないまでも、あの轟があわてふためく位のことはサラッとやっちゃう多家良と、それを笑って受け入れる愛姫とのあいだには、友仁のそれとはまた違う、けど確かな「つながり」が結ばれていくようで、ある意味健全だなと、つい考えてしまいました。

 

多分、ふたりの関係性は今後の見所になっていくでしょうね。

特に多家良が有名になればなるほど、愛姫との関係性は世間にとって格好のゴシップネタになるのは確実。

それによって、ふたりの繋がりや表現がどう変化するのかも、物語を読むうえでの醍醐味なのかも。