こんにちは、久田和弘です。今回も前回に引き続き『海街diary』の魅力について考えていきたいと思います。

すずに突然「一緒に暮らさないか」という提案した香田家の三姉妹の長女、幸は、普段は看護師として働きつつ、ボケを連発するふたりの妹にとっては唯一の「(急所を)ツッコミ役」なのですが、元々は素直で愛情豊かな性格であり、どちらかというと作中のすずと非常に似ている部分が多いかんじです。
幸、通称「シャチ姉」は、すずと同じく「大人の都合で子供時代を過ごせなかった」側の人間なので、それが影響してか、大人になった今では、どんな相手に対しても正論をどうどうとぶちかますように(笑)けれど、不思議と喧嘩にならないのは、相手も痛いところを突かれてしまい、ハッと我に返ってしまうからではないかと。
シャチ姉が頑張ってくれるおかげで、そこにいる大人たちが急に冷静になる場面が1巻にも何箇所かあります。また、いろいろな場面で「解説役」を引き受けてくれるのもシャチ姉なので、読者としても大助かり(笑)

そんなシャチ姉に対して、面と向かって文句を言えるのが、香田家の三姉妹の次女、佳乃です。短大卒業後、信用金庫に勤め、酒癖が悪く酔うとすぐ男と寝てしまう、という性格を除けば、見た目は普通のOLさん。
1巻で佳乃は年下の男の子と付き合っていますが、その彼からは「佳乃さんはちゃんとした人だ」と言われます。普通、兄弟の2番目というと、比較的周囲から「自由が許されている」場合が多いためか、自由奔放な性格が多いというのが個人的見解なのですが、上記したように佳乃自身にも多少ユルイところはあれど、幼少期に大人のゴタゴタと姉の苦労を見てきたせいで、根はしっかしていて正義感の強いところがあるようです。

(久田和弘)