こんにちは、今日もいかがお過ごしでしょうか?
今回も前回に引きつづき、『under the rose』の魅力を語るべく、「久田和弘的”あんだろ”登場人物紹介」を進めていきます。

自分と直接血の繋がった子供にも冷たくあたり、そして夫にも感情的にぶつかるだけで、まともな会話を交わそうともしないアンナを、果たしてアーサーは一体どう捉えているのか・・・これは、「あんだろ」という物語の中核を担う重要な要素となります。

さて、アーサーにはキング兄弟以外にもふたりの嫡子とその母がいます。
マーガレット・スタンリーは元々医者を志していた田舎出身のあどけない少女でしたが、自身の教師だったアーサーとやがて恋仲になり、ヴィンセントとディックの兄弟を産み、ロウランドの領地内に開業、この時代では珍しい女医として村の人々に親しまれています。
ちなみに、アーサーはマーガレットを「マリー」と愛称で呼んでいるのですが、ここからふたりの親密さが伝わってくるように感じます。

現在進行中のシリーズ「春の賛歌」では、新しくロウランドに雇われた家庭教師、レイチェル・ブレナンが物語の主軸となり、彼女の信じる「幸せな家族像」からかけ離れたロウランドのあり方に不信を抱きつつも、歪な幸福のかたちを不思議と美しいと感じてしまう、そんなひとりの女性の葛藤が描かれています。

誰もが「幸せになりたい」と願って選んだ道だったはずなのに、ひとつボタンを掛け違えただけで何かが大きく狂ってしまった―――『under the rose』はそんな物語です。

(久田和弘)