久田和弘、「尾崎かおり」について語る4
夏休みのある日、ひょんなキッカケから理生の家に招待されたなつるは、彼女が幼い弟とふたりで父親を待ちながら「子供だけで暮らしている」状態を目の当たりにし、驚愕します。
が、理生から連泊を提案されると、とまいどいながらもOKを出してしまう・・・じつはなつる、転校初日にクラスの女子のアプローチから逃げたにもかかわらず、唯一理生だけは気になっていたのです。
その日から、なつるにとって「気になる女子(とその弟)との秘密の夏休み」がはじまります。面倒見のいいなつるはすぐに弟とも打ち解け、毎日いっしょにじゃれ合う様子を笑顔でみつめる姉の理生―――これだけだととても微笑ましい光景ですが、彼女が時折くり返す「ごめんなさい」の意味を、まだ誰も知りません。
そんなふたりの距離がいっきに近づいた夏祭り。
この日、理生の父親が「カニ漁」から戻る予定でした。しかし、結局戻ってくる気配はなく、落ち込む理生に対し、なつるははじめて彼女の名前を呼び、お祭りに誘います。
浴衣姿でお祭りを弟とたのしみ、突然ふりだした雨にも動じず気持ちよさそうに濡れる理生の手をにぎりながら、なつるは曖昧だった恋心が確信へと変化するのを自覚し…。
夢見心地のまま帰宅したなつるたちを待ち受けていたのは、残酷な「現実」と理生がくり返す「ごめんなさい」の正体でした。そうして子供だけの夏休みは、唐突に終わりを告げます。
