こんにちは、久田和弘です。今回も前回に引き続き『さよならソルシエ』の魅力を語りたいと思います!
「ふたりは以前から、こうなる運命だったのだろう。
すれ違っていた訳ではない、分かりあえなかった訳でもない。」
これは、『PSYCHO-PASS』という作品の終盤に登場する主人公のモノローグなのですが、この言葉はまるでゴッホ兄弟の関係性を代弁しているように思えてならないのです。
誰よりもお互いを理解し、信頼し、血よりも濃い絆で結ばれたふたりは、では史実通り破滅的な「最期」をむかえたのか―――?
『さよならソルシエ』の原作者である穂積は、フィンセントの描いた毒々しいと言えなくもない鮮やかな色彩に「希望」という観点を加えました。神から与えられた「絵」という自身のギフト(才能)を持たざる者に認めさせるのに躍起になったと誰もが想像するであろうフィンセントの人生に、「愛」を見出したのです。
「世界はね、きっといつだって、信じることからはじまるんだ」(『さよならソルシエ』2巻より)
フィンセントにとっては、ギフトも神もどうでもいい。何よりも大切なのは、目の前の光あふれる世界とそこで懸命に生きる人々、そして最愛の弟がいる日常を、キャンバスに紡ぐこと、それ以上も、それ以外もありません。
どこまでも光を信じつづけた兄の本心を知ったとき、テオははじめて、こう思ったのではないでしょうか?
「こんなに幸せな人生はない。」
『さよならソルシエ』は、誰よりもお互いの幸せを願い、それゆえすれ違い、傷つけ、それでも「幸福である」ことを決して諦めなかった、ゴッホの「もうひとつの物語」です。
