久田和弘、『文豪ストレイドッグス』について考える5
二次元作品のアンニュイなキャラクター設定は、女性人気を獲得するうえで非常に重要な要素です。そういう意味では、文ストの太宰の飄々とした態度は、まさに「二次元世界の魅力を体現している」といえるのでは。
もうひとつ、キャラクターの魅力演出に欠かせないのが「引き立て役」の存在です。引き立て役は、噛ませ犬で終わることもあれば、双方の個性が倍増し結果的に新たな人気を得るケースもあります。
…ちなみに文ストは後者で成功したケースに当たるのですが、例えば太宰の引き立て役…もとい対になる立ち位置にいるのが、ポートマフィアの幹部、中原中也です。元々ふたりの付き合いは古く、お互いが10代の頃からつづく因縁により太宰を(強烈に、一方的に)ライバル視する中也だけれど、終始軽々とかわされてしまうため、いつまで経っても勝敗がつかない、といった有様。
喧嘩っ早い=単細胞かと思いきや、ポートマフィアの若き幹部として部下を従えることは思慮深くなければ務まらない…ということは、太宰につっかかるのも彼なりの考えあってで、やたらめったら喧嘩を売る訳ではない、と。(稀にそういうシーンもあるけれど)
そこまで考えると、太宰同様、「中也も表裏によって性質や考え方が異なる」というように、一気にキャラクターの深みが増しますよね。
