こんにちは、久田和弘です。今回も前回に引きつづき、『となりの怪物くん』の魅力について考えていきます。
雫が春の人を真っ直ぐ愛そうとする姿から多くを学び、また春は春で、雫の不器用な真面目さと強い信念に惹かれていくなか、大島以外にも、ふたりの関係性から変化をした生徒がひとりいます。
夏目あさ子、というその生徒は、美少女で男子からモッテモテ。しかし中学時代のあるトラウマが原因で、高校に入学してからは男子とは一切口を聞かない、話しかけられたら睨み返すということをつづけていたら、いつの間にかクールなキャラクターが浸透してしまい、大島と同様、同性の友だちがひとりもいないという状態に・・・・。
が、本来は非常にアップダウンが激しく、高校のAO入試も一発芸で合格をもぎ取ったというなかなかの変わり者。「友だちがひとりもいない」寂しさに耐え切れずに「高校生活を満喫している自分」という体ではじめた嘘ブログも、更新しているうちに段々虚しくなり、大晦日に突如雫に「さみしい」と電話で泣きついてしまうくらい、彼女は雫が大好き。
なぜそんなに同性の友だちの有無にこだわるのか、と夏目の必死さを不思議がる春に対し、「女子はね、”皆でお手々つないで仲良くゴール”っていう暗黙のルールを守らなきゃならないの」と語った彼女も、やがてある「意外な人物」に恋をすることで、自分が抱える寂しさや矛盾と向き合うようになります。
また、夏目の孤独や努力する姿を、これまた意外な人物が眺め、そして恋をすることになるのですが、こちらも読んでからのお楽しみということで・・・。
(久田和弘)
