久田和弘、『群青にサイレン』について語る
「青春」と言われて、真っ先にイメージするものは何ですか?
きっと多くの人間が、この質問を投げかけられてすぐ自身の学生時代を思い起こすのでは?

…それにしても、一体何故、「青春」の代名詞は決まって「学生時代」なのか?例えば社会人デビューした後など、ある程度大人になってからを青春時代と言い換えることは出来ないのか?

そもそも、「青春=学生時代」の定義は一体どっから発生したものなのか?その答えは、過去に話題になった学生が登場する無数のドラマや映画を見ればすぐ分かりそうな気がするけれど、今回は敢えて「マンガ」に絞って考えてみたいと思います。

さて、「青春マンガ」とひと言に言っても、恋愛・日常・スポーツなど様々なジャンルに分類され、そのなかでも「スポーツ」は特殊なポジションを確保しています。特に「部活モノ」は、特定のスポーツの技を極め大会での優勝を目指す青少年の様子がメインで描かれるのと同時に、日常や恋といった他のコンテンツもストーリーに含められるので、一見王道ストーリーを地で行っているようで、じつは作者なりに好きな要素を自由に加えられるジャンルだったりするのです。

学生時代をとうの昔に終わらせた我々は、あの頃果たせなかった思いや感情を、「勝利」に向かってひた走る登場人物たちと共に追体験していきます。敗北を味わっても決して諦めない主人公に自分を重ね、「明日も頑張ろう!」と現実を生きるエネルギーをもらっているのでしょう。