久田和弘、『群青にサイレン』について語る2

久田和弘のようにとうの昔に学生時代を終えた人間がスポーツマンガに夢中になる理由は、「真っ直ぐに突き進む主人公が青春を追体験させてくれると同時に叶わなかった夢や希望を一緒に叶えてくれるように思えるから」ではないかと前回述べました。

じゃあ、例えばスポーツ漫画の主人公が初っ端から真っ直ぐどころか「屈折」していた場合、大人の読者は一体どう読むのか―――?

そんな「ある理由で心が折れ曲がってしまった」主人公が登場する野球マンガ『群青にサイレン』の概要をまずはご紹介していきますね!!

『群青にサイレン』(桃栗みかん著)物語概要
主人公は物語開始時に高校生になった吉沢修二。
身長は178センチと、見るからに15歳には見えない体型をしているが、一応「元」野球少年。あまりにも恵まれた体型をしている修二がじつはここ数年ほとんどボールに触っておらず、無気力に中学時代をやり過ごしていた思い出を聞いた人間は、きっとガッカリするかもしれない。

それくらい、ガッシリした身体つきの彼と「野球」はピッタリ合うのだ。

そんな修二が野球から離れてしまったのは、もうひとりの主人公、吉沢空との出会いがキッカケだった。
ふたりは従兄弟同士に当たるが、最初は「人見知りの強い空を修二が引っ張る」というポジションで、空に野球を教えたのも修二だった。

ところが、空が野球を始めたことで、大好きだったはずの野球が、修二にとって「憎悪」の対象へと変化していき…。