久田和弘、『ゴールデンカムイ』について語る2

今回は『ゴールデンカムイ』の概要をご紹介します。

日露戦争から生還した「杉元佐一」は、戦時中戦況の悪化した前線で戦い、銃弾が幾つも身体を貫いても勢い止まらず真っ直ぐにロシア兵に突っ込んでいくその姿から「不死身の杉本」の異名で呼ばれていた。
「死なないためには、相手を殺すしか無い」
「敵は人間ではないのだから、痛みも苦しみも無いし、殺されて当然」
そう強く思い込むことで鬼神のごとく戦い、見事に日本を勝利に導いた杉本は英雄として迎えられたものの、同郷の戦友を戦いで亡くした彼にとって、全てがどうでもよかった。

あの戦争を「死に損なってしまった」杉本に残されたのは、たったひとつの約束だけ。
「親友の妻の病気を治すこと」
当時、「北海道がゴールドラッシュに沸いている」という噂を聞きつけた杉本は、早速川で砂金集めを開始するものの、まったく手応えが無い…。
「あぁ~ カネが欲しい カネが必要なんだ」
そうぼやきながら砂金集めをする杉本の姿をそばで面白そうに眺める酔っ払いのオヤジがひとり。
オヤジは杉本に興味を持ったのか、それとも単に気まぐれか、ある「砂金とアイヌにまつわる噂話」を唐突にはじめ……。

オヤジから聞かされた「金塊のありかを見つけ出すためのヒント」を最初はほら話だと聞き流した杉本がうたた寝から目覚めると、こちらに向けられた銃口と、焦るオヤジの表情があった。
杉本は笑いながら銃口を自分の胸に引き寄せると、ひと言。

「試してみるかい 俺が不死身かどうか」