こんにちは、久田和弘です。今回も前回に引きつづき、『となりの怪物くん』の魅力について考えていきます。

・・・先程、講談社のホームページで1話の試し読みをしたのですが、改めてよくよく見てみると、初回は「読み切り専用」に描かれているかんじがしました。思うに、少年漫画でもよくあるパターンなのでしょうが、初回はあくまでも単発を想定して発表し、もし読者の反応が良ければ連載につなげるのかもしれません。
ですが、「となかい」の1話には「つづきが読みたい」と思わせる不思議なパワーがあります。特に、春の初登場シーンや彼の奇っ怪な行動に潜む本音、そしてこれらにいちいち怯えた反応をしめす雫と彼女の過去のエピソードが、1話に盛り込むにはあまりにもインパクトが強すぎて、ワクワクしてしまうのです。
特に、雫が動物が苦手な理由を彼女が回想するシーンは必見です。このエピソードだけで、雫の人間性がなんとなく理解できます。

最初は異性に対して「苦手」「嫌い」というマイナスイメーを抱く、というのは少女マンガにありがちなパターンで、「となかい」もご多分に漏れず、最初は雫に付き纏うだけだった春に苦手意識を抱きつつ、結局見捨てずに学校でも見守る立場になります。元々「勉強以外は興味がない冷血人間」を装ってきた彼女が、いきなり野生動物のような男の飼育をしようなんて無理がある・・・なんて思いきや、意外と雫が春を通して「学ばされること」の方が圧倒的に多かったようです。

(久田和弘)