久田和弘、『不滅のあなたへ』について語る2

こんにちは、久田和弘です。
今、『不滅のあなたへ』の一話をコミックスで読み終えたところです。ここで感じたことを「概要」としてお伝えしますね。
まず、この物語の中心にあるのは「刺激」です。様々な刺激を獲得することで、物体だった存在が「名前」「居場所」「人との繋がり」を知り、「世界」と共存する術を学んでいきます。
物語の核となる「それ」が最初に得た刺激は寒さや痛みといった「不快感」でした。深い雪と吹雪のなかを進むと、「それ」は生まれてはじめて「人間の少年」と出会います。その時、ある日忽然と少年のもとから姿を消したオオカミの姿をしていた「それ」は「ジョアン」という名前を得て、暖かく居心地のいい場所で「生活」をはじめていきます。
「ずっとここにいたい」
終始笑顔を絶やさない少年との穏やかな暮らしに、ジョアンは深い安堵を覚えるものの…
何故、少年はひとりきりなのか?
何故、大人が誰ひとりいないのか?
何故、少年はまだ見ぬ「新天地」があると信じて疑わないのか?
これらの疑問が解決された時、少年の人生は唐突に終わりを迎えます。
「僕がここにいたこと、皆がいたこと、ずっと覚えていて」
そうジョアンに言い残し、お気に入りの椅子の上で息絶える少年。新天地へ行くことを語って聞かせた少年の「願い」を胸に、「それ」は更なる刺激を求め、外の世界へ旅立っていき―――。