チェルノブイリ原発事故の人物と作業員

★★★★★

あらすじ

1988年のソ連で実際に起きた世界最悪の原発事故で関わった人々の話。

 

みどころ

学者、政治家、労働者やごく普通の人々の立場から描いた原発事故の全容を五話で描ききっているところ。

 

38年前に実際に起きた原発事故で、被害の大きさや汚染具合は3.11の福島第一原発事故の比ではありませんでした。

まぁ、チェルノブイリは原子炉そのものが吹っ飛んでますからねえ。

 

とにかく、今までに見たことのないドラマでした。

これは、「死んでくれ」という人なのか、

仕方なくその命令に従う人なのか、

何も知らずにこの悲惨な原発事故に巻き込まれてしまった人なのか、

このどれがマシですか?

ってドラマだったと思うんですよ。

その中の「死んでくれ」っていう学者と政治家を主人公にお話が進んでいきます。

レガソフとチェルノブイリの登場人物モノクロ写真が実在の人で学者レガソフ。

チェルノブイリ事故:レガソフとシチェルビナこっちは軍人上がりの政治家シチェビルナ。

 

物語ぼ冒頭で、カセットテープに事故の詳細を記録したレガソフが自殺するところからお話が始まるんですが、そこから事故当日に遡ってゆくわけです。

冷戦時代のソ連なので、今の中国とか北朝鮮みたいに高い理想を掲げたバリバリの社会主義国家で、そういう国家にありがちな欺瞞と大きな抑圧の元に現実がどこまでも捻じ曲げられる世界です。

「我が国の原発でメルトダウンなど起きない!」とか本気で言いきっちゃう政治家が支配しているわけです。

秘密警察や監視やスパイや暗殺が普通にあって、この頃のソ連の内情知りたい方には「善き人のためのソナタ」おススメです。

そんな中で、チェルノブイリの原発事故の報告を受け、早速閣僚会議に専門家として呼ばれたレガソフは、一刻も早く市民を丸ごと非難させて完全装備で火事鎮火させてって言いたいんだけど、ゴリッゴリの社会主義思想に染まった政治家たちに睨まれて、ストレートに思ったことが言えない。

それでも、さすがに原発事故だけに、なかったことにはできない。

国が全域で激しい放射能汚染に晒されるわけですから。

で、監視役のシチェルビナと一緒に早速現地に「行け」ってゴルバチョフ書記長に言われます。

はい、この時点でシチョルビナもレガソフも詰み。

メルトダウン起こしてる原子炉見に行け言われてるわけですから。

学者のレガソフは比較的正確にこの時点で自分の寿命が見えちゃってるわけです。

でも行くしかない。

その時はシチョルビナはまだどういうことかよくわかってないんですけど、

現場に赴き、そこの消火に当たっていた消防士や原発職員たちの激しい被爆状況目の当たりにして初めて自分の置かれた状況を理解するわけです。

最初は対立していたこの二人が、少しずつ心を許しあってゆく過程も実にいいんですよ。

邦画だと原発事故描いた「FUKUSHIMA」とか「太陽の蓋」とかありますけど、

職員たちの命がけの行動称える英雄話になりがち。

そういうのって、はい、ここで感動してくださいって感じじゃないですか。

でもこの作品はそんな子供騙しの英雄譚になってないんですね。

その要素は確かにあります。

ありますけれども、でも事故の内容があまりにも凄まじすぎて、「じゃあ行くしかないか」って感じがもう痺れます。

レガソフとシチェルビナ、チェルノブイリ原発事故

銃向けた炭鉱夫たちに仲間扱いしてもらえたドロドロ政治家おじさん。

チェルノブイリ原発事故の炭鉱夫たち

灼熱の地下でマッパで働く炭鉱夫おじさん。

チェルノブイリ事故の医師

ロシアの良心ホリュック博士

 

原爆症で死んでゆく消防士たちの姿とかもう震え上がるほど恐ろしいです。

とにかくですね、様々な人が様々な立場でこの被爆に多かれ少なかれ晒されてゆく。

誰も逃れることができない。

下手なホラーより怖いんですが、とても良質な人間ドラマになっていたと思いました。

めちゃくちゃおススメです。