こんにちは、久田和弘です。今回も前回に引きつづき、『となりの怪物くん』の魅力について考えていきます。
「人との繋がり」を欲すことに素直で、また人と臆せず向き合える春から、それまで信頼関係や友情とは無縁だった雫は学ばされることが数多くありました。
また、他人との距離感を図らず、時折無謀な行動を取る春だからこそ、雫以外にも彼に影響を受け、救われ、変わることができた登場人物が数人います。
そのひとりが、大島千づるです。控えめな性格と美人でスタイルも良く、また学級委員長もつとめているため一見人当たりがよく見え、男子に人気が高い千づるの弱点は「友達がいない」こと。消極的過ぎるあまりクラスメイトに自分から話しかけることができず、自然と「良い人ポジション」にハマってしまった彼女は、女子から面倒事を押し付けられては、溜息を付きつつ雑務と格闘する日々を過ごしていました。
そんな千づるに春が話しかけたのはちょっとしたキッカケでした。学級委員長の仕事とクラスの雑務を片づけながら、やがて春と千づるはふたりで会話をするようになります。人に立ち向かうことを恐れない自分とは正反対の春と話すうちに、千づるは自身の心境を少しずつ吐露するのですが、そんな彼女に春がかけた言葉が今でも印象に残っています。(うろ覚えですが・・・)
「人って、いっぱいいっぱいの時は背伸びしすぎなんだってさ」
確か、こんなかんじだったと思います。クラスに上手く馴染めず、今やらなければならないこと・やりたいことが自分のなかであやふやになってしまった千づるに、春が贈った言葉です。
(久田和弘)
