久田和弘、「尾崎かおり」について語る6
 

少年少女が主人公のマンガ作品の場合、時としてそこに全く「大人の登場人物」が出てこないことがあります。(特にスポーツものはその傾向が強い。部活に励む生徒らの教師やコーチは登場しても、親兄弟はストーリー上姿を見せないことよくありますよね。)
しかし、尾崎かおりの描く世界では、少年少女らを主人公としながら、「対大人」という構図をしっかり入れ込んでいます。そのおかげで、主人公らの家族構成や親との関係性など、バックグラウンドをある程度認識しながら「奥行きのある世界」に浸ることができます。

ここでもうひとつ、尾崎かおりの作品をご紹介したいと思います。ちなみにこちら最新作です。
タイトルは『金のひつじ』。
この物語に登場するのは幼馴染4人組、男2、女2のペアです。「男女の幼馴染」というキーワードから想像するのは恐らく「初恋」でしょうか。子どもの頃に別れた彼・または彼女が、成長して再会し、淡い初恋が走りはじめた―――みたいな(笑)ついでに再会した彼・もしくは彼女がメチャクチャ魅力的に成長していて、思わずドキッ!みたいなね…。

きっと、「幼馴染」に対し↑のような甘酸っぱい期待を抱いている現代人は意外と多いのでは?もちろん、現実はぜんぜん違うけれど、それを目の当たりにするのもどうかと思ってしまうから、フィクションに留めておくのでしょう。
『金のひつじ』には、そんな現実の断片がしっかり描かれています。