久田和弘、『あげくの果てのカノン』について語る
概要
高校卒業後、とあるケーキ屋でアルバイトをする高月かのん(24歳)は、地味で非常に自虐的な性格ではあるものの、見た目はどこにでもいる「女の子」だ。が、一見大人しそうな彼女のなかに、長年報われず燻り続ける「先輩」への思いがあった。8年間こじらせまくった片思いは一方通行のまま終わるのかと思いきや、ある日ケーキ屋の扉をあけて「先輩」はやって来て…。
アニメやマンガ、そのほか何かしら好きなモノがある人が、それらについて他人に説明をする際、情熱がこもるあまりつい早口になる事ってありますよね?普段は大人しい人が、いざスイッチが入った途端饒舌に話しまくり、周囲を圧倒してしまう。
かのんが「先輩」について語る時もまさにこんなかんじです。高校時代からコツコツ収集した「先輩」の隠し撮りを毎晩ながめ、ケーキ屋の常連である甘党の「先輩」との会話をこっそり録音し、帰宅後に聴いては悶る姿は、さながら「イケメン俳優に夢中になる女性の姿」でしょうか。
(なんだろう、こういう”悶る”って、男にはあんまり無いんだよなぁと、ふと思った久田和弘)
『あげくの果てのカノン』の重要なキーワードのひとつは「不倫」です。そう、じつは「先輩」、結婚しています。かのん自身には「先輩」を奪略する気はないけれど、だから余計に持て余した恋心はふくらむばかり。
そしてもうひとつのキーワードは「SF」。この物語がはじまる数年前、東京はゼリーと呼ばれる謎のエイリアンに襲撃され、いちど壊滅状態に陥いりました。
