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今日も久田和弘がオノ・ナツメの描く独特な世界観が凝縮された作品『ACCA』について語ります。

 

ACCAのテーマは、ひとことで言うと「監視」です。

まず、ドーワー王国の13の自治区の状況を「監視」する役目である「監察課」が存在します。次に、この課の副課長であり、今作の主人公ジーンは、自分が何者かに「監視」されていることに気づきます。(この際、ジーンはニーノから“監察課が監察されているのか”と揶揄されますが、ここは後々かなり重要な意味を持つところなので、ちょっとだけネタバレ。)

ジーンが監視されている理由は、彼が「クーデターを計画しているメンバーの一員である」という噂が原因でした。13地区それぞれに自治を許すことで平和がもたらされてから100年以上、そもそも国がこのような決断を下したのも、発生した大規模なクーデターを鎮圧するためだったのです。そんな歴史のある国で再びクーデターを起こすというのは、当然王政に刃向かう行為であり、また、長年の平和を謳歌している一般人を不安にさせることにも繋がる。

 

しかし、当のジーンには全く身に覚えがない。

当初は「自分には関係ないし、まぁいいか、仕事さえできれば」くらいにしか考えていないジーンでしたが、じつは彼自身が気づかぬ間に蚊帳の外から「渦中の人」になっていたのです。

そう、クーデターに関する鍵をにぎるのは、次期国王でも王政でもなく、ジーン本人。

そんな生来の「巻き込まれ型」な性質から、クーデターのメンバーであるという小さな噂が、やがては国全体を揺るがす大事件に発展していく過程に存在する複雑な人間模様に巻きこまれていく様が、この物語の魅力かもしれません。