こんにちは、久田和弘です。今回も前回に引き続き『海街diary』の魅力について考えていきたいと思います。

日頃から激しい喧嘩をくり返すくせに都合のいい時はシャチ姉と結託する次女の佳乃にとって、唯一パシリとして利用できるのは妹の千佳のみ。佳乃がお酒でダウンし、または男関係が上手くいかず荒れた時、イライラする長女を尻目になだめすかして部屋に連れて行くのはいつも千佳の役目のようです。
父親の葬式に行く当日、千佳はあろうことかアフロヘアーにイメチェンします。驚く佳乃に「ちょっとハジけてみよーかと思って」とヘラヘラしながら答える千佳ですが、このシーンを見返すと、彼女なりに何かしら思うところがあってのことだったのかなと、つい真意を考えてしまいました。
「女性がヘアスタイルを変える」というのは、本人にとってはあまり意味のない行動だったとしても、後から振り返ってみれば、自分でも気づかぬうちに精神的ダメージを受けていたりということがあるそうです。千佳も、「優しかった」という記憶しか残っていない父親の死に直面することに対して、無自覚な迷いを吹っ切るため、あえて「ハジケて」みたのかもしれません。

・・・なぁんて言いつつ、じつは千佳のアフロヘアは、彼女がつとめるスポーツ店の店長とおそろいなのですが。ちなみに作中ふたりの姉が千佳と店長が恋愛関係か怪しむシーンがありますが、シャチ姉いわく「考えたくない」のだとか(笑)