こんにちは、自他ともに認めるマンガ大好き人間、久田和弘というものです。
・・・唐突ですが、現在、「すごく聴いてみたい音色」がひとつあります。イタリアの作曲家でありチェリスト、ジョヴァンニ・ソッリマの作品『チェロよ歌え!』です。チェロというと、人の座高より高い大きさから重厚な音色を奏でそうなイメージが先行するものの、じっさいにはギターのように背中に背負って持ち運べるようなので、大袈裟なほど重々しくはないのかもしれません。
とにもかくにも、ヴァイオリンやピノとは一線を画す不思議な存在のチェロの魅力を、直接音色によって脳内に叩き込んでみたいと思ったのは、穂積が描く『僕のジョバンニ』という作品のせい。
穂積というと、デビュー後7年しか経過していないためまだ存在を知らない方が多いかと思いますが、じつは、デビュー作となる短編が単行本化した途端賞を獲得したり、その後はじめた連載は一作目にして「このマンガがすごい!」に選ばれるなど、現在注目株の若手なのです。
さて、これからが大いに期待できるマンガ家が最近連載を開始したのが『僕のジョバンニ』。
『さよならソルシエ』では、兄であるゴッホの画家としての才能を影で支えつづけた弟を主人公に、『うせもの宿』では、失くしたものが見つかると噂の時代錯誤な趣をした宿に住むひとりの女性の記憶をたどる物語を発表しましたが、最新作の舞台は現代。といっても、南方にある自然あふれる島がメインの、どこか懐かしい空気がながれる場所で産まれ育った少年が主人公です。