こんにちは、久田和弘です。今日もいかがお過ごしでしょうか?
以下より前回の「久田和弘が語る、昭和元禄落語心中3」のつづきとなりますので、最後までおつき合いいただければ幸いです。
菊比古が助六の元を訪ねると、当の本人は働かずに布団に潜ったまま、みよ吉は愛想を尽かして出ていき、ひとり残った娘の小夏が馴染みの蕎麦屋で落語をしながら生活費を稼ぐというギリギリの状態でした。(後に、小夏と菊比古との関係性がこの物語の大きな見どころとなっていきます。ここ、本当におもしろいです。)
この頃、自身の落語スタイルを確立させつつあった菊比古は、それまでの周囲への冷たい態度を改めようと、積極的に距離を縮めるための努力をはじめていたようです。特に助六とみよ吉は彼にとってかけがえのない存在なので、小夏もひっくるめて、一緒に生きていくつもりでいたのでしょう。きっとこの時、菊比古のなかでは落語よりも大事なものを見つけたのかもしれません。
そして菊比古はなんとか助六を再起させ、彼のために企画した落語会で噺家としての完全復活を遂げさせようと奔走するものの、ある晩に起こってしまった不慮の事故により再び唐突にひとりとり残されてしまいます。八雲を継ぎ、落語と心中したかった助六、人生を捨て、美しい菊比古と心中したかったみよ吉、父の落語を愛してやまない小夏、そして、またひとりきりになり、落語しか生きる術が見いだせなくなってしまった菊比古・・・・。
彼らの生き様が、『昭和元禄落語心中』の最大の魅力だと思います。
それでは今日はこのあたりで失礼しまして、お相手は久田和弘でした。