久田和弘、『BEASTARS』について語る2

「分布が多い→どんな気候でも対応できる→結構タフ」というハイイロオオカミの生態的イメージがつきまとうレゴシ、しかも人並み(動物並み??)外れた体格の大きさゆえ、とにかくつねに「悪い噂」が絶えない。

…しかし、凶暴そうに見える鋭い爪や尖った歯に反して、本人の性格は「温厚」そのもの。いつも猫背気味で踏みまれそうな虫をいちいち逃してあげる、優しさ溢れるハイイロオオカミなのです。
生態の影響か相手を凝視するクセがあり、さらに見た目のせいで何かと「犯人扱い」されるいつも損な役回りのレゴシ、「こういうのは慣れてるから大丈夫」と気にしない素振りを見せつつも、時々味方に見せる「ホンネ」が痛々しいといいますか……

ここで『BEASTARS』の舞台設定をお話すると、学園に通う生徒らを含む未成年の肉食獣には「肉を喰うこと」が禁止されています。つまり「草食獣を食べる→肉食」に当たり、立派な殺人事件として扱われるのです。
なので、草食と肉食の食事は学食で徹底管理されているけれど、やっぱり我慢できず「つい草食を食べてしまう肉食」が時々出てきて事件になるのだとか。

(作中、大好物のタマゴサンドを頬張るレゴシの姿が描かれています…なんたるミスマッチ 笑)

そう、この学園の存在意義は「共存」。ここで草食動物たちと共存する術を学んだ肉食動物たちが成人し社会デビューする訳で、もちろんレゴシもそのつもりでしたが、一匹の「ウサギ」によって、彼の安寧は覆されてしまうのです。