『ダブル』から考える表現の原水

後に多家良のマネージャーとなる冷田さんの、徹底的にタレントを守ろうとする姿勢やドラマ・映画・その他作品に対し臨む姿勢の切り替え方から察するに、恐らく彼女自身も過去に表現の世界に身を置いていたのでしょう。

表舞台から自ら降り、光り輝く表現者たちを裏から支えることを選ぶまでに、彼女がなにを思ったのか…

そう考えるうちに、多家良の才能に打ちのめされながらも、「俳優」と名乗ることを決してやめなかった友仁の本心がふと気になってしまいました。

 

さて、そんな天然たらし(?)な多家良の周囲を固める、これまた個性的な俳優がふたり登場します。

ひとり目は、多家にとって事務所所属後の正式なデビュー作品となる刑事モノドラマにて共演する「轟 九十九(とどろき つくも)」。

極度な人見知りで緊張する多家良を持ち前の明るさでいっきに現場に引こ込んでいき、ミスも思いっきり笑い飛ばしてしまうナイスガイ。

 

ちなみに、多家良のデビュー作の撮影現場は、元々サスペンスだったのを監督が急遽コメディに変更したということでテンヤワンヤ状態でした。

さらに現場に不慣れな多家良は事前の役作りがまったく役に立たないことに余計混乱しミスを連発。

監督の「今”おもしろいもの”が撮りたい!!」という焦りにまわりが振り回されるなか、轟だけひょうひょうと構えているあたり、器が大きいのか、俳優としてのキャリアがそうさせるのか…。

 

とにかく、多家良とはまた違った意味でマイペースな人物のようです。