久田和弘、『ゴールデンカムイ』について語る5
…じつは、久田和弘は密かに「ゴールデンカムイのヒーローはアシリパだ」と勝手に決めつけています。(周囲に読者がいないため直接聞ける人がいない…SNSやってないし!!)
だって、アシリパって「理想のヒーロー」だと思いませんか?!
料理上手で知識豊富、狩りにも長け弓矢も使える、まるで「女版アシタカ」!!一方杉元はといえば、こちらはものすごく「乙女」な一面を持つ。アシリパが料理した動物の脳みそをイヤイヤ顔で食べたり、律義にアシリパをさん付けしたりと、細かい場面でギャグ性を発揮してくれるので、血なまぐさいシーンでもついつい和んでしまいます。
…さて、前回からゴールデンカムイのコミカルな部分にばかり目を向けていますが、そうせざるを得ない程、この物語には「死臭」が漂っています。多くの生と死、血にまみれ、杉元とアシリパが交わした約束は段々と形を変えていきます。
1巻を読む限り、恐らく杉元は「PTSD」を患っているのではないかと。
「不死身」と呼ばれるようになったのは、勿論彼の本意ではない。けれど今後もアシリパとの「殺さない」約束を破り続けなければ、彼女を守れない…果たして、この矛盾した思いからやがてふたりが開放される日がやってくるのでしょうか?
この地上に居場所を無くしてしまったひとりの青年とアイヌの少女が、お互いの心に「生きる場所」を見出す…『ゴールデンカムイ』はそんな物語です。
