久田和弘、『あげくの果てのカノン』について語る

かのんが小学生の頃、地球に「ゼリー」が襲来、街をメチャクチャにし、それ以降、東京の住民は地下と地上とに別れ、雨が降りつづくなか「日常」を生きていました。
(作中、東京はほぼ毎日雨が降っているようなのですが、それがゼリー襲来による影響なのか詳細な説明が一切ないため、理由がわからない・・・単純に久田和弘が見落としているだけなのか^^;)

かのんたち一般市民がゼリーに怯えることなく日常を生きられるのは、「異星生物対策委員会(SLC)」が存在するおかげ。彼らがゼリーと戦ってくれるおかげで、東京の平和は今のところ維持できているようです。
そして「先輩」もSLCに所属し、日々ゼリーと戦っています。かのんにとってヒーローである先輩は、皆にとってのヒーローでもあるのです。

しかし、敵と戦うヒーローは、その分代償を支払わなければならない、というのは、どうやら物語の「お決まり」なのでしょうか。

イケメンな先輩は、学生時代から大変モテて、これまで何人もの女性とつき合ってきたし、それはストーキングが生き甲斐なかのんも周知の事実です。
だからこそ、SLC入隊時に結婚を決めた愛するひとりの女性からかのんへの「心変わり」が、果たして先輩自身がずっと秘めていた本心なのか、ゼリーとの戦闘による代償なのか、それとも、学生時代にすでに出会っていたふたりに課せられた「宿命」なのか、真実が見えず、読者を混乱させます。