こんにちは、久田和弘です。今日も前回に引き続き、『帝一の國』の魅力をまとめていきたいと思います!
ピンチのときに必ず手を差し伸べてくれる弾に対し、帝一は少しずつ信頼と友情を抱きはじめます。一方の弾は、同年代の男子が己の立場を死守するため文字通り「死力を尽くしている」のを目の当たりにしたのをキッカケに、「海帝高校生徒会」に対し不信感を募らせていくのですが、その様子が以下のセリフに滲み出ています。
「この生徒会は狂っている」
これではまるで、弾が海帝に住まう権力主義の教師や生徒を倒す正義のヒーローのようだが、本人に生徒会と関わるつもりは微塵もなく、しかしその後彼の大きな決断が、物語と帝一を揺るがすような影響をあたえることになります。
そんな帝一は、信頼が芽生えはじめた弾や恋人の美美子にどう思われようがおかまいなしで、自分の「夢」を実現するのにあの手この手を駆使し、見た目も中身もスネ夫のような菊馬が仕掛ける罠をくぐり抜け、次代生徒会長に一番近いとされる氷室ローランドの足元にかしずく。
彼にとっては絶対的な存在である「氷室ローランド」の庇護下にいれば確実に生徒会長就任までの道はスムーズになる・・・という帝一の読みは、氷室の周囲に張り巡らされた複雑な権力闘争に巻き込まれることで大きくハズレ、ズブズブと底の深い沼に足を取られたようにどんどん自由がきかなくなり・・・。
帝一にとって「戦い」とは果たして何なのでしょう?
「負けられない戦い」とは、完全無欠な勝利を収めることなのでしょうか?
泥水すすって再び地上に這い出たとき、はじめて彼が胸に抱きつづけた「夢」の答えが見えてきます。
(久田和弘)
