二本一度に感想を。
★★★★☆
あらすじ
実にしょうもない思い込みの理由で、元アイドルの家事代行会社社長(白石麻衣)宅に忍び込み、タンス預金を奪おうとする三人の女菊地凛子・平岩紙・吉田羊と、そこに本当に忍び込んでいたコソ泥と、社長宅のコンシュルジュの男が巻き起こすシットコム。
★★★★★
あらすじ
事故で早世してしまった女性が、人間に生まれ変わるのを目標に、二度目・三度目の人生を生き直す話。
二本とも、みどころは非常にリアルな女同士の会話劇に、突飛な展開を抱き合わせるところ……ですかねえ。
すげえです。
さすがコント師ですよ、バカリズム。
なんだろう、この人男性なのにこの女同士の会話劇のクオリティは異常です。
ファミレスとかでおばちゃんたちがだべってるの何時間も聞いてんですかね。
「侵入者~」の方はシットコムなので、コント色が濃いし、構成や展開の工夫もそれなりにあるので、本当に質のいいコントを見せてもらっている感じなんですけど、
泥棒に入られた白石麻衣が、なんか結局は「もういいよー」ってどうでもよくなっちゃうの、すごくわかりますw
「ブラッシュアップ~」の方は、後半に向けてどんどん良くなってゆくんですね。
いやなんか、最近のバカリズムの活躍見ていると、お笑い芸人(特にネタ作りする方)の能力の高さが本当にわかりますよね。
なんちゅうか、「面白さ」を決してぶらさないんです。
リアリティより、そこだけは譲らないぞっていう脚本作りがすごいですよホントに。
これは場合によっては良くも悪くもかも知れませんけど。
ファンタジーはあんまり…という私の友人は、超能力とか魔法とか出てきちゃうと覚めちゃうっていうんですね。
私も設定があまり突飛すぎると覚めちゃうことあります。
例えば「侵入者~」の方で平岩紙さんが、まじめでいまいちノリがよくない菊地凛子に、いかにして自分たちの泥棒が正義かと説得する詭弁は本当にすごいし、確かにこういう論理のねじれ方してる人たくさんいるし、
「いや、でもそれは、あ、うん、そうか、そうよね」
と、何となく流されちゃう人もいますよねw
確かめたわけでもないのに、「この人絶対〇〇!」とかすぐ決めつけちゃう人もいるいるって感じです。
そんなリアルな人を、コソ泥に向かわせる思い切った振り幅が絶妙です。
「ブラッシュアップライフ」の方は、何度も生き直して人生ブラッシュアップしてるくせに、主人公のあーちん(安藤サクラ)がこだわってるところが実にちっさい、ささやかなことばっかなんです。
最初はそれが物足りないというか、いや、それはないやろーとか思っちゃうんですけど、尻上がりによくなっていきます。
ドラマの中で三度目の人生であーちんはドラマのPになって、自分の体験ドラマにしちゃうんですけど、
ドラマの中のドラマでは、世界を救うぐらいの壮大な展開になっちゃって、最初の自分の企画の面影もないって言ってるんですね。
監督が「やっぱ何度も生まれ変わってるんだから、もっとでっかいことさせたいよなぁ」とか言ってるんです。
私もそう思ってましたw
ってことはですよ、あーちんのささやかなこだわりは、脚本書いてるバカリズムが、わざとですよって言ってんですよね。
ということは、この一見どうでもいいつまらない展開が後にもっと面白くなるよって宣言しているようなもんです。
おお、すげえな、バカリズム。
そして実際、胸を突かれる展開になってゆくんですよ。
細かいことを言えば、ツッコミどころはたくさんあると思います。
パイロットってとかw
でも、このドラマの中でバカリズムが描きたかったことは、
地元で生まれ育った幼馴染の女の子四人の変わらない友情なんですね。
それを、本当に仲のいい女の子同士で話してるような会話劇で見せてるんです。
突飛な展開にリアルな会話劇。
なんちゅうか、この振り幅がとても心地よく面白いドラマでした。
二本ともおススメです!