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あらすじ

1960年代初頭、まだまだ黒人差別の残るアメリカのNASAで、有人宇宙飛行に貢献した数学の天才の黒人女性の実話を元にした話。

 

みどころ

理不尽に抑圧され続けてきた黒人女性たちが、優れた才能とバイタリティで、NASAで地位を獲得してゆく痛快さ。

2017年作。

 

ここ最近見た映画がイマイチばかりだったので、たまたまネットで知ったこの映画、アマプラで有料で観ましたけど、とても良かったです。

ケビン・コスナー久しぶりに観ました。

日本人には馴染みのない黒人差別ってあからさまでえげつないですね。

とはいえ、日本に差別がないなんてことを言うつもりは全くありません。

あります。確実に。今も。

 

でもまぁ、昔は、トイレも飲み物のポットまで分けて置かれていたなんて驚きですね。

そんな中、天才的な数学の才能一つで自分たちの正当な権利を勝ち取って行った彼女たちの戦いは痛快です。

でまた、この映画の中では、差別する側の意地悪が極端じゃないんですよ。

まぁ、NASAが舞台なのでみんなインテリだと言うこともありますけど、

でもそれだけに、じわじわ嫌な感じなんです。

トイレの場所聞かれた白人女性が、思わず「黒人用のは知らないわ」と流してしまう。

たぶん、意地悪で言ってるんじゃないんです。

「だって私は白人であなたは黒人で、ここではそういうルールなんだからそういうものでしょう?」という、日常の一部なんですね。

私、その描写観た時、私が白人女性だったらそんなことしないと言い切る自信ないなと思いました。

加害者が常に確信犯とは限らないんです。

職場や社会で、その価値観が当たり前だとされている中で、

自分だけが被害者を平等に扱えるだろうかと思いました。

そして、ふと、ドイツのメルケル首相のこと思い出しました。

シリアやイラク難民を大勢受け入れることで、国の財政を逼迫させ、自国民からのたくさんの非難を浴びています。

自分ちの周辺の治安が悪くなったり、物の値段が上がったりした時、文句を言わない自信なんかまるでないです。

でもやっぱり、メルケル首相は立派だったなと思いました。

たぶん、差別を無くそうと声高に叫ぶということは、差別側に立った時にも覚悟がいるということなんだな、なんてことを思った映画でした。

 

それはそれとして、主人公たちがどんどんNASAの中で地位を獲得し、味方を増やしてゆくのを観ているのは本当に気持ちがいいです。

これぞ、大人のざまあ作品ですね。

おすすめです。