久田和弘、『Pet』について語る5
林から記憶をあたえられた司とサトル…「ヤマ親」としてふたり分の人生を背負おうと覚悟を決めた林ですが、会社は彼らの関係性を「pet」と揶揄し、自由に絆を結ぶことを良しとせず、「どちらかひとりを捨てろ」と迫ります。
とある理由から会社に逆らえない林は、やむを得ずサトルを選ぶものの、それが司のなかで消えない深い傷となって残り―――。
以上を背景に物語はスタートします!林・司・サトルの関係性は若干ネタバレっぽいですが、まだまだ複雑な事情がアチラコチラから絡んでくるのがこの物語の醍醐味なので、あまり問題はないと判断した次第です!!
さて、今回は林をメインに進めたものの、じつはこの人、中盤にならないと登場しません。その間活躍するのは司・サトル・そしてヒロキです。ヒロキは司のパートナーであり、お互いにとって良き理解者でもあります。「天真爛漫と書いて”バカ”と読む」を地でいくヒロキとは反対に、物腰柔らかでつねに冷静沈着(あと女性にモテる)な司。彼らは双方が欠けている部分を補い合える一見最高の相棒…のはずが、ヒロキにはどうしても気がかりな件が。
それは、司が決して会社からの「仕事」を断らないこと。
ふたりが「潰し屋」として会社から請け負う仕事は、イメージを使ってターゲットの精神に入り込み、こちらの都合のいいように記憶を改ざんするものの、殆どが最終的に相手を殺すまで追い詰めていきます。ターゲットが不審死をとげたとしても、周囲の人間の記憶も書き換えられるため、都合の悪い証拠を残さないで済むという理由から、会社は断続的にふたりに仕事をやらせていたのです。
